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おじさんクリエーターの呟きとボヤキ:1マーケティング思考とデザイン思考は両立するの?

今まで「クリエイティブマネジメントのススメ」というテーマでnoteに
投稿してきました。このテーマは継続する予定ですが、このテーマを
書きながらも呟きとか、ボヤキみたいなモノが自分自身にあることに気づき
別なタイトルで投稿したくなったので始めます。

あるマーケッターからデザイン思考って一言で言うと?と問われたとき
さっと答えられませんでした。私はパッケージデザイナーであり
広告の企画・制作を行う企業内クリエーターとして36年間生きてきたので
気にしていましたが、デザイン思考を調べたことはありませんでした。
早速、本を購入して(だいたい、この手の本は別な著者で2冊購入します)
読みましたが、書かれていることは、自分がクリエーターとしてごく普通に
思考することであり、特段珍しく、いゃ~勉強になったな~ということは
ありませんでした。
読み進めても、これはデザイナー&クリエーターに向けたモノではなく
マーケッターが新しい思考方法を習得するための教科書であると感じる
ことが出来ました。
そんなにまでしてマーケッターは、新しい思考法を身につけなければ
成らないように追い込められているのか? しかも、デザイン思考・・・
私たちの領域まで入り込む必要がどこまであるのか?
と最初は短絡的に受け取りました。

■マーケットもお客様も変化しています。
基本的に、日本のモノ作りの姿勢として“良い物を作れば売れる”といった
成功体験がずっと続いてきましたよね、私が勤務した企業も同様な考え方
だったな~と思います。
しかし、その神話も崩れ、モノの飽和状態も進み、さらにデジタル化の波は
新しいモノの活用方法など従来のモノを企画して製造して販売する
既存プロセスに一石を投じてお客様の行動と意識の変化を起こしました。
従来のマーケティング手法ではお客様を見つけられなくなっているのだ
ということが感じられます。インサイトといった言葉に代表されるように、
お客様のニーズ・ウォンツ・需要の掘り起こしなど如何にしてお客様を
振り向かせるかの手法が求められているのもその表れでしょう。
確かに、あらゆるモノが気軽に手に入るようになり、情報もスマホで検索
すれば即座に入手できますし、また昔に比べ、所有欲よりシェアをする感覚
も強くなり一筋ならではいかない消費者・お客様なのだと思います。

■マーケッターの今!?
マーケッターも大変な時代に突入したのだな~と思います。
そのために学ぶというか、方法論・手法論探しのためのセミナーや講座が
さまざま開かれて盛況であると聞いています。
自分自身、クリエーター&デザイナーとして思う事は、常に変化する生活の
困りごとに気づくことだと思うのですが・・・と簡単に書いてしまいましたが
この“気づく”というのがとても大変なことなんですよね!
特にマーケッターであれば、その“気づき”に出会ったにしても、論理的に
しかも数値化してトップを説得、納得させなければなりません。
デザイン思考で行われるプロトタイプで施策をしてみるなど、取りあえず
試してみるといった柔軟なプロセスなど、発想しづらいのではないかと
思います。
現在マーケッターは最新のマーケティング理論に加えて、さらに
デザイン思考などの新しい思考方法を武装手段として身につけようと
しているように思います。これは様々な仕事の質を上げると言う点で
日本のキャリア形成の良い点でもありますが、なかなか難しい点でも
あると企業の中にいた時に感じていました。
自分自身は、36年の積み重ねたキャリアでスキルを身につけ、それなりに
プロフェッショナル意識も生まれましたし確固たる自信もつきました。
しかし日本企業の3~5年で職場を転々と変えてしまうキャリア経緯だと、
決してマーケティングのプロフェッショナルを生みにくい環境ではないか
と思えます。日本と異なるキャリア形成を持つ外資系の企業から優秀と
呼ばれるマーケッターがたくさん輩出されていて、その後、さまざまな
日本企業で輝く業績を作られているのを見るにつけ何が正しいのか
よく分かりません。
一定期間でしかない多くの日本企業のマーケッターが、その時に何でも
理解して、何でも出来なければいけないのでしょうか?
この点は、日本人の何でも極めるという意識が災いしているようにも
思えます。気合いで出来る人は決して多くないと推測するのですが
いかがでしょうか。

■クリエーター&デザイナー組織からマーケティング組織への異動
先ほど36年のクリエーター&デザイナーのキャリアと書きましたが
製造業である勤務先での業務の主体は、マーケティングプロセスを前提に
話が進みます。当然、その知識を必要とするので教えてもらったり
独自で学習してそれなりの努力をしてきました。
しかし、企業の根幹であるマーケティングを優先する組織構造の中では
マーケティングの実務経験を持たない個人的な学習だけのキャリアでは、
なかなか処遇含めて活躍の場を広げる・高めるコトが出来ません。
クリエイティブ組織として、クリエイティブ人材として、もっと会社に
対して貢献度を高めるためには、マーケティング組織で実働を学ぶ方が
効果的なのではないかということになり適正のある人材を送り込む
ことを始めました。3年ほどのマーケッターキャリアを積んで
クリエイティブ組織に戻すということを数名行いました。人材によっては
適性が開花してそのままマーケッターになった者もいます。
このように意外とクリエイティブ人材は柔軟にマーケッター視点を
身につけて帰って来ました。
基本的に、クリエイティブ人材と言われるは、論理性や、売り上げ、
DATAなどの数値は弱いというか苦手意識があると思われますが、
決して出来ないわけではなく進んで行いたいと思っていない、
やらないで済むのであればそうしたいと考える人種なのです。
好きなクリエイティブに没頭したいと、ピュアに考えているだけなのです。
では、この反対が起こったかというと私が勤めた企業で、その事例は
有りませんでした。しかし、他の企業を見渡すと資生堂さんや
広告会社で営業担当がクリエイティブ担当に変わるという、その事例が
有ります。ただし決して多く起きたことではありません。
これらの事例が示すことは、いわゆるマーケッターがクリエイティブな
デザイン思考を操るのは、かなり大変な事であると言うとコトに
繫がっていることが分かります。
デザイン思考の書籍にも、身につけるのは何度となく繰り返して行う
修行のような訓練が必要と書かれてあり、知識として簡単に身につける
というわけにはいかないことが示されています。

マーケッターとは長年つき合って来ましたが、担当する商品に対する責任感
というか、商品そのものが自分であったり、親であったり恋人でもあったり
と並々ならぬ思いを注ぎ込むので、結果なんでも自分でやらなければ
済まない人材に変化していくのを見てきました。また、内部・外部の様々な
方々の支援を受けるので判断含め何でも出来ると思いがちになるようにも
感じてきました。
しかしクリエイティブをマネジメントするのは至難の業です。
あるTV広告をたくさんされる企業でクリエーターじゃなく、マーケッター
経験があり現在広告の制作管理をされている方から、なかなか上手く
出来ない、どうすれば良いのか?といった具体的な答えを求められることを
何度となく受けたことがあります。
職場における立場からか、どうしても自分が理解しなければ、やらなければ
と思うのでしょうか汲々とされているな~と感じましたが、
現場にご一緒しているわけでもなく推測しながら答えるしかなく、
こちらも中途半端な気持ちになった記憶があります。

■どうすればいい?・・・簡単な方法?!があります。
マーケッターとクリエーターが同じ目標に向ってペアで仕事すればいい。
なんでもかんでも担当一人でやるのではなく、役割分担すれば良い
のだと考えます。
勿論、マーケッターとクリエーターが同じ企業、同じ釜の中にいることが
条件になります。
機能としての広告は、広告会社でも構いませんが、企業の存立をささえる
商品・サービスの開発は、このペアが行えば良いと思います。
パッケージデザイナーを抱える日本企業は、それなりに多いようです。
しかしパッケージデザイナーとしてだけしか活用していないことがほとんど
ではないかと思います。おそらく、彼ら彼女らはデザイナー・クリエーター
目線で様々なことに気が付いていますが、場が無いので言葉にしていないと
考えられます。
企業サイドには、抱える人材を最大限に活かしてほしいし、
デザイナー・クリエーターには、自分の会社・商品・サービスに関して
普段から感じ・考えて発想したことは遠慮してないで話しましょうと
言いたいですね。
とっても長~い、初めての呟きとボヤキでした。

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