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【読書記録】アンネの日記

1926年、ドイツで裕福なドイツ系ユダヤ人家庭の二女として生まれたアンネはナチスの迫害を逃れ、一家でオランダのアムステルダムに移住。1944年、姉マルゴーの召喚を機に一家で隠れ家生活に入る。ついに1944年、ナチにより連行され、最後はベルゲン=ベルゼン強制収容所でチフスのため15歳で亡くなった。ナチスに捕らわれる前まで書き続けていた日記には、自分用に書いた日記と、公表を期して清書した日記の2種類がある。本書はその二つを編集した「完全版」に、さらに新たに発見された日記を加えた「増補新訂版」。ナチ占領下の異常な環境の中で、13歳から15歳という多感な思春期を過ごした少女の夢と悩みが瑞々しく甦る。ユネスコ世界記憶遺産。

『アンネの日記』が最初に世に出たのは1947年。そして91年に、47年版でカットされていたアンネの人間味あふれる記述(鋭い批判精神や性のめざめ、など)を復活させた「完全版」が出版された。この「増補新訂版」は、98年に新たに発見された5ページ分を加え、翻訳資料をさらに徹底させたもの。まさに「アンネの日記・決定版」といえる。
イラク戦争を目の当たりにした今、本書が単なる歴史の記録でないのは明らかだ(2003年4月)。戦争に突き進む不寛容、抹殺される恐怖、惨めな状況でも楽しみを見つけようとする人々。アンネが日記に向かっていた60年前と、今日の世界とでは、どれほどの違いがあるというのか。14、5歳の少女が、ここまで世界と人間の「変わらぬ姿」を浮き彫りにしたことに驚くほかはない。「どんな不幸のなかにも美しいものが残っている。美しいもののことを考えれば、しあわせになれる」というくだりは、とくに胸を打つ。このおしゃまな少女は、他人の痛みを知るといった経験をとおして、豊かな大人の女性にまちがいなく成長したはずだ。その可能性をあっけなく、不当にも奪う戦争。『アンネの日記』は私たちの視線を、アンネの世界を越えて人間の愚かしさへと向ける。(小林千枝子)

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感想

隠れ家でひっそりと暮らし、悲しく辛いことが身の回りで起きていても、ささやかな幸せや楽しみを見つける心の持ちように感動しました。

自分の生活はどれほど恵まれているだろう。

どんな環境にあっても、自分の好きなことや、価値観を失わずにいられるだろうか?

好きなものを好きだと言い、嫌なことを嫌だと言えるだろうか?

そんなことを考えました。

戦争によって世の中が混乱していく様が、アンネの視点から描かれています。

約600Pほどある本ですし、内容も辛い気持ちになる部分もあります。

それでも読み通せたのは、アンネの文章が、希望や絶望、期待、細やかな日々の楽しみなどを、鮮明に表しているからだと思いました。

アンネの元々の才能と、置かれた環境が、このとてつもなく人の心を打つ文章になって現れているのかなと考えていました。

「わたしの望みは、死んでからも生き続けること」と、作中でアンネは書き残しています。

約80年も経ったいま、私がこうしてアンネの日記を読んで、心を打たれているというのも、アンネが生き続けている、と言えるのかなと思いました。

人と人が争うのは、「自分とは違うから」と言えるのかもしれません。

違いを認めて、尊重し合えるようにはなれないのか?

そんなことを、この本を読んで考えました。

こどもにも、大きくなったら読んでほしい。

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