体裁の話及びその他〜その6〜

これは後から分かった感覚ですけど、校閲作業をしていると、「何をどこまで調べるか」の判断が効率に大きく関わってきます。大きいところは勿論固有名詞たる人名、地名、特定の名称や作品名などですが、分かる場合は何を参照すればすぐ調べが付くか。分からない場合はどこまで調べたらやはり見当たらないと優先順位を下げていいか。調べている最中にあれもついでに調べていれば二度手間にならなかったのにと途中で気付くことがあるかどうか。かなり変わります。この話はまた別途まとめて載せようかとも思います。では本題へ。

・人物名、初出はフルネームになるよう補足する。例えば蔣介石を初出から「介石」と書いてあった場合は、「蔣」を補足。

・数値関連を調べた結果、データが古いものが使われている場合、「新しい情報では○○ですが、本文のママで宜しいでしょうか?」といったように確認のエンピツを入れる。

・初校で特に特殊な読み方をするでもなしにグループルビになっていた場合はフツーにモノルビに直すようエンピツ入れてOK。

・「連係」「連携」など実用場面での使い分けが難しい語はゲラママでOK。

・ハイフンでも2分ダーシでもどちらでもいい箇所があれば、例号の中で前例がないか確認する。違う箇所あればそのままでいいのかエンピツを入れる。

・明らかな改行時に行頭全角アキになっていない場合は原稿に戻り確認。ゲラに反映されていなければ赤で全角下げ指摘。そういうこともある。原稿があってデータ流し込んでも組み直す際に何かあってそうなる場合もある。データとはいえ常に何かあるかも、と思った方がいい。

・文字を入れ替えた際に文字の大きさに差が出る時、例えば入れ替えるのが文字ポイントが小さいカッコの中身の場合は、文字の大きさも変えるようエンピツを入れる。傍線を引いて「8ポカエ」のように補足する。

・本文にルビのある漢字が見出しにも使われていた場合、見出しの文言にもルビを振るか示唆する。

・引用文の箇所であっても難読語がある場合は普通にルビ振る形でエンピツ出してOK。気にするべきは著者が独自につけた傍点のような原典にない類のもの。

・表記が揺れていなければ、送り仮名の省略は傾向としてそのままにしていい。どうしても普通そうは使わないだろうと気になる場合はエンピツ出ししつつ「本則より」と入れる。

・植物名と薬品名、関係性合っているか出てきたら確認する。ハッシッシ・マリファナは大麻。アヘンは芥子。

・文芸において、語句の使い分け(「混ざる」「交ざる」など)に関しては一部辞書の使い分けを基準にせず、柔軟に捉える。著者が意図して使っているなら尊重して基本そのまま。

・知らない難読漢字においては、ルビ提案をするのもいいがその際には漢和辞典で音訓両方調べ、読める可能性を全て提示する。付けるルビに自信が持てない場合は逃げのようだが「ルビ付けますか?」とだけ疑問出しする。

・人物名だけでなく、企業名もまた初出時にはフルネームで書くようエンピツ入れてOK。

・引用箇所に数字が入る場合、引用元が算用数字であれば本文傾向が漢字であっても算用数字のままでOK。不安な場合、「(引用元、算用数字)」と補足入れておく。

〜その7へ続く〜

#コラム #校正 #校閲

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