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#物語
story アズと子ヤギ〜本当の気持ち〜
アズは時々
牧草地に行って
子ヤギが群れの仲間と
過ごす様子を見ていた
子ヤギはアズに気がつくと
そばへ寄ってくることもあれば
草を食んだままのことや
仲間のそばで佇んだまま
アズを見つめるだけのこともあった
アズはお父さんの言葉を
聞いてから
子ヤギが幸せなら
それで良いと思うように
なった
私たちは私たちの
楽しかった思い出が
あるものね
子ヤギはアズの
そんな気持ちが
分かるのか
story アズと子ヤギ〜不自由な右足〜
アズはひとり牧草地にいた
膝に乗せて抱いているのは
母親を亡くしたヤギの子
唯一アズが心許せる友だち
アズは右足が不自由だった
歩き始めたばかりの頃
農作業中の母の元へ行こうとして
農耕用の車輪に踏まれた
小さなアズは家の中で
お昼寝をしているはずだったし
作業場に近づいても
誰の目にも入らず
気づかれなかった
突然の鳴き声で
大人たちは青くなった
急いで町医者に
診てもらったけれど
右足
story やさしい庭
草原が広がっている
遠くの樹々が
風にそよいで
心地よく
葉ずれの音を立てている
誰もいない草原に
可憐な花が揺れている
私はようやく
水に戻った魚のように
ほっとして
ひとり草に腰を下ろした
ここはなんて
静かだろう
空の色は淡く
やわらかな光が
小さな粒のように
舞っている
ことばは
ここでは
あの光の粒のように
音もなく
ただ空の色になり
肌をくすぐる
葉のように
私のそばに
story 捨てることのできるひと
そのひとは
時々ガーっと片付けたくなるそうだ
しかも
跡形もなく消えてしまうことに
自分でも驚くほど未練がないらしい
あーすっきり
これでまた新しく始められる
なんて
あっけらかんとしたもんだ
そのひと曰く
納得してればそれでいい
そういうことらしい
story 神さまの答え
神さまは隠された
ある答えを…
必ず見つけると確信されて
答えはひとつ
ただその解き方はひとつではなく
幾通りにもできる
試してご覧
そしてそれを楽しんでご覧
お前の答えを
私も楽しみにしている
story 夢と陰謀
オレだって
オレだっていつか…
あ、いいこと考えた!
裏をかいて死角をついて
まだ誰も気づいていない
ことをしよう!
ぐふふ…
世界はオレの思いのままだ!
おーい!!
そこのひとー!!
あっ、
あ〜あ…
あのひと気づいてなかったのかなぁ…
時既に遅し
呼びかけも虚しく
そのひとは足元にあいていた
深い穴へと落ちていった