キョウ

校正校閲者。読書好きの格ゲーマー。

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校正校閲者。読書好きの格ゲーマー。

最近の記事

超良さそうな『校閲力養成セミナー』があるのに全然宣伝されてないので宣伝!!

これは期間限定のお話です。私は回し者ではありません。ただの、誤脱字打倒及び校正校閲領域が少しでも良くなるよう願い続けている者です。 現在2023年9月26日。 2023年11月17日(金)にオンラインで19時から開催される、 【講談社のベテラン校閲者による「校閲力養成セミナー」初級・調べ物編】!!! これ絶対いいです。参加申し込み期限は2023年9月21日(木)15:00〜11月16日(木)15:00まで。申し込みは下記URL内にあります。 https://genda

    • 【忙しいプロやアマの方へ】よく起きる誤変換・誤用例【一校正者より】

      漫画小説シナリオでのチェック不足。本当によく見るミスを簡易紹介。一助になれば幸いです。 ー見方の説明ー ・「例 」→ 「より違和感のない例へ」 ※以下は説明。意味は『大辞林』『明鏡国語辞典』を参照しつつ【】表記 〜〜〜〜〜〜以下実例〜〜〜〜〜〜 ・「おもむろに叫ぶ」→「唐突に叫ぶ」 ※「おもむろに」は漢字だと「徐に」。意味は【ものごとの起こり方がゆっくりとしているさま】。【突然】の意味で使うのは間違い ・「喜びも一塩」→「ひとしお(一入)」 ※【より程度がはなはだしく

      • 漫画の校正

        文字がメインの話は教本から体験談と調べると見つかりますが、漫画の校正はそうでもありません。 なので今回は参考レベルで恐縮ながら漫画の校正について書き残しておきたいと思います。 さて本題。 漫画も校正を行います。連載の折にはそのままになっていたところが、全体を通して見た時に矛盾していたところが単行本では直っているのはこのためです。 漫画校正では小説やエッセイなどの文字だけの媒体と同じ見方をする箇所と違った視点で見る箇所があります。 以下、何をどう見るかを紹介していきたいと

        • 校正校閲とは労災防止業である

          はい。妙なタイトルですよね。他で見掛けないのでそうだと思います。 私事ながら、新卒から6年間安全衛生用品を製造販売する商社に勤めておりました。その時の体験から、校正校閲の職に就いてからタイトルのようなことを思ったわけでございます。 以下の説明、仕事の新規開拓用の文句として使うつもりです。流用されたい方はご自由にどうぞ。 「ヒヤリ・ハット」という言葉をご存じでしょうか? 〈「ひやりはっと」危険な目に遭いそうになって、ひやりとしたり、はっとしたりすること。重大な事故に発展し

        超良さそうな『校閲力養成セミナー』があるのに全然宣伝されてないので宣伝!!

          見落としを防ぐポイント〜その8〜

          こちらもこれで一旦最後になります。 見落としを防ぐためには、書き連ねたような気をつけるポイントを念頭に置くことも大事ですが、なにより常に向き合う文章に対して考えながら対処することです。機械的にパターンに当てはめてチェックすることは例外に対応できません。過去のミスにはミスをする法則性が隠されています。それを己で学ぶことこそ上達の手掛かりだと思います。 今後もストックが溜まったり校正校閲に関するコラムやエッセイのようなものを書くとは思います。 長らくお読み下さり、ありがとうござ

          見落としを防ぐポイント〜その8〜

          体裁の話及びその他〜その10〜

          このシリーズも、これでストック分書き出しましたので一旦終了と致します。 長らくお読み下さり、ありがとうございました。書いたものが一つでも誰かのお役に立てれば幸いです。 ・製作の過程で、例えば写真が入る箇所、見出しが入る箇所、キャプションの箇所など、後からデータが入る箇所には「ダミー」が入ってくる場合がある。それ自体は問題ないが、再校の折など工程が後になってきた際、最初に仮に配置していたダミーが残っている場合がある。見つけたらトル指示出しをする。特に、写真や絵が入って

          体裁の話及びその他〜その10〜

          体裁の話及びその他〜その9〜

          色々見ていると、文字においても人的ミスというのは起きるべくして起きていると感じます。キーボードの打ち損じ、誤変換。勘違いして覚えていた知識。気持ちが先走って文章の意味がよく分からないことになっている。修正前のデータで印刷に回ってしまった。などなど。別途書き出すつもりですが、これ、労災みたいなものです。間違えようとして間違えている人なんて居なくて、でもミスは起きる。それがそのまま出版されたりネットに公開されると事故になる。それを防ぐのが校正校閲の役割かなと感じています。

          体裁の話及びその他〜その9〜

          体裁の話及びその他〜その8〜

          校正校閲をやっていると、得意分野はあった方がいいのかという話も出ます。無いよりはあった方がいいでしょう、頼りにされます。専門的でなくても、好んで読んでいるジャンルを伝えておくとそういう仕事を振られる場合があります。勿論、よく知らない話でもよく知らないからこそ調べて齟齬に気づいて出せる疑問があったり、内容に関わらない体裁や日本語のミスや誤用も拾えます。やりようはいくらでもあるし、自分に詰め込める知識には限界があるし、今までの経験は人それぞれなので、活かせるものを活かせる範囲で使

          体裁の話及びその他〜その8〜

          体裁の話及びその他〜その7〜

          どういった意図でこの文章は出来ているのだろうか。時折、思い量ることしかできないそのことを考えます。意図があるのなら不統一を指摘すべきなのか、実は意図はないので別に不統一でもいいのか。意図があるなら事実関係が間違っていてもフィクションとしてそのままがいいのかいけないのか。それは著者でなければわかりません。わからないからこそ、様々な可能性を考え、どの可能性であってもより似つかわしい姿になれるようエンピツ出しをする。それが出来たら校正校閲側も著者も、そして読者も、良い形に収まるので

          体裁の話及びその他〜その7〜

          見落としを防ぐポイント〜その7〜

          ここまで書いてきて今更と申しますか、今更だからこそ改めて申すべきと言いますか。人の言うことはあくまでその人の経験談であり、盗めるところもありますが、全て真に受けることはありません。時折間違いもありうるからというのもありますが、一番は言葉が適切でないことが往々にしてあるからです。誤解を招く下手な言い方もありうる以上、全て真に受けず、しかし気になるなら一度自分で調べて己の血肉にする。何においてもそれが他人を見て何かを得るには早い道です。 ・「とんでもありません」「とんでもご

          見落としを防ぐポイント〜その7〜

          見落としを防ぐポイント〜その6〜

          校正校閲は書いてあることを調べて合っているか確認していくのですが、「これが合っているためには何に調べがつけばいいのか」に如何に早く辿り着けるかに作業効率と精度が左右される一面もある、と個人的には思います。時には探偵のような推理から当たりをつけて調べ物をすることも。時間に制約がなければ意外と楽しい作業なんですがねえ。 ・引用箇所を直した場合、その引用を流用した本文中の他の文言がないかチェックする。あった場合、そこも同じように直すよう指摘を入れる。 ・最初から付いているル

          見落としを防ぐポイント〜その6〜

          体裁の話及びその他〜その6〜

          これは後から分かった感覚ですけど、校閲作業をしていると、「何をどこまで調べるか」の判断が効率に大きく関わってきます。大きいところは勿論固有名詞たる人名、地名、特定の名称や作品名などですが、分かる場合は何を参照すればすぐ調べが付くか。分からない場合はどこまで調べたらやはり見当たらないと優先順位を下げていいか。調べている最中にあれもついでに調べていれば二度手間にならなかったのにと途中で気付くことがあるかどうか。かなり変わります。この話はまた別途まとめて載せようかとも思います。では

          体裁の話及びその他〜その6〜

          見落としを防ぐポイント〜その5〜

          校正校閲をする時は必ず疑いの心を持って臨みます。まずは、己の狭い知見を疑うこと。次に、文字が正しく打ち込まれているかを疑い、最終的には書いてあることがおかしくないか疑います。しっかり終わったと思っても、ホントにこれでいいのか?と疑念は尽きません。見直していると自分の出したエンピツすら疑います。一読者として本を読む時は書いてあることを信じて世界観に浸りますが、仕事の時はそうではやっていけない。意識しないと中々難しいものです。そういう意味では、好きな作家さんの作品なんかは機会が巡

          見落としを防ぐポイント〜その5〜

          体裁の話及びその他〜その5〜

          短距離が得意な人、長距離が得意な人がいます。校正校閲をするにあたって、5〜6時間文字を追い続けられる人と、2時間辺りで一旦集中力が切れる人といます。そこは良い悪いではなく向き不向きです。自分の集中力が発揮できる時間はどれくらいか。それを知り、一息入れるタイミングを掴む。一人で長く戦う作業において大切なことです。集中力が切れて疲れた頭では、拾える誤植も拾えません。パフォーマンス維持も仕事のうちです。閑話休題。 ・明示するものがない指示代名詞があった場合、「明示する?」とエンピ

          体裁の話及びその他〜その5〜

          見落としを防ぐポイント〜その4〜

          広辞苑の新しい版が出ました。台湾表記問題やLGBT表記の問題が出ていますが、辞書は一つのものが全能で全て正しい、という訳ではないので参考とするのに手持ちから排除する理由は個人的にはないと思っています。辞書は複数見る。校正校閲をやるならば必要なことになってきます。では本題へ。 ・年数表記で「○○年間」と来たら注意する。例えば、とある野球チームが1991年にリーグ優勝をしてそれ以降優勝していなかった場合、2015年の時点では23年間優勝しておらず、24年前に優勝したことにな

          見落としを防ぐポイント〜その4〜

          体裁の話及びその他〜その4〜

          小説投稿サイトから書籍化される時代になっていますが、これが仕事として回ってくると苦労することもままあります。趣味として書き続けてきた作品においてはストーリー重視で多少の誤植は気にしない方針の方も勿論いらっしゃるからです。web投稿により幅広い著者が増えるという意味では良いのかもしれませんが、校正者の大変さも増えているように感じます。 ・たとえ初校に赤字で入っていても、その文面がおかしいのであれば遠慮することなく再校で指摘出ししてOK。赤字は「確実に反映させるべき指示」ではあ

          体裁の話及びその他〜その4〜