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30秒で読める小説 / 古今東西の「愛してる」

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古今東西の「愛してる」シリーズをまとめています。
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#140文字小説

古今東西の「愛してる」:報告

古今東西の「愛してる」:報告

聞いてよ

こないだご飯食べ行ったのね

そうあのファミマの向かいのとこ

したら突然指輪出してきてさ

「愛してる」

だって

そんなの急にされたらびっくりするじゃん

私泣いちゃってさ

そしたらあいつも泣いてやんの

ウケるよね

いやノロケとかじゃないよ

そんなわけでお母さん

今度わたし結婚するよ

天国から見ててね

===後記===

仏壇に向かって手を合わせて思いを伝える、とい

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古今東西の「愛してる」:31歳の同窓会

古今東西の「愛してる」:31歳の同窓会

31歳という繊細な時期に催された高校の同窓会。

みんな久しぶり過ぎて、初対面と知り合いの中間ぐらいだ。

そんな中見つけた昔の彼氏。

「久しぶり」

と話しかけてくるその表情には、一流商社マンの矜持が滲み出ている。\

上質なスーツと光る指輪。

「愛してる」

と言う彼をフッた当時の私、殴り飛ばしたい。

===後記===

あの時ああしておけば...といったタラレバな話は、何歳になってもつ

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古今東西の「愛してる」:20人の子供

古今東西の「愛してる」:20人の子供

叔母は毎年、20人いる子供たちから誕生日を祝われる。

が、その中に血がつながった子はいない。

みな元は戦争孤児なのだ。

似顔絵や手編みのセーターなど、子供たちの趣向を凝らしたプレゼントに、叔母は目を赤くする。

「愛してる」

この光景を見る度に、親子の愛に血縁関係は必要ないのだと、強く思う。

===後記===

親子の絆に、血縁関係は必要なのか?というテーマで膨らませてみました。

日本

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古今東西の「愛してる」:ヒーローインタビュー

古今東西の「愛してる」:ヒーローインタビュー

「それはもちろん、ファンの皆さんのおかげです」

試合後のスタジアムは異様なムードだ。

「それでは、ファンの方々へ一言」

こんな緊張は初めてする。

「愛してる」

「え?」

「あ、いや、ファンの皆さんに向けてです」

「なんだか愛の告白みたいですね」

「いえ...」

公共の電波、キミのために使ってみた。

===後記===

がんばれ、日本代表!

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