マガジンのカバー画像

俳句、短詩

156
自分の俳句作品や、鑑賞、思いなど気ままにまとめています。また、短歌などの短詩形作品などについても触れています。
運営しているクリエイター

2022年10月の記事一覧

風通しの良い心と体へ

風通しの良い心と体へ

俳句に限らず、日常生活全般において、不調というほどではないけれども
「何となく、いろいろなことがスムーズに回っていないな」という時が往々にしてある。しかし、相変わらず仕事は毎日後を追いかけてくる。
そんな日々が長く続くと、ストレスを自分の中からうまく逃がすことができず、よくわからないイヤーな疲れが心身に澱のように沈殿していく。

コロナ以降、とくに顕著になっているような気がする、こんな状況。
「心

もっとみる
明日へ弾む言葉たち:三輪初子句集『檸檬のかたち』

明日へ弾む言葉たち:三輪初子句集『檸檬のかたち』

表題句
切る前の檸檬のかたち愛しめり

何となく切るのが惜しくなる檸檬の形状と感触。
切った後の金色の果汁と香りを想像しながら、今しばらく「まったき姿」を五感で楽しんで。生き生きとした感覚が快い一句だ。

本句集は下記の句から始まる。
こはれさうな自由隠せし春ショール

「自由」。美しいけど不確実なもの。
でも、この作家になんと相応しい言葉か。

次の句は、小さな旅立ち。ささやかな日常。
折紙の舟

もっとみる
他者の俳句の中にいる「私」:『オルガン』29号を読んで

他者の俳句の中にいる「私」:『オルガン』29号を読んで

俳句誌『オルガン』は既に30号が出ているというのに、いまさら29号の感想とは遅くて申し訳ありません^_^; 前回は28号について書きました。

29号にはメンバーの作品や連句とともに、句集を読んでの座談会が掲載。
この座談会、個人的に考えを巡らす機会を与えてくれました。
取り上げられた句集は遠藤由樹子句集『寝息と梟』。
私も大好きな句集で、下記note記事として感想を書きました。

「オルガンの人

もっとみる
【俳句20句】林檎ふたつ〜『初恋の悪魔』を基に

【俳句20句】林檎ふたつ〜『初恋の悪魔』を基に

林檎ふたつ

柏柳明子

われからや僕は読まれなかつた手紙

兄弟のはかなきあはひ星流る

龍淵に潜む鋏に蒼き黙

小鳥来る電卓に数字は積もる

教室の透明人間ねこじやらし

連れてゆくわたし未来の本棚へ

ともだちと平仮名で呼ぶ秋の虹

鼻歌で温める夜食は君の

秋の灯や一緒に居る 息できる

長き夜の貨物列車を見て二人

眠る時ひとりに戻る林檎の香

満月や代りに怒つてくれるのか

入れ替る記

もっとみる