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*dʰewgʰ- [dugan/doughty/दूध]
heldio #1124 での名台詞 "Wyrd oft nereð unfǣgne eorl, þonne his ellen dēah" の最後の1語がしびれる。 動詞の原形は dugan で活用形が dēah ということらしい。…
*gerh₂- [crane/crow/grouse/गरज]
ケントゥムとサテムの比較で、前回は *ḱ *k *kʷ を見たので、今回は *ǵ *g *gʷ に注目する。サテムで *ḱ は /s/ サンスクリットで /ʃ, tʃ/ になってしまうが、*ǵ では /z, dʒ/になるのだろうか。
硬口蓋音 *ǵ
語根 *ǵenh₁-/*gen- (to produce, to give birth) を取り上げてみる。*gen-に繋がる英語は kin, ki
*kʷel- [wheel/colony/चक्कर]
ケントゥムとサテムの比較で、印欧祖語の硬口蓋音の [*ḱ]が ケントゥムで k(h) 、サテムで s (ʃ) になる様子を見た。今回は 軟口蓋音の [*k] と 両唇軟口蓋音の [*kʷ]。
英語(ゲルマン語経由)・英語(ラテン語経由)・サンスクリット・ヒンディー語のすべてで単語が出そろっている例がなかなか見つからなかったので、あまり普段真っ先に例に挙がらないような単語を挙げるしかない。
軟口
*sneygʷʰ- [snow/nivea/नेहा]
印欧祖語の *ḱweytós につながるラテン語が見当たらない。しかし「白」を表す語はあったはず。「白」色はラテン語でなんと言ったのか。
candidus
眩しく輝く白。印欧語根 *(s)kand-/*kand- は ラテン語 candēla (英 candle), candidātus (英 candidate) とつながる。同じ語根のゲルマン語経由で英語の kindle、また、サンスクリット
*ḱel- [hell/cell/shawl]
品名と地名
~lacolacoさんのノート記事からのインスピレーション~
品名が地名になるものもあれば、地名が品名になるものもある。たくさんあると思うが、地中海つながりのものをピックアップしてみる。
Bible
← ラテン語 biblia (“books”)
← ギリシャ語 βιβλία (biblía, “books”) 複数形
← 単数形 βιβλίον (biblíon, “sma
*ḱerh₂- [horn/corner/सींग/سَر]
ケントゥムとサテムについてあれこれ。
ケントゥムとサテムは、100を意味する ラテン語の centum と アヴェスター語の satəm から取られている。印欧祖語の ḱ が k になるか s になるかでグループ分けする区分だ。系統を説明するのに今はあまり使われていない区分だが、西と東の語群を比べるのに参考になる。
印欧祖語の口蓋音には *ḱ・*k・*kʷ があった。サテムでは *kʷ がなく
*weyḱ- [villa/eco/बैठना]
天文・地図好きにとって Greenwich は外せない場所なのに、語源を気にしたことがなかった。ariさんのNote記事で「Greenwich の -wich は village を意味する古英語の wić /wiːk/に由来し、さらに遡れば印欧祖語の*weyḱ-である」との紹介があった。語根を見ると関連語をみたくなってしまう。
古英語の -wic は ラテン語 vīcus の借用語。地名で-w
*dʰeh₁(y)- [fertile/fawn/doe/दही]
fecundから遡って〜ariさんのNote記事からのインスピレーション〜
ariさんのWDでfecundが出ていた。印欧祖語*dʰ→ イタリック祖語*θ→ ラテン語f のパターンがまたここに!と興奮した。ということはインド語派でdha-かdah-の語彙があるはず。探すと、दही (dahī)が該当!意味は凝乳つまりヨーグルト。dahiが英単語に取り入れられているのも驚きだった。
*dʰeh₁
*h₂ŕ̥tḱos [arctic/Arthur/ursus/रीछ]
クマについてのあれこれ ~lacolacoさんの英語語源辞典通読ノートからのインスピレーション~
bearの語源は、印欧祖語の *bʰerH- ("brown")。beaver も同語源。*bʰerH- がサンスクリットにくだると बभ्रु (babhru) となる。意味はもちろん "brown" で、こちらもまさに茶色い動物のことを指す。ただし बभ्रु (babhru) は クマではなく
*ḱewh₁- [excavator/cima/शून्य]
heldioの借用語に関する論題が熱い。
翻訳借用について考えて見た。他言語から新たな概念が入って来た時、以下のリアクションが考えられる。
①借用語
1⃣音をそのまま取り入れる。音訳借用
2⃣既存の語彙を駆使して意味を訳す。翻訳借用
→元の言語の意味・構造を写し取る(calqueなぞり)
②翻訳
1⃣既存の語彙を充てる(その語に新たな意味が加わる)。
2⃣既存の語彙を駆使して新たな
*h₂melǵ- [milk/emulsion]
うちでは毎日子どもたちが牛乳を大量消費するしチャイも飲むので、毎日牛乳パックを補充するほど、生活になくてはならない飲料になっている。ということで牛乳周りの単語を見てみることにする。
英語で「乳」に関する学術用語の接頭辞と言えば、lacto-で、ラテン語 lac から来ている。ロマンス諸語で、caffè latte, café au lait, café con leche に共通する語だ。古代ギ
*sem- [same/homeo/समुद्र/ہمسفر]
接頭辞の語源は、語彙が広がりすぎてカバーしきれないのであまり普段深追いしないが、最近考察したものが関連し合っていて連鎖的にハッと気づかされた。
*wed-が "water" の語根で、それに関連のあるサンスクリットの単語で udra は otter のことだった。udra に 関する基本語彙がもうひとつあった。 "together, wholly" を意味する接頭辞 सम्- (sam-) を
*ḱeh₂s- [hare/शशि(moon)]
ウサギに関するあれこれ(子どもがウサギ好きなので)
ウサギのキャラクターといえば nijntje をご存じだろうか。
nijntje [ナインチェ] は「ミッフィー」のオランダ語原題。オランダ語で "bunny" を意味する konijntje [コネインチェ] の略。konijntjeは "rabbit" を意味する konijn [コネイン] の指小辞。オランダ語 konijn は、英語の
*nókʷts [night/nox]
ドイツのカレンダーで6/20にsommerangfangとある。夏至 summer solsticeだ。夏至の瞬間(太陽の赤道面からの距離が最大となる瞬間)は、日本時間で6/21の早朝5:50だが、時差の関係でドイツでは22:50なので日本の前日が夏至日となる。冬至はキリストの誕生日に、夏至は聖ヨハネの誕生日に結び付けて祝われる。冬が長いゲルマン民族ならではの、太陽を乞い願う祭りが色濃く表れている
もっとみる*wed- [water/otter/Vodka]
redundancy~冗長性あるいは余剰性。語源は ラテン語の redundō の変化形 redundāns からで、分解すると red- ("again, back") + undō ("to surge, flood") となり、この undo のところが "a wave" を意味する unda から来ている。海の波のように繰り返し押し寄せる様から来た言葉とのこと。
unda は 印欧語根の
*strebʰ- [strap/Streptococcus]
病名はギリシャ語なので覚えられない、の話の続き。
最近流行が懸念される「溶連菌」。初めて「ヨウレイキン」と聞いたとき漢字が分からなかったが、溶血性連鎖球菌の略のようだ。菌の名前ではなく、症状の名前を言うと「劇症型溶血性連鎖球菌感染症」と長い。英語ニュースでは Streptococcal Toxic Shock Syndrome (STSS) あるいは Severe Invasive Strept