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国立大学の独立法人化から20年。大学の研究費の増額を!

国立大学が2004年度に法人化されてから20年がたちます。
国立大学はなぜ法人化されたのでしょうか?


国の機関だった国立大学は予算や人事の細部まで文部科学省が決めていました。
しかし、世界の大学などと競い合っていくためには、国がすべてをコントロールする手法は限界に達していました。
社会の変化に対応して、スピード感を持って教育や研究を活性化するには独立すべきだと言われたのです。
大学同士の競争を促すことで教育や研究が活性化すると思われたのです。


しかしそれで、はたしてその狙い通り教育と研究は活性化したのでしょうか?


法人化後は国から配られる運営費交付金の使い道を各大学が自由に決められるようになりました。
しかし、その金額は減らされ、競争に勝つと獲得できる予算を増やしたのです。

これは「選択と集中」政策とよばれ、経済成長につながるなどと、国や産業界が期待する分野を選び、そこに集中的に予算を投入する手法です。

その結果、予算を獲得しやすい大学・分野と
そうでない大学・分野の格差を生み出すことになり教育・研究環境が不安定になってしまいました。


研究や教育は、結果として何が花開くのかを予想できるものではありません。
そもそも結果が出る研究だけが必要とも限りません。

それにもかかわらず、国は「選択と集中」をただひとつの解として押しつけてきます。
そのため国や産業界が経済成長につながることを期待するような研究テーマが選ばれることが多く、地味な基礎研究や人文系の研究にはお金が回ってきません。



文部科学省によると、全国立大などの外部資金収入は、07年度の2841億円から、22年度は2.5倍の7036億円まで増えました。
ただ獲得状況には差があり、世界水準の研究が期待され、外部資金を獲得しやすい東大と、地方の教育単科大では19年の獲得額は最大で733倍の差がありました。


国からの運営費交付金は、トイレなどの施設整備費のほか、教職員の人件費や光熱費、実験や実習に必要な備品購入費、図書購入費などにあてられています。
しかし、この金額が減額されたので施設整備に必要な経費が回ってこず、
そのため金沢大では、昨年、トイレを改修するためにクラウドファンディング(CF)を実施して、355万円集めました。
金沢大学の2023年度予算の運営費交付金は159億円、法人化した04年度と比べて約17億円減りました。


東京芸術大学は、電気代高騰のため練習用ピアノを売却しました。

運営費交付金削減の影響は教職員の雇用環境にも出ています。
人件費を抑えるために増えているのが任期付きの教職員です。
国立大学協会の調査では、23年度の任期付き教員の割合は32.3%で、18年度から5.5ポイント上がりました。
任期付き教員の増加は、雇用を不安定化させ、成果の出やすい研究に走る研究者を増やすとの指摘もあります。


この20年間で研究のレベルは上がったのでしょうか?
残念ですが、注目度が高い「Top10%論文」(被引用数が各分野上位10%)数の国別順位が4位から13位に落ちています。🥺



給与や労働条件など教員の待遇が悪ければ優秀な人材が大学の研究者にならないでしょう。

また研究費が足りなければどんなに優秀な人材でも研究できないでしょう。
結局優秀な人材は民間会社か外国の大学等へ流れてしまい。日本の大学の研究水準は落ちていくばかりです。
国立大学では、教員は外部からの研究資金の獲得に汲々として研究時間も満足に取れず、学生は高学費のためにバイトにあけくれ学ぶことができず苦しんでいるのです。



国立大学の予算の増額を!!
自由な学問研究を守れ!!



執筆者、ゆこりん

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