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ひとつの石が、“作品” になるまで。『e(イー)』を支える貴石彫刻工房を訪れました。

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 空間・プロダクト・グラフィック・ウェブを主軸とし、企業のあらゆるブランディングをサポートしているデザインスタジオSTRAYT(ストレイト)
 セレクトショップのインテリアデザインからジュエリーブランドのVI(ビジュアル・アイデンティティ)設計など、幅広い分野における「ブランディング」を手がけている。

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2020年秋冬シーズンよりスタートしたジュエリーブランド 『ANON』
ロゴ、商品企画、ビジュアルなど、トータルでのブランディングを担当。
https://www.strayt.co.jp/branding/anon/

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東京都自転車商協同組合 『Z ZONE』
サービス設計をはじめ、ネーミング・VI開発・コミュニケーションツール・ウェブデザインなどトータルでブランディングを担当。
http://zzone.tokyo
https://www.strayt.co.jp/branding/z-zone/

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『e(イー)』
ジュエリーを中心に、ブランディングから生産まで、すべての工程を担当。
https://www.strayt.co.jp/branding/e/
Instagram:https://www.instagram.com/e_tokyo_official/
Online Shop:https://e-tokyo.stores.jp

 前回更新したnoteでは、STRAYT唯一の自社ブランドe(イー)の第二弾リリースとなるアイテムたちをご紹介。工業製品の『アイナット』をモチーフとし、「“作為” と “無作為”」 や「“無機” と “有機”」を融合させたリングたちです。

 今回のnoteでは、そんなジュエリーたちが出来上がるまでの「過程」にフォーカス。株式会社STRAYTのメンバーが、山梨県にある宝石工房を訪れ、自分たちの目で見て手で触れ、実際にe(イー)のジュエリーが作られるまでのプロセスを追いました。職人さんたちの確かな技術を、ぜひお写真とともにお楽しみください。

絶妙なバランス感覚で、ジュエリーの “土台” を生み出す

 まずはじめに訪れたのは、『e(イー)』の新作ジュエリーの “シルバー土台” を作っている工場。工業用製品の「アイナット」をモチーフにした部分です。こちらについて、詳しくは前回のnoteをぜひ。

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 工場に到着し、いくつもの作業道具を見ているうち、職人さんから一言。『実際に工程を試してもらいながら、説明していきましょうか!』と。そこで、STRAYTのアートディレクターを務める岡本が、実際に手を動かして体験してみることに。

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 ここでは、金属を切断加工した際に生まれる凹凸部分、“かえり(バリとも呼ばれる)” の削り作業と、磨きの作業を体験しました。

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 強過ぎても弱過ぎても良くない、卓越したバランス感覚が求められる作業だといいます。手元への集中を持続しつつ、削り過ぎないように調節しながら力を加えていくこちらの作業は、まさに職人だからこそ為せる技。

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 工場内のマシンには、『e(イー)』の新作ジュエリーのモチーフとなった「アイナット」も。ふと嬉しくなってしまった一瞬でした。


けずってみがいて、ととのえて。
ジュエリーを輝かせるための、幾つもの過程と技術

 次に訪れたのは、『宝石の街』とも呼ばれる山梨県・甲府市の貴石彫刻工房。わたしたちe(イー)が手がけるジュエリーのうち、「宝石を使用したアイテム」に使われる宝石の「切断」・「研磨」・「彫刻」の工程を担当していただいている場所です。

「動」から「静」へ、「粗」から「整」へ。技術の中心・カッティング

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 ここでは、大人のゲンコツほどのサイズの石を実際にカッティング(切断)する過程を見せてくれました。

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 「直線」だけでなく、時には何度も切りつけ、「曲線」の切断も行うというとのこと。原石に対して、マーカーで直接しるしを書き込み、一切のブレも出ないよう慎重に石を切り出していきます。

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 切り出された端材の宝石たち。おおよそゴツゴツとしていながらも、その端の部分には、端正なまでの真っ直ぐな面が表れていて。

とにかく正確に、「真っ直ぐな線」を目指して

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 石を真っ直ぐに切り出す「切断」の次に行われるのは、「研磨」の工程。『グラインディング(荒研磨)』と呼ばれる手法で、まずはキメの粗い砥石を使い、石の角を削り取っていきます。

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 『摩擦によって削り出していくので、石自体がとても熱くなってくるんです。なので、常に水を流し続けているんですよ』と、職人さん。この流水なしには、石が割れてしまったり、変色してしまったりすることもあるのだとか。

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 粗い砥石で研磨した状態でも、すでに凄く綺麗な面が見て取れます。『これからです、まだまだこれから』とにこやかに笑う彼の表情には、ご自身の技術への確かな信頼が感じられました。

長年の歴史を思わせる道具たちと、緻密なまでの「彫刻」

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 ふと工房内に目をやると、長年の技術を支えてきた数々の道具たちが。年季を感じさせながらも整然と整えられた様子には、ほぼすべての工程を手作業で行うという至極丁寧な仕事を思わせられます。

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 続いて行われるのは、「カーボランダム」と呼ばれる粉に水をまとわせて石を削っていく「彫刻」の作業。丸みのある道具を高速で回転させ、先ほどの『グラインディング(荒研磨)』の際の目よりも細かなものを使うとのこと。

 職人さんによれば、『少しでも削り過ぎてしまうと、また1からやり直し。慎重に、丁寧に削っていくんです』とのこと。ぐっと曲げた背中は、まるで熱気が漂っているかのような様子。最後の仕上げに向けて、手元のごく細やかな作業に集中していきます。

鏡のような仕上がりも、すべて「人の手」で

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 最後は、より細かな目の研磨剤を使って磨いていく工程。『ツルッツルになります からね、見ていてください』との言葉に、期待がどんどん高まっていきます。

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 そうして出来上がったのが、こちらの石。どこを見てもツヤツヤ・ツルツルとしていて、「鏡面」という表現がまさにぴったりな仕上がりです。手に付いた真っ白の粉からは、どこか、職人としての “意地” を感じさせるような。稚拙な表現ながら、「ものすごく格好良いなぁ」と感じざるを得ませんでした。

おわりに

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 最後に、工房とは別のスペースにて、こちらの職人さんが手がけたという別の作品を見せていただきました。こちらは、2つのガラスを組み合わせて、模様が浮き出るようデザインされたもの。寸分の狂いもなく組み合わされたガラスの対には、まるで泡が浮き立っているかのような意匠が。

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 写真からも見て取れるように、ひとつの「指紋」ですら鮮明に残ってしまうほどの繊細さを持っています。こちらも同じく、ほぼすべての工程を「手作業」で行ったとのこと。あらためて「たくさんの丁寧な作業を経て、ひとつひとつのジュエリーが作られている」ということを感じさせられました。

 そんな “人の手” によって作られたシルバーの土台や宝石たちが、わたしたちe(イー)』の新作ジュエリーにあしらわれています。

 一見無機質に見える、ミニマルなデザインのジュエリーたち。そこには、職人さんたちによる確かな技術と、熱い想いがグッと込められているのでした。ぜひとも、これからのリリースをお楽しみにお待ちください。

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STRAYT INC.
e Online Shophttps://e-tokyo.stores.jp
e Instagramhttps://www.instagram.com/e_tokyo_official
Writing, ShootingNozomu Miura

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