見た目が九割
『美人はブサイクより、一年間で60万円ほど得をする。』
てなことをテレビでやっていた。
美人は男性から食事に誘われる機会が多かったり、
車で送り迎えをしてもらったり、
プレゼントをもらったり、、、
ということらしい。
またアメリカのダニエル・S・ハマーメッシュ氏は、著書『美貌格差-生まれつき不平等の経済学』の中で、「美形はそうでない人より、生涯で2700万円も得をする」と記している。
私の個人的な話をするならば、オトコマエに全く興味が無い。従ってオトコマエを特別扱いすることもなければ、オトコマエに貢ぐこともあり得ないので、私と関わる男性に関しては、全く当てはまらない。
しかし巷では『見た目が九割』という言葉もあるように、人間は外見を重要視しがちなのであろう。
『見た目を気にするなんて、人間くらいのもんだ』
そう思っていた私だったが、どうやらそうではなさそうなことが起きた。
我が家の近所には、『クッキー』という名のゴールデンレトリバーがいた。
ご存知の通り、ゴールデンレトリバーは被毛がフサフサだ。
綺麗でツヤのある長毛。
太陽に当たった時には黄金に輝く毛色。
歩くときも、走るときも、艶やかで美しい黄金の被毛がサラサラと風になびく。
家族から大切に飼われていたクッキーも、金色の美しい被毛をなびかせながらシッポをフリフリ散歩へ出かけていた。
ところがある日のこと。
散歩帰りのクッキーに会うと、容貌が大きく変わっているではないか。
ご自慢の長い金髪が、全身短く刈られていた。皮膚トラブルで全身を短くカットされたのだそうだが、その刈り方があまりにもヘタクソ過ぎた。どうみても角刈りのオッサンなのだ。
私は思わず笑い転げた。
「クッキー!何そのアタマーっ!」
あかん。
笑ったらアカンけど、笑ってしまう〜!
やはり全てはバランスだ。
ゴールデンレトリバーは、あの長い被毛があるからこそ、つぶらな瞳が可愛らしく、垂れた耳もチャーミングなのだ。
ヘタクソな角刈りにされたクッキーは、そのつぶらな瞳も、垂れた耳も、全てがオトボケ。笑わせるためにわざと変顔をしているとしか思えないほど可笑しかった。
クッキーを見て大爆笑。
このリアクションは私だけでは無かったようで、角刈りクッキーに会った人は皆が皆、同じように笑い転げたらしい。
するとだ。
クッキーが道の端っこを歩くようになったというのだ。
『今、オレの見た目はイケてない』
そう思ったのか、いつもなら堂々と道のド真ん中を通るクッキーが、小さくなって端っこを歩くようになった。
そして向かいから小さなトイプードルがやってきた時、なんとクッキーは目を合わせず下を向いて端を通り、やり過ごしたのだ。
クッキー!!!すまぬ!!!
まさか、そんなに自信を無くしてしまうとは、、、!
人間たちが爆笑してしまったからこそ、クッキーは自分の容姿に自信を失くしてしまった。容姿に対する自信喪失は、彼の自尊心をも傷つけ、行動も変えさせた。
『見た目は大事』
人間だけでなく、犬にも当てはまるのだと教えられた出来事であった。
ちなみに自信を喪失したクッキーだったが、角刈りにしたおかげで皮膚トラブルは完治。自慢の金髪もフサフサに戻った。
そしてもちろん。
散歩の時には、自慢の被毛をなびかせながら、道の真ん中を歩いているそうだ。
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