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一人Book Club(2. ”CULPEPER'S COMPLETE HERBAL”)

 イギリスでは色々なチャリティ団体が各地にお店を構え、一般の人が不要になった色々なものがこれらの団体に寄付され、その売上を寄付金として活動費にしています。ハイストリートには何件もあり、各ショップごとに分野ごとに特化して、本なら本だけ、服なら服だけ、と様々に思考を凝らしたショップもあります。

また、個人でも専門に中古店やアンティークショップを経営していたりと、「古いもの」に対して価値を見出している国がらでもあります。

私はそんなSecond Hand(中古)店やVintage Shopに足を運び、ただ見て回るのが大好きで、趣味の一つになっています。
小さい頃から人の生活やその国々の異なる文化にとても興味があり、人々が使用していた道具を見ると、「どんな人が使っていたのか」「これを買った時の気持ちは嬉しかっただろうな」「これは誰かからプレゼントされたものかな?」など色々と(勝手に)想いを巡らして空想にふけるのが楽しいのです。また、お皿や道具一つ取ってみても、日本にも似た様なものはありますが、その概念や歴史がまた異なり、発見する事が多々あります。

 今回は、その中で見つけた本の一つをご紹介します。
本のタイトルは、”CULPEPER'S COMPLETE HERBAL"『カルペパーのハーブ完全版』 という本です。
私が購入したこの本自体は1970年台にW.Foulsham & Co., Ltdから発行されたものですが、この著者のNicholas Culpepperは17世紀に生きた、植物/薬草学者であり、占星術師かつ医者という、当時はとても有名な先駆的な医者だったそうです。

 日本でも薬草(ハーブ)は昔から医療では重要視され使用されてきましたが、今では化学医療が発達した西洋医学においてもイギリスでハーブが主に医療行為として使用されていました。
この著者のプロフィールには「占星術師」という肩書きがありますが、驚くべきことに、一つ一つの植物に各惑星の名前を当て、その分類によって症状に効く治療法が書いてあるのです!
例えば皆さんご存知のタンポポ、これは「木星のカテゴリーに分類;肝臓や胆汁、脾臓の閉塞、およびそれらから生じる病気(心気症)に非常に効果がある」と書いてあります。
これに加え、ハーブを加工して患部に刷り込んだり、症状を完全させるために加工して服用したりする方法も書かれており、今でいう『家庭の医学』的にまとめられている本です。

 この本でとても気に入っているのが、今では考えられない様な占星術と体の不調とを結びつけて対処する方法が書いてある点です。
今では占いや祈祷などと、体調や病気は化学的には分離している分野ですが、科学が発達していなかった17世紀当時は人間は自然の中、もしくは、宇宙の中の一つである、という考え方でした。自然の中の一部である私たちは、この宇宙で生かされている、色々な植物や動物に支えられ生きていられます。その様な感覚を思い起こさせてくれる、何だか心が温かくなるような本に出会えました。

 まだこの本に書かれている処方箋を作って試してはいませんが、散歩に行き、それらの草木を目にするたびに、「君たちはどの惑星にカテゴリーされているかな?」と調べるのを楽しみとしています。








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