【中編小説】向日葵の日々
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常人であれば居酒屋の厨房内くらいでしか見る事のないであろう四リットルのボトルに詰められた焼酎を、これも常人であれば見る事のないプッシュ式のディスペンサーからグラス内へと落とし入れる。注ぐ、というよりは、落とす、という表現のほうが正しかった。グラスの半分ほどまで焼酎が満たされると、そこに一リットルの紙パックに入った緑茶を注ぐ。元が二十五度の焼酎であるから、十二三度の緑茶割りが完成した事になった。酔いが回り始めていた事で注ぎ口がグラスから外れ、テーブルの上に酒が溜まった。