見落としを防ぐポイント〜その7〜

ここまで書いてきて今更と申しますか、今更だからこそ改めて申すべきと言いますか。人の言うことはあくまでその人の経験談であり、盗めるところもありますが、全て真に受けることはありません。時折間違いもありうるからというのもありますが、一番は言葉が適切でないことが往々にしてあるからです。誤解を招く下手な言い方もありうる以上、全て真に受けず、しかし気になるなら一度自分で調べて己の血肉にする。何においてもそれが他人を見て何かを得るには早い道です。

・「とんでもありません」「とんでもございません」とあったら、「とんでもない」or「とんでもないことでございます」と指摘出し。広く使われてもいるが本来の言い方とは違うため不自然に聞こえる人もいる。

・羅列が出てきた場合、読点があったりなかったりしないか確認。羅列の中身に気を取られていると形式の不統一に目が行かないことがある。

・「与党」は「自民党+公明党」のように党が混ざるので、人事発表など対象がハッキリしている場合は「○○党」と指定するようエンピツ出し。

・将棋の表現で、例えば「5四歩」のような時はそのままでいいが、「同歩」となって直前の相手の駒の位置に移動させる時は「5四同歩」ではなく単に「同歩」となるようにする。ただし、これはあくまでそういう傾向の表記の際の話。遊戯物はどういう傾向で動きを表しているか傾向を見るようにする。

・引用の際、原典の傍点の写しミスには気を付ける。折角文章が完璧に確認出来ているのにそこを見落とすと勿体ない。

・正式名称に中黒入る場合はしっかり入れなければいけないため、見慣れぬ名称は公式HPや辞書、ニュース表記などで確認する。「住宅都市整備公団」は「住宅・都市整備公団」が正しい。

・カタカナ語は含む意味合いに注意。例えば「インテリジェンス情報」と来たら「インテリジェンス」自身に「情報」の意味が含まれているので「情報」はトル指摘を入れる。

・見知らぬ建物の名称が出てきたらまず名前の確認。次いで、途中で改称していないか調べ、且つその名称が使われている文脈では年代的にどちらが正しいか確認する。例えば「フリーダムタワー」は2009年に改称されて「1ワールドトレードセンター」になっている。2009年以前の話なのか以後の話なのかによって名称変わるので気をつける。

・「感謝祭」などとお祭りの話が来たら開催期間を押さえる。似たような日付で他のお祭りがある場合や年によって月日がズレるタイプの場合は正確な記述になっていなかったり他のイベントと取り違えていたりすることがある。

・新聞か雑誌かの違い、あまり見かけないが「機関紙」「機関誌」も同じく確認要項のため気をつける。

・「被告」=民事訴訟、行政訴訟の第一審で訴えられた側の当事者。
「被告人」=刑事訴訟で、犯罪を犯したとして公訴を提訴され、まだ裁判が確定していない者。
差があるため注意する。

・「今年の」のように、時勢が出てきた場合、掲載媒体の発売日的にズレが生じる可能性がある場合は「○○○○年の」というように西暦で入れるようにエンピツ出しをする。

・年代別呼称変化、土地名は特に気をつける。1946年「目黒区駒場」とあったら、「目黒区の駒場」とするようにエンピツ出しをする(1932年までは駒場は上目黒の小字名、1932年〜1968年までは駒場町、それ以降になると目黒区駒場、となる)。

・「単純労働者」のような複合語が繰り返し使われる場合、「単純労働」のようにポンと語末が抜けたりすることがあるのでよく見る。

・「育児」や「保育」のような、似ているけれど差のある語には使い方注意。

〜その8へ続く〜

#コラム #校正 #校閲

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