マガジンのカバー画像

創作のもの

34
詩や小説など
運営しているクリエイター

2021年2月の記事一覧

ガラクタの恋

ガラクタの恋

この平凡な日々の中で
ただ前を向いて歩く

そんな当たり前が
なんと困難なことだろう

僕は足を無くした子供みたいに
明日を夢見て泣きじゃくる

掌に納まるものなど何もなく
心はぽっかり空っぽだ

君の頬に触れたくて
伸ばした腕はガラクタで

からからと音を立てて
転がり落ちたのは両の目だ

真っ暗闇で彷徨う声は
誰の耳にも届きはしない

始まりがないものだから
終わりがなくて果て

もっとみる
小さな女の子

小さな女の子

「こんばんわ」
小さな女の子が僕に声をかけてきた。

「今日も遅かったね。お腹すいたけぇ、はよーご飯にしよーや。」
彼女はなぜか流暢な広島弁で話しかけてきた。

そもそも、なぜここに小さな女の子がいるのか。
いやいや。小さなと言っても小さいにもほどがある。
「小さな女の子」と聞けば、年の小さな女の子を想像するだろうが。そんな単純な話ではない。

ここは、僕が一人で住んでいる一軒家。
仕事から帰って

もっとみる
あのころの詠

あのころの詠

大人になるという現実を
何を持って証明しよう

ケラケラと子供みたいに笑って
ウダウダと子供みたいに泣く

気に入らないと泣き叫び
暴れてわがまま突き通す

大人になるという現実を
何を持って証明しよう

腹の中ではぐるぐると
真っ黒のくだらなさが回り

天辺に開いた口の中からは
サラサラと嘘八百を吐く

悟ったふりをしては
出来損ないの自分を嘆く

大人になるという現

もっとみる
キミとボク

キミとボク

渇いた身体がキシキシと
崩れるように衰える

誰が見る目も考えず
我が道進んで振り返る

後悔なんてモノはもう
カラカラに渇いた砂のよう

焦る気持ちを引きずりながら
永い時間を生きていく

あの頃見ていた夢なんて
とっくの昔に見えなくなった

そんな僕らの未来の先は
未だ見えない先の先

涙を流して転がりながら
僕らは仲間と笑っているよ

君に届け

君に届け

ここに居ない誰かに
届く言葉を紡ぐには

僕は何をすればいいのだろう

ここに居ない誰かに
届けたい言葉があるから

僕は今日も泣き笑い

貴方を想い、生きている

だいすきな人

だいすきな人

大好きな人に褒められたくて
今日は少し頑張った

こんな単純な自分を

今日は昨日より

好きになれた

休日の仕事

休日の仕事

空はよく晴れている
今日は洗濯物もよく乾くだろう

冷たい風は変わらずに
終わらない冬を感じさせる

ベランダは軋む
静かな部屋にも響くように

珈琲は一人分
ドリップすれば事足りる

始まったばかりの今日の
終わりを待つ一日の始まり

告白

告白

君に、伝えたいことが沢山あるのです

それでも、臆病な僕は
言いたいこと半分で口を閉じる

大好きだから、嫌われたくなくて

そんなことで嫌いにならない君だと知っているのに

愛想笑いで誤魔化す僕は

いつまでも君を、忘れられないでいるんだ