ART Is. TOKYO GALLERYと あたらしいアートとの出会い方
伊勢丹新宿店。
おしゃれが大好きな方も、そうでない方も、きっとご存知であろう、日本を代表する百貨店。
わたしにとって伊勢丹新宿店は、いつ入ってもテンションがあがるし、とっておきのお買い物に利用したくなる、ちょっと特別で夢のようなお店です。
そのなかでも、もっともワクワクする空間が、本館3階『リ・スタイル』。伊勢丹が国内外からセレクトした、選りすぐりの精鋭ブランドのアイテムがずらずらっと並んでいます。
そんなスペースで、夢のような、でもまさにこれ!これこそアート!!!と心おどったイベントが開催されたのです。
タイトルもそのまま。とってもシンプルで強いことば。
ART Is. TOKYO GALLERY ✖️ ISETAN
I am ART.
最先端のモードが展開されている、伊勢丹のリ・スタイルのフロアで、アート作品を展示・販売✨という、おそらく初めての試み。
ディスプレイを一目見て、わたしはしばらく動けなかったです。素敵すぎて✨✨✨
なんとも自由で、ユニークで、ワクワクする作品のセレクトとレイアウト。
世界中のファッションと、絵画や彫刻などのアート作品が、同じ空間で響き合うように楽しめる。まさに夢のような空間。本当に嬉しかったです。
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この素敵すぎる試みを手がけたのは、ART Is. TOKYO GALLERY さん。
スタイリストのふくしまアヤさんがスタートさせた、あたらしいアートのセレクトショップです✨
ふくしまさんは、主にハイファッションやインテリアのスタイリングを手掛けている、プロフェッショナルな方。
そして、美術大学を卒業されてもいらっしゃいます。
まずは、ART is のホームページに掲載されている、「WHO ARE WE?」と、「STARTING POINTS」のメッセージを、ぜひぜひお読みください。
きっと、これまでの、なんとなくよくある、ちょっと難解でハードルが高いなぁっていう現代アートへのイメージとか、自分とはちょっと遠い存在に感じてしまうような感覚とかが、ぱーっと晴れていって、なーんだ!アートってこんなにシンプルな感覚で楽しんでいいのかー!!!っと、すがすがしい気持ちになれるのでは。
わたしは、このメッセージを初めて読んだとき、ものすーっごく嬉しくなりました。とっても勝手ながら、自分と同じようなことを、ふくしまさんが考えていた、ということに、感激してしまいました。
わたしももっといろんな方に、身近に、日常的に、アートを楽しんでほしいし、ふれてみてほしいし、心が動く体験をしてほしいなぁと思って、noteを書き続けてきました。
自分自身、さまざまなミュージアムやギャラリーを足を運ぶうち、もっといろんなことを知りたい、ちゃんと歴史を知っておきたい、と好奇心がわき、改めて芸術大学で学ぶことをしはじめたら、ますますアートの奥深さに魅了されつつあります。
と同時に、ふくしまさんが、こんなにもパワフルに行動していらっしゃって、ものすーっごく生き生きとしていて、このメッセージとInstagramから伝わってくる熱量の高さに、思いっきり感化されました。
アートを語れるほどのたいした知識もなければ、研究した経験も、仕事をしてきた訳でもないし・・と思ってた自分に、あぁ、わたしは一体、何に遠慮して、ためらっていたのだろう!と ハッとしました。
わたしも何かやっていきたい!何ができるんだろう!と強烈に思ったのです。
で、始めてみたんです、『聴くミュージアムレビュー』を。
9月からは、ギャラリーレビューのシリーズもはじめました🎧
“ふつうはこうだから“にとらわれない 2つのあたらしい試み
ここで、ART isさんの対応で、わたしが素敵だなぁ!と思った、ポイントをご紹介させてください✨
どちらも状況に応じた柔軟かつ行き届いた対応ですし、ちゃんと"こうだったらいいのになぁ"を実現しているところが素晴らしいんです。
(1)版権の販売で もっと作品を知ってもらうチャンスに
伊勢丹で作品を一つひとつ眺めていて、おおお!と感じたことが、こちら。
確かに、原画は世界にただ一つだけ。
作家の作品が売れたこと、縁あってオーナーと出会えて、手元に向かえられることは素晴らしいです。
けれど、その結果、広く多くの方にその作品のことを知ってもらう・観てもらう機会が限られてしまうのって、長い目で見ると、ちょっと、いや、かなりもったいないこと、かもしれません。
それが、広告や商品のパッケージになったり、コラボレーションのお話しにつながるなら、オーナーだってきっと、嬉しいのでは?
わたしだったら、ものすごく嬉しいし、きっと自分のSNSで勝手に宣伝すると思う、そして買えるだけ買うと思いますw
でもこの取り組みって、他のギャラリーや作品の売買において、正直、あーんまり聞いたことがありません。
作品のタイプによって向き不向きもあったりするかもしれませんが・・・スタイリストであるふくしまさんだからこそ、気づけたポイントなのかもなぁと思いました。
余談ですが・・版権の販売どころか、タダで自由に使ってOK!として、大人気になった方も。そう、くまモンです。本当に素晴らしいアイデア、かつ、莫大な宣伝効果、確実にありましたよね。
(2)オリジナルのジュラルミンケースで梱包材の廃棄量を削減
ホームページをみていて、おおお!と思ったのがこちら。
これ、とっても画期的だと思います。
アート作品の梱包や輸送につきものな、梱包材の大量廃棄問題。
中途半端では作品へのダメージにつながりかねないし、とはいえ、しっかりやればやるほど、ゴミはたくさんでてしまうもの。
ミュージアムなどでも同様かつもっと環境負荷が高いのが現状です・・・。
これを解決するために、ART isではなんと!専用のジュラルミンケース(デザイン◎)を作成した!というから、素晴らしすぎて震えます・・・
しかもサイズ別に5種類!!!細部まで行き届いてます。
確かに家の引っ越しでも、ハンガーラックタイプの箱とか、使い捨てないような梱包材を使っている引っ越し会社さんもありますが、アート作品の配送で活用するとは・・・!
これもまた、ふくしまさんのスタイリストとしてのご経験が活きたアイデアかもしれませんね。
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・・・と、ここまでお読みになって、どうしてそこまでふくしまさんに影響を受けるのか、ちょっと不思議に思われた方もいらっしゃるのでは。
少しだけ、自分の話をさせてください。
実はわたし、10年程前に一度だけ、スタイリストのふくしまさんと、お仕事をご一緒させていただいたことがあるんです。今でも、本当によく覚えています。
当時、わたしは20代後半でした。
なんとかしてファッションの近くで仕事がしたい、と転職した、Webマーケティングの会社で、とあるファッションのグローバルブランドの公式ホームページをリニューアルするお仕事の話が舞い込みます。
ただし、数社による競合コンペ。連日残業&徹夜しながら、必死にコンテンツの企画を練り、緊張の中でプレゼンし、なんと見事、勝ち取ったのです。
提案した企画を実現させるため、外国人モデルを起用し、本格的なファッションシューティングを定期的に行うことになるのですが、なんと、チームの誰もが、実はやったことのないお仕事、でした。
上司がツテをたどり、ファッション誌の撮影現場や編集を良く知る、フリーの編集者の方にチームに加わってもらい、ゼロというよりマイナスから、ひたすら叱咤されつつ、現場の仕事を教えてもらって取り組みました。
本当に、一瞬一瞬を見逃すまい、と、常に必死。何もかもが初めてのことで、超絶大変でしたが、今でもかけがえのない経験です。
その現場に、スタイリストとして参加してくださっていたのが、ふくしまさんでした。
ハイファッションの世界の最前線で、スタイリストとして活躍されている方。お仕事ぶりを間近にして、ただただ、"スタイリストの仕事とは""プロの仕事とは"を少しでも知りたい、と、必死でした。
当時いただいた素敵なデザインの名刺を、今でも大切に保管しているほど、わたしにとって印象深い出来事だったのです。
ちなみに、当時撮影していただいたカメラマンの方のことも、ものすごくよく覚えています。
今となっては超がつくほど有名なカメラマンとなり、きっと多くの方が知っている写真を撮ってらっしゃいます。あのとき、お仕事をご一緒できたこと、本当に貴重だったなぁ・・・・。
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あれから10年程経ちましたが、ずっとふくしまさんのことは記憶の中にあって、2021年に確かInstagramで、ARTisのことをたまたま知りました。
ふくしまさんが関わってらっしゃる、と知って、さらにびっくり。
絶対に、代官山のギャラリーに伺いたい!!!と思い続けて、思い続けて。
なのに、なかなかタイミングが合わずにいたら、今回の伊勢丹新宿店でのイベント、と相成ったのです。
でも、これこそ、わたしにとってARTisさんとの最初の出会いの、ベストタイミングだったんだなぁ、とも思いました。
そこには、わたしがなんとかして、ファッションの近くで仕事したかった理由、へとつながります。
ファッションは、身につけることができるアートなんだ。
そう強烈に思ったきっかけは、10代の頃、深夜のテレビ東京で放送されていた番組『ファッション通信』でした。
現在は地上波からBSに移りましたが、今でも番組は続いています。
スマホもケータイもない。やっとインターネットが広まり始めた1990年代。
『ファッション通信』の存在はとても貴重で、欠かさず観ていました。
強烈な個性を持つファッションデザイナーたち。唯一無二の世界を表現しているブランドの数々。ほんの一瞬で終わってしまう、夢のようなショーの演出。
特に強烈に印象に残ったのが、ヴィクター&ロルフと、アレキサンダー・マックイーンでした。今でも大好きなデザイナーです。
大内順子さんのナレーションと、めくるめく映像から、世界は自分が思うよりもずーっと広くて、いろんなファッションがある、多様な文化と生き方がある、と教えてもらいました。
中学や高校の図書室で、ファッション業界の専門誌を探し、パリ・オートクチュールコレクションや、ハイファッションのショーの特集を欠かさず読み続けた数年間でした。
高校卒業後、上京・進学し、東京で服作りの技術を専門的に学びます。
が、自分が作りたい服は、物語の世界を現実に創造するようなものではなく、縫製工場で大量生産されるような工業用パターンから作られる服でもなく、ふつうの人の日常を楽しくするもの、着る人が美しく見えるもの。
自分は、ヴィクター&ロルフやアレキサンダー・マックイーンのようには到底なれっこない。作家やアーティストのようなデザイナーより、職人のような作り手になりたかったのでした。
でも当時のわたしには、ちゃんとわからなかった。どう進んでいったらいいのか、見当もつきませんでした。
今ならやっと、よくわかります。だから、この先の人生でかなえたい夢の一つ、として、今も大切にあたためています。
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時は流れ、30代になって改めて芸術大学で学び始めて、驚きました。
いくら芸術史を学んでいても、ファッションデザイナーのこともファッションブランドのことも、登場してこないのです。
どうやらファッションは、アートとはちょっと別の世界のことらしい・・・
初めて気づいたときは、本当に不思議でなりませんでした。なんで?ファッションだってアートじゃん!と。
誤解を恐れずに、なるべく平たい言葉で書きますと、アートの世界には、とても細かなジャンル分けがあります。
そして、"美術史において、優れた作家・作品"と位置付けられているものが存在しています。
国宝とか、重要文化財とか、人間国宝とか、耳にされたこと、ありませんか。美術の教科書に載っている、というのも。
ジャンルに分かれていれば、確かに理解しやすいですし、第一線の研究者の皆さんが太鼓判を押しているなら、信頼できて、情報や知識としても理解しやすいでしょう。
でも、専門的に学べば学ぶほど、そういう ものさし、だけではない、ということを、特にここ半年くらいは、よく考えていたし、実感するようにもなっていました。
もちろん、知識として知っているに越したことはないけれど、一方でやっぱり、もっと自由に、自分の好きなように、肩の力を抜いて、心が動くままに、当たり前のように、普段の暮らしの中で、アートを楽しんでもいいのではないか、と。
だからわたしはこのタイミングで、ふくしまさんと、ART Is. TOKYO GALLERY さんの取り組みを体感できたのは、きっと大きな意味がある、という予感がしています。
お邪魔した日も、本当にたまたま居合わせた方と一緒に、スタッフのミッキーさんにアートツアーをたっぷりしていただいて、本当に、楽しすぎる時間でした。
何とかしてこの瞬間の気持ちを残しておきたい!という想いが先行しすぎて、今回は、いつも以上にまとまりのない内容になってしまいましたが・・・ 少しでも伝わるものがあったなら、嬉しいです。
ART Is. TOKYO GALLERY さんのホームページ、オンラインショップ、そして、代官山のギャラリーへ、ぜひ機会があれば足をお運びください✨
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