七瀬川ひらぎ

七瀬川と申します。 文章を書く力をつけるためnoteを始めました。 趣味で小説を書い…

七瀬川ひらぎ

七瀬川と申します。 文章を書く力をつけるためnoteを始めました。 趣味で小説を書いています。

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最近の記事

【小説】さよならは言えないから

■以前エブリスタに投稿した作品を加筆・修正したものです 「どうして! 何でなの!」  9月。秋晴れの候。声を荒らげて怒鳴る彼女を目の前に、彼女がこんなに怒るとこは初めて見たなあ、なんて呑気なことを考えた。  怒りに震えながら、床にぺたりと座り込む彼女を見つめる。ふっくらとした桜色の唇を強くかみ締めるのを見る度に、皮膚が切れてしまわないかと場違いなことさえ思ってしまう。そのくらい頭が全く働かない。働かせようとしても、思考は脳を抜けてするりとどこかへ逃げてしまう。これは、子

    • 【小説】永遠の愛と反抗期

      (百合表現を含む作品です)  十六歳を迎える誕生日の朝、父に大事な話があると書斎に呼び出された。  どうやら、私は不老不死というものらしい。それは遺伝性のもので、子を成すと自身は不老不死では無くなるのだという。  初めて聞いた時は、まるで呪いのようだな、と思った。  不老不死といってもある程度は成長するし、怪我や病気だってする。ただ、死なないだけだ。  どんなに酷い怪我をしても、どんなに高熱に魘されようと、決して心臓は止まらず脈を打っていた。これに関しては実証済みだ。

      • 【小説】七月八日

         今年の七夕は神様の機嫌が良かったらしく、昼間は雲ひとつない快晴。夜はうるさいほど数多の星が夜空で瞬いていた。世間は軽いお祭りムード。ニュースでも七夕で賑わう各地の様子が報じられていた。どこかの地方のお祭り、天体観測をする家族、仲睦まじそうなカップル。インタビュアーの質問に対し、嬉しそうにお願いごとを話す少女は見ているだけで微笑ましい光景だ。かくいう私も記念にと、使い慣れていない携帯のカメラアプリを駆使しながら、七月七日の夜空を写真に収めた。  浮かれムードで撮影したのはいい

        • 【小説】夜寒

           冬が一層と深まり、暖房が手放せない季節。特に夜の寒さは厳しく、激しい風が窓ガラスをたたく音が聞こえる。お気に入りの音楽をかけていたのだが、風の音にかき消されてしまった。今夜は一段と空が荒れているらしい。雪が降らなければよいのだが。  作業を中断し、ふと壁にかかった時計を見る。時刻は23時を指していた。通りで寒いと感じるはずだ。お風呂で温まった体はとうに冷えてしまっている。いくら暖房をつけていようと、なかなか体の芯までは温まらない。もう少しでレポートが完成するというのに。風の

        【小説】さよならは言えないから

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        • 小説
          8本
        • ひとりごと
          4本
        • 季節の留書
          1本

        記事

          【小説】フルーツサンド

           初めてそれに出会ったのは中学三年生の時。今でもよく覚えているの。だって、サンドイッチといえばバターを塗ったパンに、卵とか、ハムとか、キュウリとかを挟むものでしょう。ツナサンドやカツサンドもおいしいわよね。  何かおかずになるようなものを、バターを塗ったパンに挟み込む。これが私のサンドイッチに持っていたイメージ。  だから、初めてフルーツサンドを見たときは本当にびっくりしたの。あれは中学三年生の秋。少し遠い高校に、友達と模試を受けに行った帰り道。少しおなかがすいたからと、コ

          【小説】フルーツサンド

          スケジュール帳は真っ白な方がうれしい

           「休日には予定を入れて、充実な日々を送りたい」「予定が詰まっていないと不安になる」という方もいらっしゃると思います。ですが、私は全く逆の考え方を持っています。私は、スケジュール帳が埋まっていると目をそむけたくなるような人間です。むしろ何も予定のない日があると、嬉しくなってしまいます。  理由として考えられることはいろいろあります。一人の時間が好きなこと、人と会うとすごく疲れること、体力がないこと、勉強やゲームなど一人でやりたいことがたくさんあることなど。週休二日制ならば、

          スケジュール帳は真っ白な方がうれしい

          【小説】早朝の街中で

           7月が訪れてから2回目の木曜日。窓の向こうから聞こえるのはセミの声。夏用の薄い掛け布団に身をくるませながらスマートフォンを見ると、ホーム画面の時計は午前4時半を示していた。  どうやら目覚ましが鳴る前に起きてしまったらしい。起きなければいけない時間まで、あと1時間ほどある。もう一度眠りにつこうかと思ったが、すっかり目が覚めてしまっていた。  起きたばかりのぼんやりとした頭でこれから何をしようかと考える。スマートフォンで動画を見るのもいいし、本を読むのもいいかもしれない。だが

          【小説】早朝の街中で

          【小説】一体いつから大人なの

          「どうすれば大人になれるの?」  そう尋ねると、「コーヒーが飲めるようになったらね」と笑いながら母は答えた。 確かに大人はよくコーヒーを飲んでいる。漫画の世界でも、ドラマの中でも大人はみんな黒くて苦い液体を飲んでいたかもしれないと、子どもながらに納得した。  まだ小学生だった私は、それからあまり好きではないコーヒーを飲むようになった。  砂糖もミルクもたっぷり入れた甘ったるいコーヒーは、もはやコーヒーなんて呼べるものではなかったのかもしれない。もしコーヒーであったとしても

          【小説】一体いつから大人なの

          ずっと泣き虫

          小説やドラマなどで「泣けば済むと思ってるの?」などといった言葉を見たり聞いたりすると、ドキッとしてしまいます。 別に直接向けられた言葉ではないのに、まるで私に言われている感覚に陥ってしまうのです。 私は泣き虫です。 感情が高ぶるとすぐに泣いてしまいます。 悲しい時や落ち込んだときはもちろん、怖かった時や何かに怒っているとき、自然と涙が出てきます。 また仕事や人間関係などで疲れた日々が続くと、家に帰った瞬間涙が止まらなくなります。 その癖はほぼ自分一人の時に起きるのですが、

          ずっと泣き虫

          忘れてしまうことが怖い だから私は記録する

          最近記憶の衰えを感じる。昔の記憶が段々とおぼろげになってきている。 それがどうしようもなく怖いのだ。 過去に何があったのか、その時に何を感じたのか、考えたのか。 楽しかったことも、悲しかったことも、苦しかったこともすべて忘れてしまうで恐ろしい。思い出を忘れることは、自分が空っぽになりそうで怖い。 年を重ねるごとに自分の考え方や感じ方が変化していくのがわかる。 「成長した」とも言えるのだろうが、成長過程にあった出来事や成長以前の自分を忘れてしまうのは、なんとなく自分が自分で

          忘れてしまうことが怖い だから私は記録する

          2020年 秋の記録

          もう冬も本格化しはじめそうなので、秋の振り返りを。 今年はマスクをしていたからか、金木犀の香りがあまり楽しめなくて残念でした。あの甘い香りがしないと、「秋が来た」という実感があまりわかないんですよね。 ですが、紅葉は去年と同じくとてもきれいでした。 同じ季節は二度来ない。いつもと変わらないところがあるとちょっとホッとします。 秋刀魚を食べたのも片手で数える程度。 その代わり、栗のモンブランやお菓子で秋の味覚を堪能しました。 美味しいりんごの品種も見つけ、大満足。 来年

          2020年 秋の記録

          会食恐怖症を知ってほしい ~私と会食恐怖症~ 【後編】

          こんにちは、七瀬川と申します。 これは、先日出した記事「会食恐怖症を知ってほしい ~私と会食恐怖症~」の後編部分となっております。                  前後編あわせてお読みいただけると幸いです。 3.仲の良い友人との食事前編でもお伝えしたように、会食恐怖症が起こらず、普通に食事ができる場合もありました。 それは、これまで何度か食事を重ねた、気心の知れた友人と食卓を囲む場合です。 そのようなときは吐き気も腹痛もほとんど起こらず、穏やかに食事をとることができま

          会食恐怖症を知ってほしい ~私と会食恐怖症~ 【後編】

          会食恐怖症を知ってほしい ~私と会食恐怖症~ 【前編】

          こんにちは、七瀬川と申します。 今回は会食恐怖症についてお話したいと思います。 少し長いので、前編・後編と記事を分割しています。 後編も近日中にアップいたしますので、よろしければあわせてお読みください。 【追記:12月6日 後編をアップいたしました】 1.人との食事が苦手私は、人との食事が苦手です。 慣れない相手や初対面の方と食事をすると、おなかが痛くなったり食べ物が呑み込めなくなったりしてしまう。 そのようなことは昔からありました。 例えば、学年や学校が変わ

          会食恐怖症を知ってほしい ~私と会食恐怖症~ 【前編】

          自己紹介と目標

          こんにちは、七瀬川と申します。 本日二回目の投稿になります。 先程の記事で自己紹介ができていなかったので、今後の目標とともにお伝えしたいと思います。 1.自己紹介名前:七瀬川 年齢:成人済み 性別:女性 趣味:だらだらすること、資格の勉強 noteでは普段思っていること・考えていることや、これまでの自分の経験について書いていきたいと思います。 2.今後の目標最終的には、小説を一つ完成させたいと思っています。 というのも、私は今まで小説を書こうと何度か挑戦をし

          自己紹介と目標

          note、はじめました

          初めまして、七瀬川と申します。 ずっと迷っていたのですが、自分の考えや思いを文章に起こすトレーニングをしたいと思い、この度noteに登録しました。 私は頭の中でいろいろ考えることはあっても、それを整理して文章化したり、心の中や頭の中のもやもやを言語化したりすることが苦手です。 この文章を書いている時間も、他の方よりずいぶん長くかかっている思います。 ですが、いつまでも苦手意識を持っているだけではいけない。 この先の人生においても、このような能力が求められてくることは

          note、はじめました