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月々のうた:2024年3月


別れてはいけない人なんていない珪土マットにひと知れず水

踏まれたら野道になって夏草の露であなたを少し濡らそう

低反発枕は戻るゆっくりと揮発していく夢を惜しんで

くちびるを裂かず言葉は舌先へ残り噛み砕くにはいとしい

後ろ手をほどいて受ける雨よまだあがるな銀の線で突き刺せ


はい、3月も終わってしまった!新年度!
思えばこの3月は、私の人生でも特筆すべきさまざまな出来事の連続でした。ありすぎました、ほんとうに。辛いことと嬉しいことの、その極限的なパワーで両極へと、本当に引き裂かれそうだった。正直あぶなかった。

だからでしょうか、死といえば言葉の単位として大きすぎですが、喪失や別れの匂いと共に、再生を思わせるような歌が多かったな。自選5首に限らず、概ねその傾向だったと思う。

こういうのはね、きっと後から効いてくるんだ。
歌単体としての周りの評価とか、あるいは誰かのため、とかでは全くなく、その時確かに自分はそこにいたんだと思えるような、自分のための自分の歌が、自分史の中に刻まれていく感覚を味わったこのひと月でした。

そして新年度です。
またどこに転がっていくんだろうな、私の短歌は…。
でも私は私です、どこに転がっていっても。いまは先が見えないことを楽しみましょう。


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