舟橋純

語学好きの徒然ノート。

舟橋純

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最近の記事

4月9日

批評があまり読まれなくなったと言われるが、当たり前じゃなかろうか。批評をどう利用すればいいのかわからないんだから。 「僕はそういうつもりでこれを書いたんじゃない」なんて言い続ければ、誰がその人の書いたものからなにかを得ようとするだろうか。 人はただ文章を読んで満足するようなものでは決してなく、なにかを得て、それを自分のなかに取りいれて、自分の生活なり仕事なりに活かしたいと思うから文章を読むものだ。 人の文章からなにかを読み取って自分なりに使おうとしたら「ダメです」って言われ続

    • 韓国語の発音変化に対する根本的な誤解

      なぜだろう。なぜ書かれている通りに発音しないのだろう。 そう思ったこと、ありませんか? おおかたの韓国語の教科書には、ハングルの書き方の後にその発音方法を説明しているものですが、たいてい「発音変化のルール」みたいに書かれています。 たしかに、ルールといえばルールなんですが、 ちゃうねん。 そうじゃないねん。 これは覚えなきゃいけない嫌なものじゃないねん。 うわぁ、いっぱいあるなぁ、めんどくさ……ってものじゃないんです。 発音変化が起こる、その根本的な理由。これがわかれ

      • 3月17日

        日本語と韓国語で漢字語は共通点が多いとよく言われるしその通りだと思うんだけれども、語感まで含めてきちんと一致していると言える単語はどの程度あって、それは何という単語なのか、そこまで含めて教えてくれるWebリソースが見つからない。 どういうことかと言うと、例えば「計算」という言葉だ。日本語ではふつう数字の加減乗除の計算とか式の計算とかいろいろ言うが、韓国語ではこれをお会計の意味で使う。계산해 주세요. と言えばこれは「お会計お願いします」であって「計算してください」ではない。

        • 和語探検~する(擦る)~

           つれづれなるままに、和語をおもうままにひろげるこころみをせむとてするなり。常識的な範囲で、できるだけ和語を漢字で書かないで文章を書く実験もかねている。  擦る(以下和語であることを示すために「スる」と表記)、ということばをひろげてみよう。どんなことばのひろがりがみえてくるかな?  「スる」は「あるもの」と「べつのもの」がふれたまま「あるもの」をうごかすこと。これでうまく定義できてるのか、ちょっとわからないけども……。  車のドアと道路脇の壁をスってしまった、というときは、

          なぜ言葉にアクセントをつけるのか

           様々な地方でアクセントの付け方が異なる。でも、そもそも言葉にアクセントをつけるのはなぜだろうか。ふと疑問に思ったので、少し考えてみる。  ぱっと思いつくのは、ある言葉と、それとは異なる別の言葉を区別するためだ。例えば女の子の名前で「由紀」というのがある。AKB48の柏木由紀さんなんかの、あの「由紀」。それと、空から降る「雪」。これらは明確にアクセントが異なる。  東京式アクセントで読んでみる。高く読むところはH、低く読むところはLで示す。そうすると、由紀:HL、雪:LHと

          なぜ言葉にアクセントをつけるのか

          方言習得論②――別に理由はいらない

           方言習得論を作るにあたって、とりあえず思いついたことを書いてみようと思う。  方言を習得しようと思うと、すぐさまぶち当たる一つの問いがある。  「なぜその方言を習得しようと思ったのか。その方言を習得する目的は何か」  当たり障りのない答えで言えば、「その方言が話されている地域の人々の輪に早く溶け込めるように、言葉を勉強しようと思った」といったあたりだろうか。ごく自然な考え方である。旅行でその場所に行くことになった、あるいは仕事の関係でその場所に引っ越すことになった、と

          方言習得論②――別に理由はいらない

          方言習得論①――習得論が必要

           きっかけは、両親の出身地である九州の方言に興味を持ったことだった。 「両親の出身地の方言をマスターして喋れるようになったら、喜んでもらえるかもしれない」  はじめはそういう、いたずら心にも似た興味だった。  九州方言をマスターしてみたい。では、両親の出身地であるこことあそこの方言はどういうものなのか。調べてみよう。  で、調べてみた。Wikipediaで事細かに書いてくれている人がいる。ありがたい限りである。単語をいくつか両親に聞いてみる。  ――〇〇って言葉はどういう

          方言習得論①――習得論が必要

          方言は直すものではない【沼へ②】

           前回は日本語について勉強するのにおすすめの本をいくつかご紹介しました。  こういった本を読んでいくとき、知っておくと理解を促す効果があるかもしれないいくつかのことについて、今日は書いていきたいと思います。  【〇〇〇】:命題、として、これにコメントをつけていく形で行きます。 【昔の標準語は京ことばである】  徳川家康が都が江戸に移すまで、最も言葉の権威が強かったのは京都のことば。「標準語」、あるいは「共通語」。この概念は昔はないけれども、言うならば昔の標準語は京都方言で

          方言は直すものではない【沼へ②】

          ここに沼がある――日本語沼へ

           前回の記事で、「日本語を勉強しようぜ」って話をしました。  勉強しようぜって言われても、どういうことからやっていけばいいのか――何か教科書でも買って学ぼうって話? 巷でよくある「大人の語彙力」とか「美しい日本語とは」みたいな話?――よくわからないでしょうし、このメッセージだけ伝えてほっぽらかすのもちょっとどうかと思うので、僕が今まで読んできた本を、分野別に紹介したいと思います。  日本語の学ぶといっても色々な分野があります。さっきは勉強、なんて堅苦しい言葉で言いましたが

          ここに沼がある――日本語沼へ