インド物語-バラナシ⑤- 12 安藤むるめ 2020年3月1日 14:50 細い路地に旅人は足を止めた。ここは伝統と貧困と観光が混沌として道を曲がりくねらせ、どこにもある出口と、どこにもない出口を用意した人生の迷路になっていた。私の宿のオーナーも元は旅行者の韓国人女性で、この町から抜け出せなくなった一人だ。昨日オープンしたゴールデン・レトリーバーが店頭に立つカフェのカウンターの女性は日本人で、店内は日本からさっき運ばれてきたような懐かしい材木の匂いがした。宿までの帰り道、ふと前をみると虹が見えた。よくみると人だった。角を曲がったその虹の人の後を追っていったら道に迷っていた。 この記事が参加している募集 #404美術館 31,684件 #一度は行きたいあの場所 52,829件 #エッセイ #写真 #毎日note #毎日更新 #コラム #毎日投稿 #旅行 #ショートショート #一度は行きたいあの場所 #404美術館 #インド #虹 #紀行文 #迷路 12 サポートしていただいたお金で、書斎を手に入れます。それからネコを飼って、コタツを用意するつもりです。蜜柑も食べます。 記事をサポート