見落としを防ぐポイント〜その6〜

校正校閲は書いてあることを調べて合っているか確認していくのですが、「これが合っているためには何に調べがつけばいいのか」に如何に早く辿り着けるかに作業効率と精度が左右される一面もある、と個人的には思います。時には探偵のような推理から当たりをつけて調べ物をすることも。時間に制約がなければ意外と楽しい作業なんですがねえ。

・引用箇所を直した場合、その引用を流用した本文中の他の文言がないかチェックする。あった場合、そこも同じように直すよう指摘を入れる。

・最初から付いているルビ(編集サイドのルビやルビソフトによって付けられたルビ)は疑う。ルビソフトにおいては自動のためもれなく疑う。また、見慣れない地名の読みは親切に振ってくれた場合もあるが必ずしも正しいとは限らないため注意する。
例:岐阜にある「木知原」に「こちばら」とルビ付いていたが、正確には「こちぼら」。読めるし付けてくれてるしなどと慢心して読み流すと危ない。

・『「〜とか」、「〜」とか』のように、カギカッコ囲みで羅列している場合、カギカッコの位置が羅列しているもの同士でズレているパターンがある。羅列している事実や羅列されていることの事実確認とともに、羅列している形式にも気をつける。

・中国語の表現を使う文章が出て来て、例えば「娘(ニアン)」とルビが振ってあったりして且つ「郎」という字が出てきたら同じように「郎(ラン)?」と中国語ルビ振る可能性高いので指摘入れられるのならば入れる。

・「三回忌」などの定例的な言い方は算用数字にせず漢数字にする。

・「刺激や苦痛がひどく負担になる」表現は、「堪える(困難に耐える)」ではなく「応えるor徹える」。

・番組名、特に表記に気をつける。「ニュース23」→「NEWS23」のように。独特の表現をしている時があるため、新聞や公式HPで必ず確認。

・「〜より以前」「〜より以降」と来たら、「より」はトル。「以前、以降」に「〜より」の意味も含まれるため、重複となる。

・アルファベットの略称は必ずチェックする。また初出であれば正式名称を入れるか尋ねる形でエンピツを入れる。

・〜シリーズ、と表記する際、「『なんとかシリーズ』」ではなく「『なんとか』シリーズ」と、シリーズはカギカッコの外側に置く。

・元サッカー選手、などとあった場合、それがプロであれば「元『プロ』サッカー選手」となるようにエンピツ入れる。

・「巨額」は「金額が大きいこと」であり、何を指すかまでは意味に含まれていない。そのため、「巨額の○○」(例:巨額の賠償金)のように具体的に指し示す語を補足するよう示唆する。または大きいお金を指したいのならば「巨費」とするように指摘してもいい。

・「総務省」「総務相」、ややこしい同音異義語なので注意。どちらが正しいかは前後の文脈から判断する。判断つかない場合は判断つかない旨をエンピツ出し。

・「フィナンシャル・タイムズ誌」→「フィナンシャル・タイムズ紙」が正しい。「〜誌」「〜紙」と来たら新聞なのか雑誌なのかを確認をする。

・「なおざり」は「いい加減に放置して、行為しない」。「おざなり」は「いい加減ではあるが、行為する」。どちらもいい加減ではあるけれど、ニュアンス差に迷ったら確認する。

〜その7に続く〜

#コラム #校正 #校閲

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