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言葉やうた

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#文章

花は咲く 人は歩く よるのなか

月にあたって、草は青く光る
暗がりに真っ白な花が群れて咲いてた
重なりあった白い花弁は
薄い闇に透けて
あでやかにそこに在った
命を結ぶときを密やかに待って

しんしんと夜は冷えていく

人は夜道にふろしきを広げて
星をかき集めた
何万年も何光年も前の、光の痕跡

わたしはわたしの気配を追って
ただただ歩いた
そうして月あかりにくるまれた
いくつものやさしい夢をみつけた

夜は深みを増していく

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淘汰(とうた)

淘汰(とうた)

淘汰

とうたされるものの中で
わたしは立ち止まって見てたいんだ

愛しい記憶をそっと守りあって ここでなにが見えるだろう

目が合う 人と人が笑う
音と音がぶつかって
音楽が溢れだした
その瞬間に言葉は消える
音だけが残る

とうたされるものの中で
わたしは立ち止まって見てたいんだ

ちっちゃくなって
死んでゆくときが
もしかしたら明日来るかもしれない
それでも命を振り絞るようにありがとうと

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