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マルチタスクで効率アップは幻想?認知機能・集中力・生産性の低下を引き起こすマルチタスクの怖いお話

大学の講義がほとんどオンラインになって、誰にも見られてないのをいいことに授業中に別の科目の課題をやることもしばしば、、、

講義内容は話半分だからテスト期間には結局勉強しなおす羽目になる、でも1科目2コマ連続で計3時間話だけをじっと聞くのはなんだか手持無沙汰。

そんな2020年の前期を過ごして、

講義を見ながら別のことをやるの(いわゆるマルチタスク)って結局効率化に役立っているの?という疑問がふつふつと湧き上がってきました。

今回は、コロナ下でオンライン化が進んだことにより、費やした努力や時間よりも結果が評価される文化が浸透しつつある今こそ考え直したいマルチタスクの有用性についてまとめました。


◎そもそもマルチタスクなど存在しない

スタンフォード大学やマサチューセッツ工科大学の研究では、

マルチタスクは人間にとって不可能な行為であり、一般的に「マルチタスク」と考えられている行為は「タスク・スイッチング」に過ぎない

ということが報告されています。

このタスク・スイッチングは、優先順位をつけることが出来ない複数の要求に脳をさらすので、認知処理能力の低下を引き起こします。

同じ部位(前頭前野)の取り合いが生じ、競い合うように押し寄せる多数の刺激に圧倒されることで、過剰なストレスに見舞われた脳は縮んでしまうらしいです。

誰しもが経験するであろう「一日中忙しく働いていたはずなのに、やらなければいけないことはちっとも減っていない」という状況が起こる理由はこれに起因します。

マルチタスクで効率よく複数のタスクをこなそうとすることが脳機能の低下を招き、その結果皮肉なことにすべてが中途半端になってしまうんですね。


◎マルチタスクがやばいよって研究いろいろ

人はマルチタスクなんてのは出来ないことが分かったわけですが、複数のタスクを同時にこなそうとするとき(俗にいうマルチタスク)も問題がたくさんあるようです。

例えばハーバード大学の研究では、職場においてタスクからタスクへと注意を向ける先を切り替える頻度の高さは、生産性の低さと相関関係があることがわかっています。

能率の高い社員ほど注意を向けるタスクを変える回数が少なかったみたい。

さらにこの研究では、マルチタスカ―はシングルタスカ―より、外部から邪魔が入ると影響を受けやすい(ほかの情報が入ってくると、もともと取り組んでいた作業の能率が落ちる)傾向にあることも発見されました。

マルチタスカ―ほど「目の前の作業とは無関係のことに手を出すのは辞めよう」という抑止力が利かず、集中力も鈍かったということです。

これは上で述べた、脳機能の低下が引き起こしていると思うのだけれど、その相関関係について書かれた論文は見つからなかったですね~

上司がマルチタスクを試みながら(書類整理やメールの返信なんかをしながら)部下の話を聞くと、話を聞く行為自体の時間が長引いた上に部下からの信頼を失ったという研究なんかもあります。


◎対策として「シングルタスク」の勧め

マルチタスクでいろいろ問題が発生するならシングルタスクに切り替えればいいじゃないというお話です。当たり前だけどね。

シングルタスク(一つのタスクに集中して取り組む)は、マルチタスクの弊害を防げるのはもちろんのこと、幸福度を上げることが出来るというアドバンテージがあります。

人が持続的に幸せを感じるために必要な要素として、心理学の世界では「PERMA」というものが良く挙げられていますが、その中の一つにエンゲージメントというものがあります。

幸福についてもっと知りたい方はこちらを読んでね


エンゲージメントとは「没頭すること」を指しているのですが、シングルタスクで物事に取り組むと没頭状態に入りやすくなることが明らかになっています。

マルチタスクでは常に注意が分散されるため「没頭」は起こらないので、その点においてシングルタスクのほうが優れているんじゃないかということですね~

もちろん、マルチタスクをした際におこる認知機能や集中力、生産性の低下も防げます。一石二鳥だ


◎ちなみに(マルチタスクに該当しないものは?)

ちなみに「話しながら料理する」「音楽を聴きながら車を運転する」といった行為は、今回さまざまな問題が発生するとされた「マルチタスク」の中には含まれないそうです。

同時に行う2つのタスクが互いに干渉しない(どちらか一方の作業が「意識的な努力を必要としない活動」である)ときには脳に大きな害はないみたいですね~

とはいえ、無意識のうちにこなせる作業の中に、突然注意力が必要な作業がはいってくることもありえるので、できるだけ一つのことに集中するに越したことはないと思います。


◎さいごに

今回はマルチタスクの問題や解決策をいろいろまとめてみました。

「シングルタスクが理想なのはわかってるけど、そんなのは時間がある人しかできないだろ!」と考える人にはこちらの本をおすすめします。


メンタリストのdaigoさんもおすすめしている本で、科学的根拠を踏まえてシングルタスクの有用性についてまとめられています。

例えば、「上司に急ぎの用事を言いつけられて、タスクを変更せざるを得ない」だとか「仕事の最中にも話しかけてくる同僚がいて、注意の分散を制御できない」といった、シングルタスクを実践するにあたって立ちはだかりそうな問題の対処法も具体的に載っています。

「シングルタスクの入門書」として非常に役立つかと思います。

これからも「科学に基づいた生活に役立つ知識」や「20代大学生のうっきうきな挑戦」についてまとめていこうと思いますので、少しでも興味を持っていただけた方はいいね、コメント、フォローもよろしくお願いします!

ここまで読んでいただきありがとうございました!

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