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【日記】まだ浮かれる時間じゃない

4月29日土曜日。目覚めは好調。

低気圧特有の頭痛や倦怠感はあるものの、いけそうな気がしていた。


今日は例の"イイ感じの人"と会う予定。
前回同様、待ち合わせ2時間前くらいから体調が悪くなる。

会いたいけど、会うのが億劫

なんとも勝手だが、この時の気持ちを形容する言葉が
この他に見当たらなかった。

事情を知っている彼女に体調不良であることを正直に伝えると
「無理しなくていいよ。もし少しでも会えそうなら最寄りの駅に行くよ。」
と言ってくれた。
その一言で、少し心は軽くなった。

だが会っている最中もそうでないときも
「付き合う」という事を考えるほど
体調が悪化しているのは明らかだった。

「【記録】メッキを塗るコスト」にて設けた3つのルールのことを
彼女に伝えた。
「3回連続で体調不良続いたら付き合えなかも、ごめんね。」
好きな相手にそんなことを告げられたら、内心穏やかではいられないはず。

だが彼女は黙って聞いてくれた。


皮肉にも、それを話してから
みるみる体調がよくなった。
鳩尾あたりに渦巻く「黒くて鈍い何か」がゆっくり消え去った。


まだ、恋愛で浮かれていい時間じゃなかったのかもしれない。




4月30日日曜日。今日はテニスの区民大会の日。

ダブルスで一緒に出る約束をしていた父親が、僕を起こしに来る。

体調は最悪だった。

体は鉛のように重く、首筋から肩甲骨にかけて鉄板が入っているような感覚。
こめかみは締め付けられ、眼球は強く引っ張られる。
おまけに「試合中に発作が起きたらどうしよう」という予期不安付き。


昨日よりもしっかり低気圧にやられていた。

だが、約1年ぶりに出場する試合を諦めたくなかった。
それに、心のどこかで
”調子が悪い時に自分がどのくらいのパフォーマンスで活動できるのか"
試してみたい気持ちがあった。

父親に腕を後ろに引っ張ってもらい、胸を広げる。

「発作が起きても、その時考えよ。」

そう思ったら、途端に試合が楽しみになった。

お気に入りのウェアに着替え、テーピングを巻き、
テンションを上げるために香水を一振り。


試合は4組1グループの総当たり。
4ゲームマッチ、ノーアドの最低3試合。


調子が悪かったわけではないが、結果は全敗
しかしそんなことはどうでもよかった。

試合に出れた。しかも絶対に出れないと思うくらい体調の悪い日に。


僕はよく書籍やYouTubeで有名な精神科医である
樺沢紫苑先生を参考にすることが多いが
その先生が「病気を治したければ『まあ、いいか』と言ってみよう」
と言っていたことの意味がようやく分かった気がする。

最低限予防線を張るのは大事だと思うが、
治療に躍起になっていたころよりも病気を治すことに拘ることを辞めてからの方が調子がいい。
なにより今回、「発作が起きないでほしい」ではなく
発作が起きて迷惑かけても、まあいいか」と考えたことで
試合に出れたことが何よりの証拠であると思う。


全敗したため昼前に試合が終わり、昔からの友人に遊びに誘われたため
午後は友人と遊んだ。
ダーツして、カラオケして、そして居酒屋。

以前家族と居酒屋にいるとき、飲酒をきっかけに発作が起きてから
飲酒と密室が怖くなり、しばらく避けていたが
心配しようとしまいと発作が起きるときは起こるし、起こらないときは起こらない
発作が起きてしまえばどうせ苦しいのだから、発作が起きていないときくらいは脳のリソースを楽しいことに使おう
発作が起きても、まあいいか

結局予期不安も発作も起きることなく、1日を終えた。
久しぶりに心の奥の張りつめていたものが緩んだ気がする。


よく一歩踏み出した。
偉いぞ、俺。


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