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Episode4【寺尾少年は授業を邪魔する悪い子?】|大人のADHD

 ADHD(注意欠如多動性障害)は発達障害の1つで、じっとしていられない(多動性)、思い立ったら行動してしまう(衝動性)、普段は集中力がないが、興味があることには熱中してしまう(不注意)などの特徴があります。

 見方を変えると、他の人が驚くような面白い行動をとっていることがあるので、今回も1つご紹介します。

 私は小学校の時、友達を笑わせることが大好きでした。音楽の授業で習った歌の替え歌を歌ったり、教室で近くの席の人に変顔をして笑わせたりしていました。

 ADHDの衝動性とは厄介なもので、自分が「楽しそう!やってみたい!」と思ったことは、状況など気にせずやってしまいます。「やってみたい!」というその思考だけが頭の中にあり、他のことには全く注意を注げない状態なのです。

 授業で問題を速く解き終わった後なにもする事がないので、周りの人を笑わせていたら、先生に怒られたということが何度もあります。

 私は、ただ「周りの友達を楽しませたい、喜ばせたい」という気持ちがあっただけなのですが、そんな気持ちとは裏腹に「いい加減な子ども」「迷惑な子ども」等と先生に思われていたと思います。

 この時期に「自分の気持ちは、人には分かってもらえない」という事に薄々気づいたのだと思います。

 社会に出て、失敗が多くてもなかなか人を頼ることができませんでしたし、「ほう(報告)・れん(連絡)・そう(相談)」が少ないと怒られることもありました。

 ADHDの子どもの多くは、自分の気持ちを理解してもらえず、否定的な言葉をかけられることが比較的多いです。学校現場でもよく聞きますし、私も教師として見た事があります。

 そのような経験をすると、一見、ADHDの子どもは元気そうでも、実は心の中は塞ぎ込んでしまっていて、自分の悩みや本音を言わなくなります。そうなると社会に出て、コミュニケーションにも弊害が出てしまいかねません。

 ADHDの子どもは迷惑かけたり、失敗が多かったりしますが、その裏にはどちらかと言うとポジティブな「やってみたい、楽しそう、喜ばせたい、助けたい」などの気持ちが隠れています。

 「迷惑をかける悪い子だ!」と決めつけるのではなく、どんな気持ちでその行動をしているのかに注目すると、多くのADHDの子どもが救われるはずです。

 普通の人の当たり前が全然できないことが多いです。できないことはほんの小さなスモールステップからやることをオススメします。

 自分は周りを喜ばせたいと思っていても、結果的に周りの邪魔をしてしまう寺尾少年は悪い子?

 Episode4【寺尾少年は授業を邪魔する悪い子?】|大人のADHD

寺尾誠弘





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