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彼女と初めての旅行!ホテルの部屋に人影が浮かんでた話

怖さ:★★☆ 少し大人向け:★★☆

以前お世話になった先輩が「二十歳くらいだったから、30年くらい前か?」と語ってくれました。当時、都内の大学に通っていた彼は、お付き合いを始めて間もない彼女と2人で旅行に行くことにしました。

行き先は小田原。季節は冬、2月くらいだったそうです。付き合い始めたばかりで盛り上がっていたし、そもそも女性と2人で旅行に行くなんてこと自体、人生で初めてのことで、とにかく楽しかったそうです。

2人がホテルの部屋に入ると中はすでに暖かかったので、「あ、ホテルの人が暖めておいてくれたんだ」と思ったそうです。

でも、壁についた暖房はOFFになっていたので、スイッチのつまみを回して暖房を入れました(当時はエアコンのリモコンではなく、壁に付いている丸いダイヤルを回して、OFFとか、1、2、3とか温度調節をするのが一般的?でした)。

泊まった部屋は小さく、入り口から入ってすぐのところに洗面所・浴室があって、奥の方にベッドがある、ビジネスホテルみたいなつくりです。

彼女が「お風呂入れるね」と浴槽にお湯を張って、洗面所で何かをやっている間、ベッドに座ってぼんやりと浴室から白い湯気が出てくるのを見ていました。が、そのうちに、湯気が昇って、だんだん何かの形になっていくのに気が付きました。ちょうど、部屋の扉の前、やや高い位置で人間の上半身のような白い影になっていくのです。

「扉の上に、開け閉めの時に動く棒みたいのあるじゃない?あそこにTシャツを着た上半身だけの男性の後ろ姿がぶら下がってるみたい」に見えたそうです。でも、別に気にすることはありませんでした。

翌日は小田原で観光して楽しかったので「もう一泊しよう」と再び同じホテルに泊まると、今度は別の部屋に通されました。

ところがその部屋は、入っても暖かくはなかったそうで「寒いね」「冷たいね」とあわてて暖房のスイッチを入れました。

「今思うと最初に泊まった部屋はなんで暖かかったのかな?とか、高い位置にぶら下がってるみたいだったな、とかね」と、思い出すと気になることがあるなぁと言っていました。

話し手:40代 男性
採取時期:2019年10月
採取場所:居酒屋

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