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クリエイティブマネジメントのススメ9 BtoB TV広告編

■BtoB広告における課題とは?

ターゲット(大衆)になかなか刺さらない、反応が少ないなど
お嘆きの方がいらっしゃり、たま~に相談を受けます。
でも、それなりに業界の方々には、企業ブランド認知の向上という点で
効いているのではないでしょうか?
私はBtoCを専門にしてきた企業内クリエーターですが、BtoB的な
広告の企画と制作も行ってきました。それは企業広告というジャンルで
TVCMは勿論、グラフィック媒体である新聞広告は数え切れないほど
制作をしてきました。
これは企業ブランド・企業活動を全面的に押しだしたコミュニケーション
ですがターゲットはお客様(消費者)でもありますが、
業界であり社会をターゲットにして企画していましたのでBtoB広告の
要素を含んでいます。
この企業広告というジャンルも、なかなかくせ者で、Happyに成れた
記憶は新聞広告での電通賞などの受賞でありますが、CMの映像は
なかなか芳しい結果を残せていません。なぜなら、
本来、企業の創立に遡ればシンプルだったはずの志が、事業の多様化を
背景に複雑になり、社内のあちらも立てて、こちらも立てるとなると
ますますボケた、どことも違いの無い着地に落ち着いてしまいます。
といって、ある事業のトピックスに特化してもTV広告を見る視聴者は
一人のお客様であり生活者。自分に関心の無い事には振り向きません。
TV広告から、当社はこんな仕事していますと言われても、
あっそう・・・それで?私の現実の生活に対して何が関与するのか?
何をしてくれるのか?
分からない、理解出来ないモノには心を寄せられないのです。
視聴者は、ほんとうにシリアスな目線でTV広告を見ています。

■あらためてBtoB広告とは何?その評価は?
BtoB広告における最終目標はなんなのでしょうか?
そのメーカーの企業ブランド認知の向上でしょうか?
それともそのメーカーの事業内容の理解向上でしょうか?
どちらも、纏めると“企業を知ってください”ということですよね。
メーカー名と事業内容が知られていれば、新しい業務先を開拓するのも
し易くなり、依頼もされやすくなるでしょう。
しかも、知られると優秀な人材確保する可能性も高まります。
リクルート活動にも効果を発揮します。

現在、さまざまなBtoBのTV広告がオンエアされています。
延々と企業ブランドの認知を広める・高めるメーカーのTV広告や、
多様化した事業を手を替え品を替え数種類のTV広告で訴求するメーカー、
そして、主力事業に特化した訴求を行うメーカーなど、
まさに多様な展開を見せています。
多彩な手法が駆使されていていますが、広告の基本となる手法も多く
あらためて学ぶことも多いと思います。
気になるのは、どの様な指標で社内評価されているのでしょうか?
BtoC広告では、明快に“売り上げ”という指標があるので、売り上げ貢献
からみて良い広告・よくない広告の評価がハッキリします。
企業広告の評価という点でいると、
自分が所属した食品メーカーは、毎年企業イメージ調査を行っていて
親しみがあるとか、先進的であるとか数多くの項目で
時系列でイメージの変化を見ていました。
企業として成りたい姿を設定し、それを達成するためにはどの項目の
数値が高くなれば良いのか?ということで追っかけていました。
しかし難しいのは、ネーミングライツやスポーツ支援活動などの
影響もあり、商品ブランドの営業や値引きなどと同様に、
広告だけでは数値の良し悪しが計りきれないとされることも多くあり
なかなかスッキリしません。

■こんな事例があります。

この映像は、所属したメーカーが地道に続けて来た事業活動を紹介した
企業メッセージ広告です。
普段の商品広告のターゲットを対象にしたクリエイティブ調査では、
ご覧に成った方のCM評価は、“良い活動をしている”と
すこぶる良いのですが好感度に全くつながりません。
テーマは“母の子供に対する思い”で、日本のお客様も同様に
共感してもらえる内容だろうと考えましたが、
良い活動をしているとちゃんと理解をされますが、
「遠い異国の話でしょ」ということで、自分事につながらないのです。
日本におけるグローバル意識の課題もあるとは思いましたが、
これが現実の評価でした。
ターゲットをどこに設定するか、
どのように、お客様との接点を太くし自分事化していただくか?
緻密な計算が必要だと学びました。

こちらは、
2017年に制定したグローバルコーポレートブランドロゴを制定した
コトを切っ掛けに企画し制作した、初めてのグローバル向け企業
メッセージ広告です。
ご覧になって分かるように、様々な事業を広く紹介する仕立てに
なっています。
海外の各国でメディアを購入してオンエアすることが出来ないので
さまざまなSNSを活用して映像を、ある期間アップしました。
海外向けのWEBサイトは既に開いていましたが、驚いた事に、
今までそんなにアクセス数が無かったサイトに、1億ビューを超える
アクセスに跳ね上がりました。
単純なことですが、発信すれば、それなりに反応は返ってきます。
恐れること無く、発信し続けて、グローバルに対しても
クリエイティブのマネジメントを習得していくしかないのだと
こちらでも学びました。

■BtoBの先にC
最近、SDGsにおされて、あまり注目されなくなりましたが、
アメリカの経済学者マイケル・ポーターが2006年提唱した
Creating shared value、略称:CSV企業による経済利益活動と
社会的価値の創出(=社会課題の解決)を両立させること、
およびそのための経営戦略のフレームワークを指す。(ウィキペディア)
とありますが、このフレームは充分活用出来るのでは無いかと
思います。
BtoB企業であれBtoC企業であれ創業時の思いは、
最終的に人々の豊かな生活・社会を夢見たはずです。
それは直接ではないにしても、
必ず人の生活の何かに関わっていますよね。
それにこだわりクリエイティブ表現に結びつけるコト、
ここに大きなヒントが隠されていると思っています。
事業は社会と人の生活に関与しなければ成り立ちません。
BtoB広告を突き詰めるとBtoBtoCなのですよね。
何故なら社会や企業は、人で構成されているから・・・
人の心を動かせる広告に注力するそんな視点を強く持つことが
大切なのだと思います。
企業も法人とも呼ばれますので、やはり“人”でしたね。

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