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推せる時が推し時だ

202
レビューやつらつらっと書いた感想置き場的マガジン。音楽関係はだいたいここ。
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 SAKANAQUARIUM2024“Turn”

SAKANAQUARIUM2024“Turn”

 幕張でサカナクションのSAKANAQUARIUM 2024“Turn”を観た。

 オープニングムービーから泣けて泣けて仕方がなくて、買ったタオルがぐしょぐしょになってしまった。

 ものすごく良かった、素晴らしかった。圧倒的だった。
 それは演奏や音楽的なものだけではなかったし、音楽と作り手である人間が切り離せるわけがなかった。
 他者の痛みをストーリー消費するつもりは決してない。しかしわたし

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友愛数 vol.(220,284)

 ツイキャスプレミア配信にて「友愛数 vol.(220,284)」を観た。福島県で開催された企画ライブの同時配信。会場はカフェかいじゅうの森。なお、有料コンテンツなので諸権利に鑑み本記事に画像はない。

 小野雄大とPaionia高橋勇成のツーマン。まずは小野雄大から、新潟出身・横浜の天才はモルタルレコードのワンマンで堪能したばかり。
 配信でもやはり涙腺にくる。琴線に触れるどころか、最早掴まれて

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四月になれば彼女は

四月になれば彼女は

 「四月になれば彼女は」を、レイトショーで鑑賞した。サイモン&ガーファンクルの曲「April Come She Will」や同名別作品の舞台は馴染みがあるが、この映画の原作は未読。

 普段恋愛モノはあまり好んで観ない。恋愛は当人同士が好きにすればよく、わたしがそれを眺めるのも覗き込むようで腰がひける。明らかに恋愛を描いただろう予告編に、実は少しだけ怯んでいた。
 だが、喪失と惰性によるすれ違いか

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JANET JACKSON TOGETHER AGAIN JAPAN 2024

JANET JACKSON TOGETHER AGAIN JAPAN 2024

 Kアリーナ横浜、Janet Jackson & TLCのライブ「JANET JACKSON TOGETHER AGAIN JAPAN 2024」に行ってきた。TLCはジャパンツアー限定のオープニングアクト(Special Guest)だ。

 TLCが前座とは、幾らメインアクトがジャネットでも豪勢な話だ。
 しかもそのTLC、はじまってみれば45分ものステージでボリュームも内容もたっぷり充実。も

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満ちてゆく overflowing

恋愛をテーマにしたら、もっと大きな愛に辿り着く。極めて藤井風さんらしく死生観を内包した、極めて美しい楽曲。賛美歌のようであり、人間への賛歌でもあるように感じた。

映画の主題歌として作られたMVは短編映画のよう。なんて美しい循環なんだろう。
映画のために試写を観て書き下ろされた曲のために短編映画のようなMVが生まれ、その曲がまた映画館で流れる。
映画を観て曲を知った人が、そこからこの短編に出会うか
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all of the long nights - 夜明けのすべて【ネタバレあり】

all of the long nights - 夜明けのすべて【ネタバレあり】

 「夜明けのすべて」を再び鑑賞してきた。胸がいっぱいになる。ずっと好きな作品として名前を挙げることになるだろう。開始すぐから涙が止まらなかった。

 封切りは2月9日だったので、もう1ヶ月も経つ。上映館が減ってくる頃合いだから、そろそろ多少ネタバレを含んだものを書いてもいいのかなと思っていた。
 ところが渋谷シネクイントでこの週末から上映されるらしい。リピートしたい人がきっと渋谷に集まるだろう。そ

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Incognito INTO YOU

Incognito INTO YOU

 日曜の夜。高崎芸術劇場スタジオシアターにて、Incognito JAPAN TOUR 2024 "INTO YOU"を。BLUE NOTE×高崎芸術劇場のコラボレーションシリーズ。
 間に合うギリギリの時間まですっかり日付を勘違いしていて、これまでライブに足を運んでいた時との自分の感覚のズレにちょっと悲しくなるも、何とか10分と少し前に到着。

 2022年末に同じこの劇場で、BLUE NOTE

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夜明けのすべて

夜明けのすべて

 映画「夜明けのすべて」をようやく鑑賞。

 原作とは異なる設定により、後半はオリジナルのストーリーが紡がれていく。それでもなお、素晴らしい。

 誇張も強調もなく、描かれていく日々。
 それぞれの生きにくさと癒えぬ悲しみが織り込まれた日常の中で、完全に知ることはかなわなくても心に手を添え慮る人々。
 歩んできた道は様々。
 その混ざり合うところで交わされる、繰り返す痛みを胸に秘めるからこその、確

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私的「この世で最もいい曲100選」

私的「この世で最もいい曲100選」

 X(Twitter)のタグ企画に乗って、これこそはと思う100曲をセレクトした。
 1名義1曲、グループとソロは別カウント。作曲家が被るものについては不問。迷った時には「バイオリンやピアノの独奏でも美しいと思えるか」を判断基準にした。このため、愛聴しているミュージシャンであってもここに入れられなかったものが多い。

 スタンダード中心でオールジャンルにしたため、この曲数ではまったくどうにも枠が足

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小野雄大vs.小野雄大band setを配信で観た。
この人の歌はいつもとんでもなく琴線を揺さぶる。揺さぶられる。感情の存在をつよく思い知らされる。
人そのものが鳴っている。歌のいちばんプリミティブなところが画面からでも漏れ出す。
飲めないお酒を少しだけ飲んだ。よく眠れるように。

BACK TO YOUR PLACE,高崎

BACK TO YOUR PLACE,高崎

 1月28日の夜、高崎SLOW TIME cafeにて、Nobody's Islandのライブ。
 久々に某氏と音楽を聴きに行けた。うれしい。すごくうれしい。

 鞘町は近くに駐車場が点在していて便利。会場につくと、開場待ちで階段に列が。この時点でもう前回よりもお客さんが増えているのがわかる。

 アットホームでオシャレなカフェによく似合う、アンティーク風のドリンクチケットがかわいい。 

 オー

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Best Of Bruno Mars Live at Tokyo Dome Day6

Best Of Bruno Mars Live at Tokyo Dome Day6

 東京ドームにてブルーノ・マーズ、公演6日目。
 まさか取れないだろうと思っていたチケットが取れてびっくりした8月。それから諸々あって行けるかどうか検討を重ねていたけれど、体調も良かったので楽しむことに。

 連日のライブとは思えないほどパワフルなパフォーマンスと圧倒的な歌、勿論素晴らしい音楽性、そしてサービス精神とKAWAIIトーク。ザ・フーリガンズの演奏とアレンジ、パフォーマンスがまた最高にク

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懐かしい月は新しい月"蜃気楼"

懐かしい月は新しい月"蜃気楼"

 山口一郎さんのツアーファイナル「懐かしい月は新しい月"蜃気楼"」を配信で観た。
 凄まじいライブだった。
 ガーデンシアターのチケットは残念ながら当たらなかったけれど、配信でも空恐ろしいほどのものを見せていただいた。

 あれはライブであり、病と歩んでいる魂の記録であり、決意と覚悟だった。田中監督の演出は一郎さんの心象風景を完全に写し取ろうとしていて、結果、映像表現として鬼気迫るものを創り出して

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「ファースト・カウ」

「ファースト・カウ」

 年の瀬、一年の締めくくりに映画「ファースト・カウ」を鑑賞。
 いまの時代においてはおそらく観る人を選ぶだろうけれど、大変に素晴らしい映画だった。ケリー・ライカート監督に最大の讃辞をおくりたい。

 静謐さの中にすべてがある。
 特別な説明もなく、とりたてて派手さもなく、台詞にも無駄がない。鬱蒼とした森も夜の暗さもどこまでも嘘がなく、そのぶん灯る明かりや景色のひとつひとつが活き活きと描き出される。

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