精神と時の部屋

閉塞感が足の裏から膝の後ろを伝って腰をひとまわりする。倦怠感を伴う痛みが尻の上あたりを痺れさせて背骨を這い背中を撫で回して肩をコチコチに硬くしてしまう。それから心臓を圧迫して首の後ろが狭窄され呼吸が浅くなり身体の自由を奪っていく。

思考回路はショートしていて相手の要望を拒否する。さっきまで整然と見えていたはずの言葉は道順を見失って目の前から消える。相手に伝えたいことを伝えるのは不可能に思えてくる。

手垢のついた使い古されたはずのタネつきの言葉を探しているうちに同じ意味の言葉を連続して何度も言ってしまう。

そんな自分に気づいてまた違う道を探して狼狽し、この時間がいつまでも続くような錯覚を覚える。早くこの瞬間が終わることだけを願って意味不明な言葉を口走る。

まるで迷路みたいな不安定な精神に迷い込んで目が乾き涙袋は枯れて一瞬でずいぶん老け込んでしまう。

疲れる。

後になってみると、長く感じた辛さも一瞬だったと思える。これこそ精神と時の部屋だなと感心したりもする。


この部屋に出たり入ったりして私の人生は形作られてきた。問題はそこで何も得ようとしなかった心意気にあった。

サポートしていただいたお金で、書斎を手に入れます。それからネコを飼って、コタツを用意するつもりです。蜜柑も食べます。