音大の脳みそ・理系の脳みそ(ミュージック・キャンバス)

音楽教室の常識に「異なる常識」をぶつけることで、学ぶ楽しさをあぶり出す取組を続けていま…

音大の脳みそ・理系の脳みそ(ミュージック・キャンバス)

音楽教室の常識に「異なる常識」をぶつけることで、学ぶ楽しさをあぶり出す取組を続けています(16年目)。「大人ならではのレッスン」の開発、「専門家と素人の壁」を打破する取組。投稿は宮本淳。https://www.music-canvas.net/ 新百合ヶ丘/ボーカル/ボイトレ

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内側からは見えない「音楽教室が抱える課題」と、当教室の取組

音楽教室の在り方としては、主に2つのタイプがあります。 ・専門家を育成する ・教養として音楽に触れる機会を提供する 上記は、きっちりと分かれているわけではなく、これら2つが曖昧なまま、レッスンがスタートしているケースも多いように思います。 私たちが作ってきたのは後者、かつ、「好きなことをトコトン追求する教室」です。 好きなことに取り組める教室は数多くありますが、「トコトン追求する」となると、その数は、非常に限られます。それは、「講師に求められる熱量」が半端ではないから・・

    • 【気になる記事】大人のピアノ教室が活況・・・なのか!?

      毎日新聞の昨日(7/15)の記事です。 「大人のピアノ教室が活気づいている」という紹介から始まる記事ですが、読んでいくと、「大人の教室」に関して、具体的な数字が出ているのは、以下の情報のみ。 ・全国約1300カ所で、18歳以上が対象の「おとなの音楽教室」を運営している河合楽器製作所 →21年から持ち直し、2023年の在籍者10,424人 計算すると、一教室平均、「在籍者8名」ということになりますが、これ、本当なのでしょうか?? これで活況だという認識なら、それはそれで

      • 健やかに「音楽と付き合える人」になってもらいたい

        人の評価にさらされるというのは、多くの人にとってストレスです。知識を蓄えるほどに、点数が上がっていく受験勉強のような世界とは違い、音楽は、誰かに評価されて、うまいかどうかが決まる世界。周囲の人の声を気にするあまり、何を信じれば良いかわからなくなってしまうなんてことは日常茶飯事です。 このようなストレスと、どうやって付き合っていけば良いのか。それは、音楽人生を左右するほど大きな課題なのに、音楽教室においては、全くと言っていいほど注目されていないように思います。(先生だけを信じ

        • 【音楽教室】講師の給料が上がらない理由を理解すると、「上げ方」が見えてくる

          頑張っている人が報われない世界は良くない。けれど、現在の枠組みの中では、どれだけ頑張っても給料は上がらないと思う。 その理由を、ざっくりと整理してみようと思います。 現状を理解するまず、背景として、以下のようなものが挙げられると思います。 ・講師の供給過多 ・子どもが減っている一方で、大人のレッスン需要はそこまで伸びていない ・習い事に出せる金額には限界がある 音楽教室に限ってみると、小さな規模のお金を、多くの講師で分け合っている。 そんなイメージです。 大手教室に勤

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          レコード芸術ONLINEの成否は、初心者の獲得にかかっている

          レコード芸術ONLINEのクラウドファンディングに注目しています。雑誌という視点に限ると、どうやって存続するかという、界隈の話になってしまいますが、大枠で考えると、今回の件は、「クラシック」が抱える問題そのものであり、今後の試金石になるようにも思うからです。 どうやって新たなファンを獲得するのか。 問題は、ほぼ、この一言に集約されるように思います。 レコ芸ONLINEのターゲットは、コア層、潜在層、ビギナー層(レコード芸術初心者)とのことですが、今回のクラウドファンディン

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          【発表会】「ちょっと違う」を幾重にも重ねていくと・・・

          あなたも行きたくなる?!それとも出演してみたい?! 皆が考える発表会と「ちょっとずつ違う」、当教室の発表会の魅力を紹介していきます。 準備が違う 歌はメロディ、リズム、歌詞が楽譜通りに歌えれば、その時点で形にはなります。「歌えた」という事実だけを見れば、一つの完成を迎えたと言えるのかもしれません。それならば、練習にひと月もあれば十分でしょう。ただ、歌の本当の面白さは、「その先にこそある」と私自身は思っています。  発表会に向けて、半年をかけて練習をしていく過程では、生徒さ

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          小さな防音室の理想と現実

          防音室があったらなぁ。 以前は防音室と言ったら、専ら演奏用でしたが、最近では、YouTubeなどの収録や配信、オンライン会議・レッスン・ゲームなど、その用途が広がっています。逆に言えば、「趣味の演奏だけのために、防音室を買うのは厳しい」とためらっていた人が、家族を説得しやすくなったとも言える状況です(笑)。 当方、仕事の関係で、ヤマハ、カワイ、オーダータイプと、異なる3種類を購入した経験がありますが、「イメージと違ったな」と感じるのは、いつも、実際に使い始め、しばらくたっ

          【音楽教室】実現できていないこと、実現したいこと(2024年版)

          「必要だから、やる」というのは、専門家の考え方です。そのための時間は、他を削ってでも捻出します。だって必要なのだから。 それに対して、ある一定時間の中でやるのが、趣味という領域です。必要だとわかっていても、それ以上、時間をかけられない。そういうことは頻繁にあります。 そのような意識の違いに気づいていないと、専門家である講師と生徒との間で、すれ違いが生じてしまいます。 でももし、上達という目標で一致しているのであれば、講師は、「なぜやらないの?」と考えるのをやめてしまうの

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          【対談⑤】社会と繋がる教室を目指して(音楽教室)

          「講師じゃない人」がいる音楽教室、というテーマで、15周年記念の対談を収録しました。「講師じゃない人」は果たして、どんな仕事をしているのか。その人がいることで、何が変わるのか。開校以来の15年を振り返りながら、核心に迫っていきます。 <全5回> ①「講師じゃない人」が見てるもの ②「講師じゃない人」がやってること ③「講師」の描く社会、実際の社会 ④視点が2つあることの意味 ⑤社会と繋がる教室を目指して ■プロフィール ミュージック・キャンバス 2009年に夫婦で開校した

          【対談⑤】社会と繋がる教室を目指して(音楽教室)

          【対談④】視点が2つあることの意味(音楽教室)

          「講師じゃない人」がいる音楽教室、というテーマで、15周年記念の対談を収録しました。「講師じゃない人」は果たして、どんな仕事をしているのか。その人がいることで、何が変わるのか。開校以来の15年を振り返りながら、核心に迫っていきます。 <全5回> ①「講師じゃない人」が見てるもの ②「講師じゃない人」がやってること ③「講師」の描く社会、実際の社会 ④視点が2つあることの意味 ⑤社会と繋がる教室を目指して ■プロフィール ミュージック・キャンバス 2009年に夫婦で開校した

          【対談④】視点が2つあることの意味(音楽教室)

          【対談③】「講師」の描く社会、実際の社会(音楽教室)

          「講師じゃない人」がいる音楽教室、というテーマで、15周年記念の対談を収録しました。「講師じゃない人」は果たして、どんな仕事をしているのか。その人がいることで、何が変わるのか。開校以来の15年を振り返りながら、核心に迫っていきます。 <全5回> ①「講師じゃない人」が見てるもの ②「講師じゃない人」がやってること ③「講師」の描く社会、実際の社会 ④視点が2つあることの意味 ⑤社会と繋がる教室を目指して ■プロフィール ミュージック・キャンバス 2009年に夫婦で開校した

          【対談③】「講師」の描く社会、実際の社会(音楽教室)

          【対談②】「講師じゃない人」がやってること(音楽教室)

          「講師じゃない人」がいる音楽教室、というテーマで、15周年記念の対談を収録しました。「講師じゃない人」は果たして、どんな仕事をしているのか。その人がいることで、何が変わるのか。開校以来の15年を振り返りながら、核心に迫っていきます。 <全5回> ①「講師じゃない人」が見てるもの ②「講師じゃない人」がやってること ③「講師」の描く社会、実際の社会 ④視点が2つあることの意味 ⑤社会と繋がる教室を目指して ■プロフィール ミュージック・キャンバス 2009年に夫婦で開校した

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          【対談①】「講師じゃない人」が見てるもの(プロローグ)

          「講師じゃない人」がいる音楽教室、というテーマで、15周年記念の対談を収録しました。「講師じゃない人」は果たして、どんな仕事をしているのか。その人がいることで、何が変わるのか。開校以来の15年を振り返りながら、核心に迫っていきます。 <全5回> ①「講師じゃない人」が見てるもの ②「講師じゃない人」がやってること ③「講師」の描く社会、実際の社会 ④視点が2つあることの意味 ⑤社会と繋がる教室を目指して ■プロフィール ミュージック・キャンバス 2009年に夫婦で開校した

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          大人が「学び直す」って、「学び方を見つめ直すこと」じゃない?

          「新しいものに取り組む」というと聞こえが良いですが、裏を返せば、これまでの古い自分と向き合うということでもあります。過去自分が取り組んできたものを受け止め、整理し、取捨選択して初めて、新しい概念を受け入れることができる。それが大人の学び方です。ひたすら知識を蓄える、学生時代までの学びとは違う難しさがあります。 リスキリング、学び直し、人生100年時代など、様々なキーワードと共に、新たなサービスが勃興していますが、その多くが、知識やスキルを効率良く配信するサービスであるように

          大人が「学び直す」って、「学び方を見つめ直すこと」じゃない?

          「演奏を目的としない」ピアノレッスンで、音に親しむ

          音楽に対してコンプレックスを抱いている人の多くは、実は、多少なりとも音楽を経験してきた人です。こんな風に歌ってみたい。でも今さら、基礎を学ぶなんて・・・。 自身が描く理想と現実のギャップを、どのように埋めていけば良いのか。路頭に迷う人は驚くほど多いのに、その行き先が提供されていません。 現実的な方法を模索すること。そして、人の気持ちに寄り添うこと。 その両立を目指して、私たちはレッスン開発を行なってきました。 その一つが、演奏を目的としないピアノレッスン。 少し砕けた言

          「演奏を目的としない」ピアノレッスンで、音に親しむ

          音大の脳みそ・理系の脳みそ(異なる見え方を想像する)

          音楽教室という古くからある形態の中で、「新しいものを生み出す」というと聞こえが良いですよね。でも実は、古くからあるということは、あらゆることが考えつくされているということでもあります。ですから、パッと思いついた方法で、「劇的な改善」が図れるわけではありません。 そこで私たちは、音楽教室の常識に「異なる常識」をぶつけることで、本質に迫ろうという取組を続けています。 教室として最も大切にしているのは、レッスンの中で生徒が「なるほど!」と腑に落ちる感覚を得られるかどうか。その積

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