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書評

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読んだ本について書きます。個人的な感想です。
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#キナリ読書フェス

“ジョバンニの夢”としての銀河鉄道【キナリ読書フェス】

“ジョバンニの夢”としての銀河鉄道【キナリ読書フェス】

宮沢賢治の名作・「銀河鉄道の夜」は、主人公ジョバンニとその友人カムパネルラが銀河鉄道での不思議な世界を旅する物語。

銀河鉄道の旅がジョバンニの夢の中のことであるという視点で、物語を振り返ってみたい。

ジョバンニの夢に親友のカムパネルラが出て来る。
近現代的な感覚で言えば、ジョバンニがカムパネルラを想う気持ちの強さである。

父が日本を離れ、母は病に伏せ、幼いジョバンニが働いてその母を支えている

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「贈与」と名付けられて救われた自分の感覚【キナリ読書フェス】

「贈与」と名付けられて救われた自分の感覚【キナリ読書フェス】

「贈与」という単語から連想したのは、経済的な話とか相続云々の話とかで、あまり縁のない世界かなとか思ってしまった。

今回、本著がキナリ読書フェスの課題図書にならなかったら、手に取ることはなかったかもしれない。

だから、キナリ読書フェスとこの本を課題図書に指定した岸田奈美さんにはすごく感謝している。
この本が、私がぼんやりと抱えていた自分の感覚の違和感を解消し、救ってくれたからだ。

「恩返しより

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いらんけど面白いんじゃなくて、面白いためにいるんだぜ【キナリ読書フェス後出し】

いらんけど面白いんじゃなくて、面白いためにいるんだぜ【キナリ読書フェス後出し】

キナリ読書フェスの課題図書にならずとも読まねばならなかった必須本。
それは、もちろん、主催者・岸田奈美さん著「家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった」

noteのエッセイの大ファンなので、大満足するのはわかってる。

それでもそんな読前の期待を、セルゲイ・ブブカもびっくりの飛び越えっぷりで軽々と越える満足感だった。

内容が素晴らしいのはあえて置いといて、岸田奈美さんの文章を面白くす

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フィクションに求めていたもの

フィクションに求めていたもの

岸田奈美さん主催で昨年開催された、 #キナリ読書フェス

5冊の課題図書全てを入手して臨むも、フェスに間に合ったのは、高校生から持っていた「銀河鉄道の夜」と、フェスきっかけで手に取った「世界は贈与でできている」だった。

残された3冊のうち、主催者・岸田奈美さんの「家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった」はフェス後すぐ読んだが、「くまの子ウーフ」と「さくら」は残ってしまった。

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