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ゆるゆら音楽映画放談

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レビューやつらつらっと書いた感想置き場的マガジン。音楽関係はだいたいここ。
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#映画

四月になれば彼女は

四月になれば彼女は

 「四月になれば彼女は」を、レイトショーで鑑賞した。サイモン&ガーファンクルの曲「April Come She Will」や同名別作品の舞台は馴染みがあるが、この映画の原作は未読。

 普段恋愛モノはあまり好んで観ない。恋愛は当人同士が好きにすればよく、わたしがそれを眺めるのも覗き込むようで腰がひける。明らかに恋愛を描いただろう予告編に、実は少しだけ怯んでいた。
 だが、喪失と惰性によるすれ違いか

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all of the long nights - 夜明けのすべて【ネタバレあり】

all of the long nights - 夜明けのすべて【ネタバレあり】

 「夜明けのすべて」を再び鑑賞してきた。胸がいっぱいになる。ずっと好きな作品として名前を挙げることになるだろう。開始すぐから涙が止まらなかった。

 封切りは2月9日だったので、もう1ヶ月も経つ。上映館が減ってくる頃合いだから、そろそろ多少ネタバレを含んだものを書いてもいいのかなと思っていた。
 ところが渋谷シネクイントでこの週末から上映されるらしい。リピートしたい人がきっと渋谷に集まるだろう。そ

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夜明けのすべて

夜明けのすべて

 映画「夜明けのすべて」をようやく鑑賞。

 原作とは異なる設定により、後半はオリジナルのストーリーが紡がれていく。それでもなお、素晴らしい。

 誇張も強調もなく、描かれていく日々。
 それぞれの生きにくさと癒えぬ悲しみが織り込まれた日常の中で、完全に知ることはかなわなくても心に手を添え慮る人々。
 歩んできた道は様々。
 その混ざり合うところで交わされる、繰り返す痛みを胸に秘めるからこその、確

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「ファースト・カウ」

「ファースト・カウ」

 年の瀬、一年の締めくくりに映画「ファースト・カウ」を鑑賞。
 いまの時代においてはおそらく観る人を選ぶだろうけれど、大変に素晴らしい映画だった。ケリー・ライカート監督に最大の讃辞をおくりたい。

 静謐さの中にすべてがある。
 特別な説明もなく、とりたてて派手さもなく、台詞にも無駄がない。鬱蒼とした森も夜の暗さもどこまでも嘘がなく、そのぶん灯る明かりや景色のひとつひとつが活き活きと描き出される。

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映画「北極百貨店のコンシェルジュさん」

映画「北極百貨店のコンシェルジュさん」

 映画「北極百貨店のコンシェルジュさん」をひとりぶらりと鑑賞。

 予告が面白そう+しろくまカフェ好きなので系統近いかな+音楽tofubeatsで気軽に観に行ったはずが、ぽろぽろと泣いてしまった。

 バックヤードならともかく、お客様に見える場所で走っているコンシェルジュは見たことがないなあ・・・・・・とちらり思った序盤の自分、撃沈。
 ひたむきさ、誰かが誰かを思う真っ直ぐな気持ち、自分の身を置く

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映画ミステリと言う勿れ

映画ミステリと言う勿れ

 ユナイテッドシネマで、映画「ミステリと言う勿れ」を観てきた。

 実は原作を既に読んでいて、話の筋についてもわかっていた。その上で、とてもよい実写化だった。尺の都合上端折られるところが出てくるのは想像していたが、映画化が難しいと言われることの多い通称「広島編」原作をよく活かしてまとめ上げていたと感じる。 
 脚本について詳しいことは、現在上映中でネタバレになるので触れないが、わたしはすきだな。

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BLUE GIANT

BLUE GIANT

 アニメーション映画「BLUE GIANT」を観賞。やっと。
 非常にいい音楽映画だった。演奏シーンの素晴らしいこと、実際にプレイヤーの成長を追っているようだ。すっかりJASSのとりこになってしまった。
 
 ライブに行けない人もいるし楽しみ方はそれぞれだけれど、用意された場と生音だからこそ味わえる、ライブならではの独特の良さというものはある。
 演者とオーディエンスの人生が世界の一点で交錯し、火

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