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#9『モントリオールの恋人』リチャード・フォード

今日は頭痛で目が覚めた。
こういう日が時々ある。起きたくないけれど、息子の朝ごはんを作るために起きなきゃ。ヨタヨタとおにぎりなどの適当ごはんを作った。
ロキソニンを飲んで仕事の時間まで横になっていた。最近、ロキソニンの効きが鈍くなってきてしまった。困る。
身体が怠いけれどマシになってきたので職場に行った。午後からの勤務でよかった。お日さまがキラキラと照りつける中の通勤。頭痛にとっては太陽の光が天敵。日傘とかサングラスとか必要。
仕事をしていると気が紛れて痛みがなくなることもあるけれど、なんだか今日はまたズンズン痛くなってきてしまった。二度目のロキソニンを飲んだ。
でも、授業の最後に「先生の授業が好きです」と学生が言ってくれたから、今日はとてもいい日だった。

私が教える学生は外国人。または日本語を母語としない日本人。
今回読んだ作品は、リチャード・フォードの『モントリオールの恋人』。モントリオールはカナダの都市だけれど、今のクラスにカナダの学生はいない。そしておそらく、今回のストーリーのような大人の恋愛ができる学生もいないだろう。もちろん私自身も。


ここ数日、短編のラブストーリーを読んできた。村上春樹編訳の『恋しくて』に収録されている10編のラブストーリーを。
9番目に収録されている『モントリオールの恋人』は、これまで読んできたラブストーリーの中で、もっともオトナだった。
やっぱり、この短篇集は順番に読むべきだと思う。一番初めにこんな作品がを読んでしまうと、愛の変化球に無駄に構えてしまうかもしれないから。
でも私は、オトナのラブストーリーが好き。

オトナの恋愛というと、不倫が欠かせないのだろうか。
ちょうど昨日、とあるテニスクラブでアダルト不倫の話を聞いたばかりだ…。良い年した色ボケ話はキツイな。

『モントリオールの恋人』に登場するマデレインは33歳のカナダ人、夫と息子がいる。そしてヘンリーは49歳のアメリカ人、バツイチですでに独立した娘がいる。
この2人は元同僚、公認会計士と弁護士というエリートだ。恋愛慣れしたエリートがする大人の恋愛、お金にも余裕がある。これは限られた大人だけができる恋愛劇だ。

彼らが言うには、二人は愛しあっていたとのことだが、そろそろこの関係を切り上げなくてはならない、という所から物語が始まる。
マデレインには家族がいるし、家族を捨ててまで、というわけにはいかないし、そういう状況はお互いが望んではいない。

さもなければ、状況はますます深まり、二人はやがて境界線も標識もない大地に足を踏み入れることになるだろう、そこには恐ろしい危険が満ちている。

本文より

不倫が公になったら、お互いいいことない。社会の信頼は落ちる上、仕事がなくなってしまうだろう。まさに「恐ろしい危険が満ちている」だね。
とはいいながら、いい所取りしながらうまーい具合に不倫劇をやっている大人たちは、この世界にウジャウジャいることだろうね。

この二人、お互いに他にも別のお相手がいるんじゃないかな、なんて思う。例えば、モントリオールにはマデレイン、ワシントンにはアローラ、パリにはレア、トーキョーにはリカ、とかね笑。

大人カラーのスカーフと共に

マデレインが演出したヘンリーとの別れ方がウイットに富んでいた。
そこにはある「嘘」があったんだけれど、その「嘘」にヘンリーは見事に気づいた。そんなヘンリーに満更でもない様子のマデレイン。
そういう機智に富むヘンリーだから好きになったんだろうね。「嘘」を仕組まれていたのに怒ることもしない大人なヘンリー。改めて、彼を好きになってよかった、って思ったんだろうな。
ヘンリーのように頭が切れる男性は、女性とうまくつき合えそうだ。中年でおなかが少しばかり出ていたって、こういう男性はモテるんだろうな。

でも、私の場合はこういう人は好きになれないな。お金があってステータスがあって女性の扱いが上手くてもね。こういう人は絶対優しいけれど。ひっぱっていってくれて楽だし。
やっぱり、ちょっと奥手で不器用な感じを出している方ががかわいいし魅力的。程度によるけど。

と、どうでもいい話はさておき、最後にマデレインの言葉を引用して終わりにしよう。

人生とは不品行の記録に過ぎないのね、違う?

本文より


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