[物語]箱庭[詩]
あの日訪れた僕に、
君が差し出した少し大きな箱。
その中に思うままに僕が置いた、サラサラとした砂と小さな人形達が、僕が押し込めていた大切な衝動を、ここにいるんだよと教えてくれた。
書くことで誰かを傷付けて
書くことで自らを傷付けて
書くことを封じ込めて
書くことを忘れようとして
僕は君の元へたどり着いたんだね。
書くことは、あなたの衝動ね
そこから、出たいのよね
君はそう言って優しく微笑んだ。
僕の衝動。
そうだった。衝動は押さえられないもの。
だけど僕は一生懸命に、押さえ込んでいた。
これは誰かを傷付ける。
それがどこからくる衝動なのかもわからないまま、ただ振り回して何かにぶつけるように書いていたんだよね。
だけど僕が書く言葉たちに、君はいつも最大限の賞賛をくれる。
大好きなのよと、笑ってくれる。
僕がただ欲しかったものは、
君が紡ぎ出す、優しい言葉だったんだ。
そうしてやがて僕の、僕を苦しめていた不特定多数への強くて痛い承認欲求が生み出す言葉たちは、優しく暖かい君への愛から零れる言葉たちへと、変わっていったんだ。
そして君も、言葉を紡ぐ人。
その言葉の糸は、優しく暖かい君そのもの。
今僕が紡ぐ言葉の糸も、君を想う僕の心の色。
愛から生まれるものは
やっぱり愛なんだね。
その糸を絡ませながら、君と僕と。
共にここから未来へ、歩きだす。
僕があの日踏み出せた一歩は
君がくれた言葉の力。
踏み出したその先に見るものは
僕と君と、2人で見る未来。
2人で見る未来が紡ぎ出すのは、
僕らの優しい言葉たち。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?