体裁の話及びその他〜その9〜

色々見ていると、文字においても人的ミスというのは起きるべくして起きていると感じます。キーボードの打ち損じ、誤変換。勘違いして覚えていた知識。気持ちが先走って文章の意味がよく分からないことになっている。修正前のデータで印刷に回ってしまった。などなど。別途書き出すつもりですが、これ、労災みたいなものです。間違えようとして間違えている人なんて居なくて、でもミスは起きる。それがそのまま出版されたりネットに公開されると事故になる。それを防ぐのが校正校閲の役割かなと感じています。

・「あらすじ」とあるのにあらすじ以外の要素、例えばキャンペーンの話や著者の経歴やシリーズの話や売り上げ部数の話など、あらすじと関係のないことが入って来ていたらトルようにエンピツ出ししてOK。

・「:編集部注」などと補足が入っていた場合、他の補足箇所にも同じように「:編集部注」と入っているかチェックする。入ってなかった場合はそちらにも補足を入れるか提案する形でエンピツ出しをする。

・同じ語が続く際に使われる「々」、例えば「佐々木」でも「佐佐木」でも合っているならば資料名であってもそのままでOK。

・見出しに「全文掲載」とあったら、本当にそうか確認できるならばする。端々をツギハギして載せている場合は全文ではないため、見出しに「全文ではないのでは?」もしくは「見出しママOK?」と傍線引いて確認してもらう。

・「退学届を受け取る」とあった時、出す時はそれでいいが、受け取る時は退学届の専用書式を受け取った、という意味で「退学届出用紙を受け取る」となるようにエンピツ入れる。

・「選定」や「選任」といった法律関連用語として定められているものは一つ一つちょっとでもいいからチェックして文脈に合っているか見る。

・法律絡みの用語では「法定」と「法廷」のように似た字面の語があるため目が泳いで見落とすこともある。多出してきた場合文字を注視する。

・野球で「優勝」と来たら、「初優勝」の話なのかそれとも過去の印象深かった「優勝」の年の話なのか、直近の話なのか見る。何を指すかハッキリしない場合、どの優勝を指すかあり得る可能性をエンピツ出しにて提示する。例として、「1973年広島カープ優勝」とあって、その年は優勝していないので西暦にエンピツ出しをしたいが果たして「セ・パ初優勝の1975年」のことを指すのか「日本一になった1979年」のことを指すのかわからない場合、両方提示する。

・「実家」と出てきた時、「〜〜の実家」のように複数候補が挙がる場合は「祖母の実家」や「父の実家」のように各々補足入れるかどうかエンピツ出しして問う。

・電車の駅の話をしている時は、「東京」のように地名だけではなく「東京駅」とちゃんと駅まで名称入れるようにエンピツ出しをする。

・「札束」と出てきた時に、長さや厚みや重さの話をしていたらそれが千円札の話なのか一万円札の話なのか紙幣の種類を一応確認する。

・手紙やアンケートを元に掲載する場合、署名と性別に注意をする。例えばハガキに手書きで「長谷川龍」という人がいた場合、応募要項に性別も明記する必要があって「長谷川龍 男」と書いてきたとする。編集サイドがそれをパッと見て一緒くたにして「長谷川龍男」と表記してしまう場合がある。名前間違いになるので、手紙やアンケートの原本があれば確認する。

・ルビ、既出はトル方針であっても、特殊な読み方をするがゆえにココにはないと読みづらいor誤読してしまう、という箇所に再度ルビが振られていた場合。「既出ですがこちらママですね?」というように確認しながらも私もココはこのままでいいと思いますよとアピールしてもいい。

・武将の名前、表記傾向が本名か通り名かで変わるので傾向を見る。

・単位の確認はしっかりする。表記がカタカナなのか、アルファベットなのか。そもそもその単位の使い方で合っているのか。「二○キロ」と「二十キロ」のように単位語の有無が不統一になっていないか。本文に集中していると読めるからと流しやすい。

〜その10に続く〜

#コラム #校正 #校閲

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