夏野ネコ

何者でもないひとが短歌をつくっています。Twitter(まだXって言いたくないぞ)が主…

夏野ネコ

何者でもないひとが短歌をつくっています。Twitter(まだXって言いたくないぞ)が主な活動場所ですが、ここではつくった短歌をまとめたり、それについて文章を書いたりします。

マガジン

  • 日記と短歌

    その日その日に起こったことや感じたことを短歌一首とともに記します。

  • 月々のうた

    毎月つくった自選短歌をピックアップしてまとめています。

  • 写真と短歌

    ひょんなことからやってきたGR Digitalというオールドコンデジで日常の写真を撮りながら短歌詠んだりします

  • 誰かの言葉たちへ

    詩歌や小説についての感想はここにまとめます。

  • 連作短歌

    連作、というほど大げさなものではありませんが、連なりの中で表現したものたち。だいたい思い立って一気につくります。

最近の記事

短歌におけるエモってなに? [日記と短歌]24,7,16

感動に耳をすませば途中下車したことのない街からの音/夏野ネコ エモーショナル禁止令、という名の短歌ネプリに参加しました。総勢88名の歌人がそれぞれに思うエモーショナルを封印して歌を詠む企画です。 で、作歌にあたって思うわけです。禁止するからにはそのエモーショナルをまずは定義しないとならんよね、と。ふむ。 と正面から行っても語釈として大きいので、そこから派生して日本語化した「エモ」「エモい」をひとまず禁止しようと思いました。とはいえエモいってなんだよ。 emotion

    • 月々のうた:2024年6月

      心には誰かの傘が何本も残されていて虹だけがない あの人は星になったよどの星かわからないけど多分ぜんぶだ 七日後の世界を信じている蝉で地球最期の夏がうるさい 手のひらに雪の命を融かしゆく熱よ私は泣いてもいいか あいみょんのあいのところはもらっとくきみはみょんだな、みょん、あいしてる 6月はネプリにお誘いいただいたり、あるいは進んで参加したり、たぶん作品としての詩を初めて書いたり、と、ちょっと変わったことがいつもより少し多い月でした。 だから、というわけでもないので

      • ゆる宣言、お酒アンインストールします、したい [日記と短歌]24,7,03

        溢れさすように歩いた私から飛び散るモノは拭かないでいて/夏野ネコ いろいろと食らうことがあり、天気が微妙だったのも手伝って土日の予定を取りやめた私は、週末ほぼ家に引きこもっていました。 軽度のアルコホリックを自覚している私なのでもう明るいうちから飲んで、なにをするでもなくただボンヤリと休日は終わってしまいました。 それが全面的に悪かというとそうでもなく、浄化はされないまでも多少マシにはなりました。でもお酒の力で得た安寧に過ぎないので当然のように反動もまた来るのです。

        • ゆる決意、なるべく忙しいって言わない [日記と短歌]24,6,17

          行き先が回送となる瞬間に私はそっと世界へ還る/夏野ネコ 朝5時くらいにのそのそ起きて、7時前には家を出て、8時から概ね19時、20時くらいまではたらく。繁忙の時はビバ残業なので22時くらいまでははたらく。ひとなみに、まぁまぁ忙しい。と思う。たぶん。 いろんなことに忙殺されると本当に心を亡くしてしまうから、こころないゾンビとしてふらふら生きながらTwitterにも上がらなくなりnoteも更新しなくなりThreadsも放置し、うたの日にも出なくなる。そうしてたまに浮上する時

        短歌におけるエモってなに? [日記と短歌]24,7,16

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          2本
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          17本
        • チベット短歌記〜河口慧海の歌を読む
          7本

        記事

          空にまだ届いていない夏草の背伸びみたいな横顔といる [写真と短歌]

          写真と短歌(3) 空にまだ届いていない 夏草の背伸びみたいな横顔といる 夏草の逞しさが眩しくて ときに目をそらしたりする 天に向かって命を尽くす でも届かないのも 知っているだろう彼ら その名前を私は知らない

          空にまだ届いていない夏草の背伸びみたいな横顔といる [写真と短歌]

          湧き立ちてやがては雨となる雲の白を刻んで言うさようなら [写真と短歌]

          写真と短歌(2) 湧き立ちてやがては雨となる雲の 白を刻んで言うさようなら 朝に湧いてくる雲は 自分がこののち嵐になると知らない いちにちの始まりに まだ眠る私の上をのんびりと のんびりとただ通り過ぎながら なんにも知らないんだよね 雲も、私もさ

          湧き立ちてやがては雨となる雲の白を刻んで言うさようなら [写真と短歌]

          月々のうた:2024年5月

          潜望鏡どうしで見つめあうように服を着たまま続くおしゃべり コンビニはあの日ココアを分けあった熱が空へと還った跡地 片割れのパピコの屑を蹴る路のウィンドウにもわれのさみしさ 足りなさに慣れてしまってもう着ないSOSの赤いブラウス 君向けのディアゴスティーニがあるんだよ週刊わたしを恋人にする ゴールデンウィークにひたすらだらけた日々を送った必然として、スイッチが入らないままなんとなく6月を迎えてしまいました。うたの日の出詠も怠けており、あ、でも1本薔薇をいただいたので

          月々のうた:2024年5月

          ひかりさす最後の水を飲みほして街という名の海へ人魚は [写真と短歌]

          写真と短歌(1) ひかりさす最後の水を飲みほして 街という名の海へ人魚は 公園で買ったミネラルウォーター でもこの水はやわらかすぎて 素敵に光をためながら わたしが手放したやさしさを それでもいいよとやさしく やさしく責めてくるんだ だから嫌いだ、こんな水 かっこつけた水め

          ひかりさす最後の水を飲みほして街という名の海へ人魚は [写真と短歌]

          古いデジカメで写真を撮ってみようと思ったよ [日記と短歌]24,5,26

          錆ついたほんの小さな窓だけど話をしたい世界すべてと/夏野ネコ いま手元にリコーのGR Digitai Ⅱ というカメラがあって、職場の不用物掃除の際に出現し「いやもう使わんでしょ」の総意のもと私に漂着した中古のそれは随分と前のデジカメです。調べたら発売が2007年。ファインダーがわりの背面液晶がまぁまぁ傷ついているジャンク品なのだけど、バッテリーも、その他の機能も特に(いまのところ)問題ないみたいです。 スマホで手軽に写真が撮れて、撮ったらもう瞬間にシェアできる便利な時

          古いデジカメで写真を撮ってみようと思ったよ [日記と短歌]24,5,26

          文学フリマ東京38へいってきた [日記と短歌]24,5,21

          持ち主がまざりあうほど乱雑でしあわせなぼくたちの本棚/夏野ネコ 文学フリマ東京38に行ってきました。 ほんと、行けるかどうか微妙だったんですよ、旅先から直接向かったから大荷物でたぶん通路をいく皆さんに迷惑をかけたし(ごめんなさい… でも行って良かったです。 わたしがはじめてこのイベントに参加したのは2019年と比較的最近の出来事ですが、その最近から較べても急速な規模増大にかなりびっくりした今回です。 いやいやいや、めちゃめちゃすごくないです? 入場料1000円である程

          文学フリマ東京38へいってきた [日記と短歌]24,5,21

          やっぱいちごつみは楽しいなって話! [日記と短歌]24,5,15

          ひそやかにたった二人のパレードは行先不明だから歩くの/夏野ネコ いちごつみ、たのしいですよね。 ここのところ数人の方とご一緒して、ちょうどいま続いている方もいます。交互に言葉を継ぎながら、あるいは投稿のためのストックになったり、ノリが良ければネプリとかで発表したり。 短歌の造形力を高めるためには多作がよしと言われてますが、確かに私もそう思います。でもひとりでは限界があるんですよね、数を作るってことに。 まして結社にも属さない私のようなひきこもりが多作を、それも外からの

          やっぱいちごつみは楽しいなって話! [日記と短歌]24,5,15

          50首連作「コロコロ」の感想

          SNSで交流のある野良之コウモリさんの連作ネプリ「コロコロ」の感想を書きます。ゴールデンウィークのお供にと出したネプリなのですが少し時間が経ってしまいました(すみません)。noteでも公開されていますので未読の方はぜひ。 ご本人のnoteにもあるように笹井宏之賞へ応募した50首連作だそうです。 いったいにこの「50」という物量は驚異です。私にとって連作は、5首10首程度で「らしき」ものを編むのがせいぜいですので、50首を編んで賞に応募される時点でもう大河ドラマのような圧力で

          50首連作「コロコロ」の感想

          ネプリ、インザダークの感想

          ことし、2024年のゴールデンウィークのお供に、と出力した「並列」の作品「インザダーク」の感想を書きます。「並列」は夜月雨さんと斎藤君さんの文芸ユニットで、たいへん気になる存在なんですよ。 その中でも特に気になってしまった3つの作品、「春宵」「Phantosmia」「くる」について書こうと思います。 さて。 わたしは現代詩の読み方をよく知りません。なのでその前提で語ります。不勉強で申し訳ないのですが…。まずは冒頭の「春宵」です。 春宵 短歌連作なのか、そのリズムを持っ

          ネプリ、インザダークの感想

          月々のうた:2024年4月

          きみ型にあいた心の穴だから埋めればそれはキミなんだろう ほんとうの願いをひとつだけ持てば綿毛のようにあなたは飛べる 普段着を死装束として君がまたねと言って離す僕の手 エピソード1を聞かせて続編のようにあなたの遠いはつ恋 対岸が見えない川で君の名を呼べば世界はやさしく滅ぶ 1か月過ぎるのが速すぎますよ。ついこの間まで桜が桜がと言っていたのに気づけば5月。どうしてこんなに速いのか。 連休までの仕事前倒しのあおりで4月は引き続き繁忙モードだったこともあり、うたの日への

          月々のうた:2024年4月

          練習しないと上手にならない、なるとは限らないけれど [日記と短歌]24,4,7

          ドラえもん泣いてよその雫こそが最強ひみつ道具なんだよ/夏野ネコ 絵師、というほどでもないけれど絵を描くリアル友人がいます。「というほどでもないけれど」なんて微妙な言い方をしてしまったのは、この方があまり練習をしないからなんです。 「好きこそものの上手なれ」が成立する前提として「好きなことには努力を惜しまない」ていうかむしろ「好きゆえに努力を努力とすら思わない」があるわけで、本人の自覚の有無にかかわらず練習は大事なわけです。 でも身体能力が問われるスポーツなどと違い、美術

          練習しないと上手にならない、なるとは限らないけれど [日記と短歌]24,4,7

          月々のうた:2024年3月

          別れてはいけない人なんていない珪土マットにひと知れず水 踏まれたら野道になって夏草の露であなたを少し濡らそう 低反発枕は戻るゆっくりと揮発していく夢を惜しんで くちびるを裂かず言葉は舌先へ残り噛み砕くにはいとしい 後ろ手をほどいて受ける雨よまだあがるな銀の線で突き刺せ はい、3月も終わってしまった!新年度! 思えばこの3月は、私の人生でも特筆すべきさまざまな出来事の連続でした。ありすぎました、ほんとうに。辛いことと嬉しいことの、その極限的なパワーで両極へと、本当に

          月々のうた:2024年3月