見落としを防ぐポイント〜その4〜

広辞苑の新しい版が出ました。台湾表記問題やLGBT表記の問題が出ていますが、辞書は一つのものが全能で全て正しい、という訳ではないので参考とするのに手持ちから排除する理由は個人的にはないと思っています。辞書は複数見る。校正校閲をやるならば必要なことになってきます。では本題へ。

・年数表記で「○○年間」と来たら注意する。例えば、とある野球チームが1991年にリーグ優勝をしてそれ以降優勝していなかった場合、2015年の時点では23年間優勝しておらず、24年前に優勝したことになる。パッと西暦だけ見ると取り違えることがある。

・「次男」と「二男」、意味は同じだが時折同じ作品内で表記が交ざっていることがあるので気をつける。

・再校時、初校にて主語が挿入されていた場合は、実はその文内には既に主語があって重複していないか見る。たまにある。

・「慶応」「慶應」のようにどちらも正しいけれど書き方が複数あるものが出てきた場合、表記揺れてないかメモ書きするなりしてチェックしておく。

・「代わり」と「変わり」、目が見落としやすい類なので出てきたら文面をよく見る。

・「ある側近の一人」というような文、「ある」or「の一人」どちらかなくていいのだけれども、サラっと読めてしまうためにスルーすることもあるので気をつける。

・赤字照合時だけではないけれど、主語が同文内で被っていないか?助詞は重複していないか?と意識付けをしていく。違和感を覚えたら自分の感覚を信じて見直す。目には入っているので、その場では違和感だけを覚える時があるが、その感覚は信じていい。

・おおまかにだが、「修行」は自力で頑張る方や仏教的な意味で、「修業」は人から習う場合、と使い分ける。

・「歴任」ときたら、一つではなく複数の肩書きを経てきていることになるので、一つの肩書きだけを指して「歴任」となっていないか見る。

・アメリカは大統領(共和制を取る国家の元首)。日本は首相(内閣総理大臣の通称。議院内閣制の時に用いる)。アメリカの首相、などとサラっと出ることもあるので注意。

・時系列、その場でのことか後のことなのかしっかり想像する。齟齬はチェックを入れる。

・「基地」は「駐屯地」とイコールではない。同じ意味合いで捉えて流さないようにする。

・見出しはしっかり見る。特に、短い文字数の中で工夫するため妙な日本語になっているかどうかと、見出しと本文に関係性があるかを見る(たまに差し替えや書き直したせいで見出しと本文に関係性がなくなる場合がある)。

・表現、業界的な通り名の可能性もあることに気をつける。東芝を「侍」、日立を「野武士」と言ったり。なんだこれ?と思ったら安易にエンピツを入れる前にそのまま検索にかけるようにする。

・「明るみに出る」「明らかになる」のように混同の恐れがある語についての判読方法は、それが自然的な時間経過でそうなったのか、人為的なことでそうなったのかといったニュアンス差を考える。

〜その5に続く〜

#校正 #校閲 #コラム

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