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経済安全保障の闇。暴走する公安警察。大川原化工機「冤罪」事件とは①

昨年12月27日、警視庁公安部と東京地検の捜査が違法だったと、国と東京都に約1億6000万円の賠償を命ずる東京地裁の判決がありました。

この訴訟は生物兵器の製造に転用できる機器を無許可で輸出したとして、逮捕・起訴され、その後起訴が取り消された「大川原化工機(横浜市)」の社長らが東京都と国を訴えたものです。

ねつ造がありました。
この訴訟では、法廷で捜査に当った現役警部補が「ねつ造ですね」と証言するような警察と検察の異常な捜査の様子が明らかになりました。

判決は、公安部が合理的な根拠もなく逮捕し、担当検察官が必要な捜査を尽くさずに勾留を請求、起訴したと断じました。



そもそも「大川原化工機」事件とはどのようなものでしょうか?


大川原化工機は、創業40周年。
従業員約90名が働く中小企業で、噴霧乾燥機の国内シェア7割を誇る機械メーカーです。
中国や韓国にも輸出していました。
噴霧乾燥機ってあまり馴染みがないかもしれませんが、乳製品など細かい粉体を作るのに使用します。
工事などで使われています。


2020年3月、この噴霧乾燥機が軍事転用可能で輸出規制の対象にもかかわらず国の許可を得ずに輸出したとして、外国為替及び外国貿易法違反で大川原正明社長ら3人が逮捕されたのです。
東京地検が同月起訴しますが、容疑を否認した3名は保釈が許されず1年近い勾留を強いられます。

ところが逮捕から1年4ヶ月後の2021年7月、輸出した機械が規制の対象ではない可能性があるとして東京地検は起訴を取り消しました。

規制の対象外なのに捕まった?!
それはつまり犯罪の事実などなかった「冤罪」事件だったのです!

しかし、この勾留中に同社顧問の相嶋静夫さんはガンが発覚し、保釈を申請するも認められず起訴取り消し決定前の21年2月に亡くなりました。
保釈請求は最終的に8回を数えました。



問題になった「噴霧乾燥機」は高さ1.5メートル、横幅2メートルぐらいの金属製で液体を粉状に加工するために用いられます。
機械内部で液体を霧状に噴霧、そこに付属の電気ヒーターで熱風を加え瞬時に乾燥。粉として取り出すことができるのです。 
牛乳から粉ミルクを作るなどに利用され、ビフィズス菌や乳酸菌などの一部の菌を生きたまま粉状に加工することもできるのです。

このことが有毒な菌を粉末にした生物兵器の製造に軍事転用可能なのではないかという容疑につながりました。


しかし、大川原社長によると、大川原の通常の噴霧乾燥機は密閉構造になっていないので熱風の排気や機械の開閉によって微量の粉が周囲に拡散します。
粉ミルクの製造などでは問題になりませんが、有毒な菌では拡散した粉で作業員が危険にさらされます。

そのため軍事転用は不可能だと思っていましたので、よもや軍事転用の疑いがかけられるなどとは想像もしてなかったのです。


それでは、なぜ、どのような経緯で警察の捜査が始まったのでしょうか?
次の投稿より探っていきます。



執筆者、ゆこりん

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