インド物語-バラナシ⑤-

画像1 細い路地に旅人は足を止めた。ここは伝統と貧困と観光が混沌として道を曲がりくねらせ、どこにもある出口と、どこにもない出口を用意した人生の迷路になっていた。私の宿のオーナーも元は旅行者の韓国人女性で、この町から抜け出せなくなった一人だ。昨日オープンしたゴールデン・レトリーバーが店頭に立つカフェのカウンターの女性は日本人で、店内は日本からさっき運ばれてきたような懐かしい材木の匂いがした。宿までの帰り道、ふと前をみると虹が見えた。よくみると人だった。角を曲がったその虹の人の後を追っていったら道に迷っていた。

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