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「ご飯を炊くという事」昭和の心

「僕の昭和スケッチ」イラストエッセイ167枚目

<「ご飯を炊くという事」© 2022 もりおゆう 水彩/ガッシュ 禁無断転載>

実家の台所に古い竈門(カマド)があったのを覚えている。

そこで炊いたご飯をお櫃(おひつ)に入れてちゃぶ台の脇に置くのだ。
そのお櫃というのが中々優れもので、入れておくとほんのりと木の香が移って良いのだった。昔は、どこの家でもそうしていたものだ。

それが、ある日学校から帰ると白い電気炊飯器が台所に置いてあり、シューシューと湯気を吹いていた。
「便利になって有難い!」
お袋はそう言って喜んでいた。
冷蔵庫、洗濯機、電気炬燵、家庭がどんどん電化されていく時代だった。

だが、数年後お袋は、こんなことを言って昔を懐かしんだ。
「やっぱり、カマドで炊いたご飯の方がおいしかったわぃね・・・」
だが、竈門はもう無かった。
無用の長物とされ、既に取り壊されてしまっていたのだ。

電気炊飯器は1924年に登場し、当初は「電化ガマ」と呼ばれていたようだ。
実際の普及は1950年代後半からと言われている。
時は流れ、令和の今は炊飯器の機能も格段に上がり、電気でもおいしくご飯が炊けて保温にも優れたものが出回っている。

けれど、どう転んでも竈門で炊いたご飯に勝るものはない、、、
と思いたいのが我ら昭和の戦後世代だ(笑)


<©2022もりおゆう この絵と文は著作権によって守られています>
(©2022 Yu Morio This picture and text are protected by copyright.)


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