体裁の話及びその他〜その4〜

小説投稿サイトから書籍化される時代になっていますが、これが仕事として回ってくると苦労することもままあります。趣味として書き続けてきた作品においてはストーリー重視で多少の誤植は気にしない方針の方も勿論いらっしゃるからです。web投稿により幅広い著者が増えるという意味では良いのかもしれませんが、校正者の大変さも増えているように感じます。

・たとえ初校に赤字で入っていても、その文面がおかしいのであれば遠慮することなく再校で指摘出ししてOK。赤字は「確実に反映させるべき指示」ではあるが、例えば著者が手書き赤ペンで長文を補足した時などは誤植があったり文の前後の繋がりが不自然になることはありうる。

・本のタイトルは『』で囲む場合が多いが、週刊誌のタイトルの場合は「」も『』もありうる。基本、その媒体内の多出に合わせる。その媒体の法則性を見ずに自分の中の傾向に合わせない。

・余裕があればで良いが、再校の時に色々調べましたよマークが付いていても固有名詞、本のタイトルや著者名なんかはパッと調べる。人間なので、初校の人が調べたけれど目が滑って文字を見間違えている場合がある。重要度の高いのは固有名詞の間違いなので、時間かけないまでもサッと見るならばそこ。

・「知られざる」ときたら本当にそうか?実は結構知られていたりニュースになっていたりする話では?と疑うようにする。そうすると可能性からこれも調べた方がいいかな?と調べグセに繋がり仕事の精度が上がる。

・資料の巻数をチェックする場合、それが単行本なのか文庫なのか全集なのかで巻数は変わるので意識する。

・丸々引用ではないけれど似たようなことをまとめて書いているような箇所は、資料に当たれるならば当たった上で「大意OK」と判断してもいい。

・疑義を出す時、「〇〇と誤読のおそれあり」のように可能性を示唆してもいい。

・専門用語にはルビを振るよう提案する。

・読み方が分からない単語はそのままネット検索へ。最初はwikiなどでもいいからアタリを付けてから調べると出てくることもある。「一腹卵数(クラッチサイズ)」といった具合に。

・地の文は勿論句点アリ。しかし、キャプションに関してはある場合とない場合がある。傾向を確認する。

・「05年〜09年」といった表記の場合、「05〜09年」と、前の単位語は省略して良い。

・文中で省略している目的語がある場合、意識して何を省略しているかチェックする。省略しても意味が通るなら良いが、ないと分からないような略し方をしている場合は念のためと補足するようエンピツを入れる。

・タイトルが何文字下がりになっているかどうかなど、前号がある媒体ならば傾向を見る。大きいところであるのと、行頭空き無しだと思い込んでばかりいると見落とす可能性あり。

・初校時のエンピツで直っていない部分、やはり変だなと思えるものがある場合。同じ文言を入れてもいいが、傍線を引きつつ「ママ宜しいでしょうか?」などとぼやかしながら再度指摘するのも手。また、初校時は特に理由が書いてなかったがゆえにスルーされたのでは?と思える時は理由付けを加えて指摘し直すのも手。

・原稿段階で全角アキや一字下がりになっていて、ゲラに反映されてないならば、赤字で入れてOK。なんとなく黒エンピツでなくて大丈夫。

〜その5へ続く〜

#校正 #校閲 #コラム

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