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粋生美月
2022年8月7日 14:55
あの日僕は仕事を終えて、ずっしりと重い心と身体を、引きずるように電車を降りた。駅から出たら、暗いはずの空がピカピカと明るくなっていてヒュードドドーン夜空に花火が上がっていた。駅前には人が溢れていて、僕は明るくなった空を振り返りながら少しのため息をついて、すぐに帰り道を急いだ。家路への暗くなった田舎道。街のあちらこちらで花火があがっていてまばらに人が立ち止まって見
2022年8月13日 13:38
ウイスキーが、好きなのよね。スコッチ、かな。ロックで飲むのが、好きなのよね。クスッと笑いながらそう言った君は、やけにクールでかっこよかったんだ。僕はビールが好きで、ヨーロッパなんかのエールビールについて、熱く語るのを君は、ニコニコと聴いていたよね。僕はいつもそんな君の優しさに包まれて、熱く語ってしまうんだよね。いつも一通りの優しい時間をくれた後君は、静かに君自身のこと
2022年6月27日 16:58
ずっと幼く小さな僕がずっと心に持っていた僕だけの世界そこは賑やかに色んな音に溢れていてそれは色とりどりに鮮やかだったり淡かったりそして突然に静かな風が吹いて大きな青い空が広がるそんなのが僕だけの世界それは誰にも見えなくてそれは誰からも理解されなくて小さくなったり遠くなったりだけど僕の中に確かにある僕だけの大切な僕だけが大切な僕だけの世界そこ
2022年8月13日 16:01
あの日訪れた僕に、君が差し出した少し大きな箱。その中に思うままに僕が置いた、サラサラとした砂と小さな人形達が、僕が押し込めていた大切な衝動を、ここにいるんだよと教えてくれた。書くことで誰かを傷付けて書くことで自らを傷付けて書くことを封じ込めて書くことを忘れようとして僕は君の元へたどり着いたんだね。書くことは、あなたの衝動ねそこから、出たいのよね君はそう言って優しく微笑
2022年8月3日 20:18
優しい人があの人。優しさが、全身から溢れてる。それがあの人。いつものあの部屋のテーブルの向こうに静かに佇むように座っているあの人。扉を開けて入って、僕はテーブルのこっち側に座る。顔を上げると、少し右に顔を傾けたあの人が、僕に耳を澄ませて待ってくれている。その瞳は優しさと暖かさで溢れてる。あの人はいつだって、そんな人。だけど、僕は知ってる。時々あの人に、寂しげ
2022年8月3日 20:19
愛は感じるものよそう、あの人は言った。当時の僕は、愛を探してた。あの人は、愛を感じ取る天才なのだ。寂しい風が時々あの人を包んでも、その風を心にそっとしまい込んで、そこに僅かにも確かにある、目の前の愛に、耳を澄ませて、心を傾けてきた。そう、あの人はそんな人。一方で僕は…愛を感じても、いつの間にかその愛は心のどこかにあいた穴から漏れ出て、いつの間にか空っぽに