頭の中の整理②

以前別のブログで書いていた記事です。2022年のもの。
――――――――――――――――――――――――――――――

続き。
 コロナウィルスが流行り始めた頃からカードショップに行くのがおっくうになった。当時のモダン環境に対する不満がそれに拍車をかけた、という流れ。
 結局、僕はマジックそのものをプレイしなくなった。ドラフトという別のフォーマットも好きだったから、そっちに力点を移すのもありかなとは思ったけれど、感染防止のために手袋をはめてカードをピックする姿を見て、そこまでしてやりたくはないなと思ったのである。
 マジックをプレイしなくなると、途端に時間が浮くようになった。なんせずっとそればっかり考えていたものだから、ぽっかり空白が生まれたのである。
 それでどうなったかというと、本を読むようになった。元々大学時代は時間さえあれば本を読んで文章を書くことに情熱を燃やしていた超ド文系なので、カードゲームをプレイしていた頃に失った読書の習慣が戻ってくるのも早かった。
 それと、暇になった時間で、外国人に日本語を教えるようになった。といってもリアルタイムで教えるような本格的なものではなくて、HiNativeというスマホのアプリ上で、である。そのアプリでは、勉強したい各言語のネイティブに直接文章を修正してもらったり、音声で発音を教えてもらったりすることができる。そこに上がってきた、日本語の文章の修正依頼に応えたり、文章を読み上げて発音を教えたりした。
 この変ないきさつをひとに話すと、へー真面目だね、なんて言われるのだけど、自分の中では新しいスマホゲーにハマりだすのとそう大差ないことなのである。真面目でもなんでもない。暇にまかせてやってみたら面白いからやっていただけである。
 そうやってひたすら何百個も日本語に対する質問に答えているうちに、実は自分が本当に確信を持って答えられる質問は少ないということに気付いた。自分自身が日本語のことをよくわかっていなかったのもあったし、相手が質問に使う言語がよくわかっていなかった。大半の質問は英語か中国語か韓国語である。だいたいこの三つ。それ以外の言語圏の人に対しては英語で解説するようにしていた。
 自分自身が日本語のことをよくわかっていないことを痛感し始めて、それで、日本語の本を読むようになった。日本語の文法とか、方言とか、アクセントの仕組みとか、そういう関連の本だ。漢字の本も読むようになった。もちろん漢字で書かれた本、ではなしに、漢字について解説した本である。深堀りし始めるとこれが楽しくて、かなりの量読んだのだけど、これを外国人にどう説明するかなと悩んだりもした。
 ともあれ、この、日本語を解説した本を読み漁るようになった過程で、失っていた読書の習慣を取り戻したと思う。

2022年3月15日


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?