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嫌なことに耐えるのが会社じゃなかったよって、5年前の私に伝えたい

社会人が暗すぎる。5年前にニュージーランドでその朗らかな生活に衝撃をうけた私は、すっかり日本で働くことが嫌になってしまいました。そして周りにインターンの話題が広がったころ、突如就活を辞めたのです。大学を卒業する1年半前のことでした。

ところが大学卒業と同時にコロナに襲われました。大学院に留学か、世界中を旅するかと思っていた矢先の出来事です。ちょっと待てば収まるかななんて気楽に構えていられたのは半年で、何の役割も持たない自分でいることに限界がきました。実家の草むしりをする日々。秋から始めた就活で、なんとか通年採用の今の職場に拾われたのでした。

そのときも私は、楽しく好きなことをして働けるなんて期待していませんでした。コロナで留学断念の末の就職。ただ、なんにも役割のない自分のままでいる息苦しさに耐えられず、意味のないメールに何度も祈られ、ハローワークに相談しながら就活を進めていました。世間はまだ戦々恐々とし、ストレスを晴らす術もない。今振り返っても、ただ苦しいだけの時間だったと思います。

だから、働くことの責任はそれなりに感じても、何かを変えていこう!生み出していこう!というエネルギーはなかったのです。割り当てられた仕事をし、よりはやく正解を見つけられるようになることが、組織で求められているとばかり思っていました。

枠組みは変わることはなく、日々が繰り返されていく。外部や利益との繋がりが薄いコーポレート職についたこともあり、仕事は淡々と正確にこなすものだという意識もありました。まあ、それでも、契約の仕事も好きだし。大きな企業だからこその堅さはすでに感じ始めていましたが、それでもまあ頑張ろうと思っていたのでした。

そうして配属されたのは、ここが数社目の転職先だというフットワークの軽い上司のチームでした。契約の審査やコンプライアンスの定常業務を回しつつ、業務の2割ほどは課外活動のような時間でした。

「いまの仕組みで変えられるところはあるかな」「その運用、どうしたらよりよく回りそう?」「どうしたら運用チームにこの法律が浸透しそう?」

ローコーディングでメールでのやり取りを仕組み化したり、月に1度の教育講座を始めたり。いわゆるブレインストーミングでいろんな課題やアイデアを出して、「それやってみよう!」とチームの士気が上がったらすぐ行動します。あっという間の最初の一年で、私は思った以上にたくさんの有志プロジェクトに参加していました。

仕組みって、変わるんだ。変えられるんだ。

企業の中で長年積み上げられたルールや伝統には、従うしかないと思っていた新入社員でした。けれども、上司の下で違和感や業務のムダを探し続けたら、仕組みは柔軟に変えることができるもの。そしてより良く変えようとすること自体が業務になるのだと実感しました。

そして、プロジェクトに手を挙げて参加し、自分がいいと思ったことを試していたら、似た人たちと出会う機会が増えました。柔軟に働いたり、業務をよりよく改善したりしたいと、同じように活動する人たちと部門の輪を超えて繋がりが持てたのです。

今では、改善活動とともに、自部門や他部署の活動を発信する活動もしています。グラレコに挑戦したり、ライティングをしたりと、自分が楽しいと思える領域を徐々に広げられている気がします。

もちろん、組織で働く難しさもあります。社内政治や、新しいものへの拒絶感。コミュニケーションの相性が合わない人もいます。でも、それが全てではないと分かったら、自分の見ている「会社」が驚くほど広がったのです。そしてその広がりは、会社員になった時に諦めたと思っていたので、余計にうれしいものでした。やりたいことにどんどん背中を押してくれた上司にも、変えられる柔軟さがある組織にも感謝しています。

今では、違和感があることにただ耐えようとは思いません。自分ができる工夫や、自分のやりたいことと組織のメリットの重なりを、ちゃんと示すことに労力をかけたいと考えるようになりました。そして、組織を使い倒せとはよくいうけれど、寛容でいい循環がある組織にはちゃんと還元したいという思いが生まれることも知っています。

来年の人事がどうなるかはまだ未知数です。これも組織ならではなんだと思います。それでも、なんとかその中でも楽しめる道を見つけられるんじゃないかな。そうやって前向きになれたことが、きっと大きな一歩だと信じ、今日もパソコンを立ち上げます。



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4月25日追記)お題企画「#会社員でよかったこと」で受賞しました。


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