粋生美月

込み上げる想いに気付いたら、言葉を紡ぐ瞬間。書くことは衝動。衝動は欲望。ノンバイナリー…

粋生美月

込み上げる想いに気付いたら、言葉を紡ぐ瞬間。書くことは衝動。衝動は欲望。ノンバイナリーです。HSPとADHDでもあります。関西生まれの関西育ち。この星に生まれてもう半世紀。心は永遠にひよっこのまま。

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  • ユウとカオリの物語

    LGBTQ+当事者カップルの2人が描く恋愛小説。ユウ目線でのお話と、カオリ目線のお話を2人で書きあっています。セクシャルマイノリティの世界ではない、ごく日常の中で出逢った2人の物語。第2章ではジェンダーやセクシャリティ、その他マイノリティの世界を当事者目線で描いていきます。

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[小説・ユウとカオリの物語] 自己紹介 │番外編

 どうも、ユウです。とうとう僕の告白まで来ましたね。カオリに1度振られた時は、実は一晩だけ落ち込みましたけどね。「マゼンタと青」のおかげで翌朝には前向きになってました笑 だってそれって恋の色じゃん!みたいな!だけどなぁ、愛の色はマゼンタと青、だなんてさ!その愛情表現がサピオセクシャル的にはもう、胸を打ち抜かれた感じがしたんだよ。うんうん。あ、サピオセクについてはまた、追々書いていこうと思いますね!  でね!カオリの素性がわかったところで!今日は僕とカオリの自己紹介を書いてお

    • [短歌]生き抜いてきた君に[返歌]

      生きるのも 悪くないわと 抱き寄せて 笑む君の胸 強き鼓動と 柔手(にこで)にも 生き抜いてきた 道の数 刻む皺さえ 愛しき君よ --------------------------------------- 先日の彼女の短歌への返歌です。 https://note.com/rkmoon/n/n48c667aca484?sub_rt=share_pw

      • [詩]君がいない夜

        自由な君を 願う僕 自由な君を 想う僕 きっと今頃 笑う君を そっと ここに抱いて ポツリと落ちる雨音の 数を数えて閉じる夜

        • ノンバイナリーと格闘技

          ノンバイナリーという言葉が突然にしっくりきたのは、自分は子供のころからずっと、男女二元論に苦しめられてきたからなのだと。小さい頃はどっちでもよかったはずの性別が、男女どちらかに振り分けられてしまう違和感。思い返せばその違和感は、成長とともに増していくことになったのだと。 思春期に入ると自分が好きになるのが全て女性だということに気づいた。長い期間、いじめられた経験が多かった小学生の頃。10代のわたしは正直ずっと、甘えさせてくれる女性を探し求めていた。 20代になってセクマイ

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        [小説・ユウとカオリの物語] 自己紹介 │番外編

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        • ユウとカオリの物語
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          ノンバイナリー的ジェンダー論

          「ノンバイナリー」 その言葉を知ったのは、ちょうど2年前の夏、だったかな。 【宇多田ヒカル、「ノンバイナリー」をカミングアウト!】 ニュースでそんなタイトルが踊っていた。 わたし自身の性自認はそれまで、Xジェンダーと認識していたし、自分は男性よりの中性だと思っていた。ノンバイナリー、という言葉を聞いたときもただ単に、「あぁ、また新しい言葉が出てきたんだなぁ」それくらいにしか、捉えていなかったし、特段惹かれる言葉でもなかった。 そしてその数か月後、心理カウンセラーの先

          ノンバイナリー的ジェンダー論

          第2章[第7話] 《ユウとカオリの物語 -ジェンダー編-》ユウの想い

          前回話 カオリ目線のお話はこちら 第6話はこちら  初めて出逢った時の君は、ステンドグラスの光に照らされて、とっても寂しそうに微笑んでいた。「座りませんか」そう言って僕に微笑んだ君は、その寂しさを覆い隠すような、優しさに包まれていた。  気づけば僕は、暗い裏路地に突っ立っていた。あれ?僕なんでここにいるんだろう?ここはどうだろう?カオリ、どこ行っちゃったんだろう?道に迷ったのかな。僕を探しているだろうな。ん……?待てよ?……あ、ここ、覚えてるぞ。あっちの道をまっすぐ行っ

          第2章[第7話] 《ユウとカオリの物語 -ジェンダー編-》ユウの想い

          第2章[第6話] 《ユウとカオリの物語 -ジェンダー編-》

          第5話はこちら 幸せのカタチなんてね、 100人いれば100通りあるわよ。 何が正しいのか、なんてのもね、 立場や環境が変われば、簡単に変わるのよ。 幸せも、正しさも、一つじゃない。  僕はこの日、仕事を定時に切り上げて、急ぎ足でとある場所に向かっていた。電車とバスを乗り継いだ後、はやる気持ちを抑えながらアーケードを急いだ。しばらく歩くと、カオリから聞いていた建物が見えて、僕はドキドキしながらエレベーターに乗った。エレベーターが開くと、そこにはカオリがニコニコしながら立っ

          第2章[第6話] 《ユウとカオリの物語 -ジェンダー編-》

          第2章[第5話] 《ユウとカオリの物語 -ジェンダー編-》

          第4話はこちら 「胸なんてさ、朝起きてポロっと取れてたらいいんだよなぁ。手術しようとまで思わないしさ。あ、でもだからと言って男性の身体もいらなくない?ユウちゃんはどう思う?」 「そうそう!それめっちゃわかるな。僕はトランスでもないしさ、どっちつかずがあってもいいよね。そんなにバシっとどっちかに振り分けられないよ。僕らは中途半端でいいんじゃない?」 「あはは……中途半端かぁ、そうだよねぇ…...うん、中途半端な人間だって、いるんだよ!」  僕はふと、若い頃に仲良くしてい

          第2章[第5話] 《ユウとカオリの物語 -ジェンダー編-》

          第2章[第4話] 《ユウとカオリの物語 -ジェンダー編-》

          第3話はこちら 「時々すごく男の子の顔になる時あるよね!おもしろーい」 昔片思いで好きだった女性に言われた言葉を、ふと思い出していた。男の子の顔の時、か......それはきっと、好きな人と話す時だったからだよな。あの時は深く考えてなかったけど、だったら女の子の顔の時もあったってことだよな。うん。でもそれが振られた原因になったんだよな。 あ、でも、そか、カオリが言ってたな。 「あなたは相手に合わせてきただけよ」 うん、そうだ。カオリに言われて気づいたんだった。 好きな

          第2章[第4話] 《ユウとカオリの物語 -ジェンダー編-》

          第2章 [第3話]《ユウとカオリの物語 -ジェンダー編-》

          第2話はこちら だって子供でしょ。 子供時代の自分を、 子供扱いしてあげてよね。 ※ ※ ※ 通勤途中、最寄り駅までのいつもの田舎道。ここの風景が僕は大好きだ。 特に夏は、真っ青な空に浮かぶ動物みたいな雲を数えながら歩くと、揺れる青い稲が目の前一面に広がって、そこを抜けると大きな向日葵が僕を待っていてくれる。小さかったあの頃、僕を勇気付けてくれたあの道のあの風景みたいだからだ...... 幼稚園に入園した日僕は、母と離れるのが不安で1日中泣いていたのを今でも何故か覚え

          第2章 [第3話]《ユウとカオリの物語 -ジェンダー編-》

          第2章[第2話] 《ユウとカオリの物語 -ジェンダー編-》

          第1話はこちら 相手に合わそうとしてきただけなのよね。 相手に合わせて生きてきたから、 気持ちを隠そうとしてしまうのね。 やっぱりわたし達、似た者同士なのね。  ※ ※ ※ それからも僕には幾人か、好きになった人はいた。だけどどれも片思いで、いつも言われるのは「友達じゃダメなの?」という言葉だった。「友達として失いたくない」とも、何度言われたことか。そしてその都度僕は、苦しみながらもその言葉を受け入れてきた。 その愛の種類が何でもいい。愛する人に、必要とされる人でいた

          第2章[第2話] 《ユウとカオリの物語 -ジェンダー編-》

          第2章[第1話]《ユウとカオリの物語-ジェンダー編-》

          どんなユウも、わたしの好きなユウよ。 こんなに可愛い人がわたしを好きになってくれるなんて。 こんな幸せはないわよ。  ※ ※ ※ 僕はずっと子供の頃から、着ぐるみを着て生きてる気がしていた。 着ぐるみは何着も持っていて、その時々で周りの人たちが笑ってくれる着ぐるみに、僕は着替えるものだと思っていた。着ぐるみを脱ぐのは両親の前だけで、着ぐるみがないと他人とは接することができなかった。 10代の頃は色んな着ぐるみを試しては変えて、いつしかその中にいる本当の僕のことなんて、いっ

          第2章[第1話]《ユウとカオリの物語-ジェンダー編-》

          [詩]時空を超えて

          暖かな光の中で 静かに微笑んでいた あなたから感じたのは 僅かに漏れた 優しい悲しさ 柔らかな強さ 包み込まれた寂しさ それを見つけたのは 僕だけだったんだね こんなにも こんなにも 深く 深く 奥底にしまっていた 大切なあなたの 切ない感情 大切に拾い上げて抱きしめて 僕に満たして見上げたら 柔らかな笑顔だけが残ってた 繋いだ手に感じたのは 時空を超えた暖かさ 時空を飛び越えて 戻ってきた人 時空を超えて たどり着いた僕

          [詩]時空を超えて

          [詩]ぜんぶ

          ぜんぶがここにあるし ぜんぶはここにない 僕のぜんぶは 誰かのぜんぶじゃない 僕は僕だけのぜんぶを 僕の歴史で作り上げてきた 僕のぜんぶと 君のぜんぶを 混ぜ合わせる そんな時間が僕は好き まだないぜんぶの中の どれかとなにかを求めて まだまだ僕は未完成 僕の未完成と 君の未完成を 求めあう そんな時間が 僕は好き

          [詩]ぜんぶ

          短歌│君へ歌

          君見上げ 抱きしめる手に伝わる背 切ない程に渡し合う愛 抱いてくれる優しさ 包み込まれる暖かさ 抱かれる幸せを 初めてくれた君へ

          短歌│君へ歌

          短歌│君への歌 2023/01/24

          【その1】 「予約した」 そんなことにも 泣く君の 涙に見える 愛しき半生 【その2】 「役回り」 背負わせられた 重荷なら 代わりばんこで 持てばいい 今までは、 何もかもを自分でやってきたんだよね。 だからいつも、 あのお店予約しといたよ 今度あそこに行ってみようよ そんなことすら、 感動してくれる。 やってくれたんだって。 涙してくれる。 これからは。 役割も役回りも、 2人には必要ないんだよ。 2人で代わりばんこ。 ね。

          短歌│君への歌 2023/01/24