「読書の大切さ ―― 積み上げた知識で見える景色と3人の男、と教師と生徒の授業風景」ショートショート

教師:みんな、このイラストを見てほしい。
生徒:これは・・・!

そこには壁を見る男が描かれていた。
その壁にはきれいな空の絵が描かれている。が、、、

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教師:どう感じるかな?
生徒:めっちゃ壁にイラスト書かれてる! バンクシーみ!!! 第二のバンクシー!!! バンクシーがこの町にはいるんだ!!

教師:いや、そこはいいんだよ。そこは
生徒:でも、こんなきれいな絵をこんなガレキの壁に書くなんて、バンクシーくらいの反骨精神が・・
教師:そこはそんなにふかぼらないでよ
生徒:すみません!!! そうですね、バンクシーが反骨かとかそういうのは結構論争がありますから・・・
教師:いやそこじゃないんだけど。。。まぁいいや

生徒:で?
教師:で、というか、この絵には二人の男が描かれているだろう。どう思うかね
生徒:あ!!

そこの絵に描かれている男。一人は壁を見つめ、もう一人の男は書物を重ね、台のようにして
壁の外の風景を見ていた。

教師:どうかね、
生徒:めっちゃ本踏んでる!!!! めっちゃ粗雑!! さすがスラム街と思しき場所! 本の扱い方がなってない!!

教師:ちゃうねん
生徒:でも先生、いつもめっちゃわいらに本を丁寧に扱うようにいってるじゃないですか!! それをこんな地べたに重ねて踏んでますよ!!
教師:いや、そうなんだけどね、これは、その比喩として!
生徒:比喩!?

教師:そう。比喩! この本は知識の比喩、こうして重ねたものがあると、見える風景が違うということを表しているんだよ
生徒:めっちゃ説明感!!!
教師:ここまで言わせられると比喩に対して悪い気さえする不思議!!!

生徒:なるほど、この本が自分の積み重ね、蓄積ということなんですね。それで壁を越えた向こうの世界が見えると、、深い!!
教師:軽!!!

生徒:でも先生、、、この風景は、、、結局勉強しても見える世界がこんな薄汚れた世界では
壁を見て、明るい気分になっていた方がいいとおもっちゃうよ。
教師:そういう見方もあるね。
生徒:そうだよ。せっかく苦労して勉強したり知識を学んでも、それで世界の見え方が変わったとしても
見えた世界がこれじゃあ、、勉強なんかしたくないっておもっちまうぜ!
教師:そうだね。。そういう見方もある、、、しかし、こういう続きがあるとどうかな?

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そういって、教師は隠れていた絵の残りを見せた。
するとそこにはさらに本を積み上げて、雲を抜きぬけ、青い空を望む男が描かれていた

教師:どうかな
生徒:めっちゃ危なっ!!!!!!!!! アブな!!!! 
教師:いや、そこはええねん
生徒:積み上げすぎやん!!! どう考えても積み上げすぎ!!! 危ないって!!!!
教師:だからこれは比喩なのよ、隠喩なのよ。。
生徒:そうなんですか!?
教師:そうやねん。勉強するのは無意味さだけじゃない。突き抜けることで、地平が見えることがあるという、ね。
生徒:なるほど。。。。。勉強するのは悪いことじゃない。知識が見たくなかったものをみえるようにするだけじゃない。世界のすばらしさを教えてくれる、ということを比喩として表しているんですね!!!
教師:・・・・・そやねん。
生徒:比喩、すげーーーー!!!!
教師:比喩がすごいというか、すごい比喩というかだね。

生徒:でもありがとうございます! 勉強する意味を先生は僕たちに伝えたかったんですね!!
教師:そうさ。勉強や知識に意味なんてない、という人もいるがそんなことはない。そして知らない方がいいこともある、という人もいるかもしれないが
それも違うということを伝えたかったんだ。こうやってきれいな本当の空をみるためには必要なことなのさ
生徒:ありがとうございます!
教師:わかってくれたかい
生徒:はい! 勉強のすばらしさがわかりました!
教師:ならよかった。君も、この三番目の男を目指したいと思っただろう。

生徒:いえ!!
教師:・・・・え?

生徒:比喩とわかりながら、そして学ぶことの大切さを説く絵や比喩としてわかったうえで言うならば、
やはり学ぶことの多くは2番目の姿が多いのではないかと思います。
学ぶことの大切さを啓蒙するために、3番目のイラストが描かれているのだと思います。
いささか、3番目は理想がすぎるのではないかと思います。そして世界を単純化しているといえますか。
でも、それでも知識や学ぶことの大切さが失われるわけではありません。
2番目の僕らの暮らす世界なんですから。ずっと、青空を見て、過ごせるわけではありませんよね。
でもだからこそ、あきらめず、そして理想におぼれず、なお、2番目の真実を見つめて、生きる人に私はなりたい。

だから、僕は学びます。

教師;う、、、、うん。

最後まで読んでくれて thank you !です。感想つきでシェアをして頂けたら一番嬉しいです。Nazy