取材した怪談話

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【取材した怪談話154】新車でドライブ中……

【取材した怪談話154】新車でドライブ中……

※動物好きな方は閲覧注意 ・・・ Aさんの父親が大学生の頃、苦労してバイトに励み、紫色の軽自動車を購入した。その記念にと、友人を含めて四人でドライブに出かけたそうだ。父親の運転で、昼過ぎに出発して少し遠方の目的地に向かった。 好天のもと仲間と歓談しながら道路を運転中、左カーブに差し掛かったときだった。路面の左側に、何か黒いものが視界に入った。それが微動だにせず横たわる猫だと分かった時点では、もう車を避けきれなかった。 がこん、と、柔らかい肉塊を左タイヤが乗り越える感触

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【取材した怪談話153】物色

【取材した怪談話153】物色

デザイン系の専門学校に在籍していた女性Aさんが、デザイン画の実習を受けていた時の話。 その日の実習では、各々が洋服のデザイン画を描いて、教壇に座っている担当教員に提出することになっていた。実習には四十人ぐらいの学生が参加しており、七~八割が女子学生だ。皆もくもくと描画しており、教室内は試験中のように静かだった。 そんな中、Aさんの隣に座っていた女性Bさんが突然、プッと小さく吹き出した。何かに対して思わず笑ってしまった、そんな様子だ。Bさんは、いわゆる霊感体質者だ。 「ど

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【取材した怪談話152】謎部屋

【取材した怪談話152】謎部屋

え? 怖い話ですか? 不気味な体験というか、場所がありますよ。オバケも出ないし、怪奇現象があったわけでもないんですが、そんな話でもいいですか? わたし、学生時代に宗教系の学校に通ってたんです。部活やってて、部室がある棟によく出入りしてたんですよ。その棟に地下があるんですが、そこは全然使われてないんです。ずっと入ってみたいなと思ってたんですが、なかなか行く機会がなくて。立入禁止になってるわけじゃないんですよ。 で、ある日の昼休みに、友達と五人ぐらいでその地下に降りてみたんで

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【取材した怪談話151】八王子城跡/たっちゃん池(東京)

【取材した怪談話151】八王子城跡/たっちゃん池(東京)

「夜景を見に行こう、って彼氏がドライブに誘ってきたんで付いていったんですが、到着した場所が心スポ(心霊スポット)だったんです」という、玲奈さんの体験談。その心霊スポットとは、東京都八王子市に位置する八王子城の城跡だ。 【八王子城】 武蔵国(東京都八王子市)に存在していた山城。北条氏の本城である小田原城の支城で、関東西部に位置する軍事上の拠点であった。1590年、豊臣秀吉の軍に加勢した前田利家らの軍勢に小田原征伐の一環として攻め込まれ、陥落した(八王子城合戦)。 落城間際、城

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【取材した怪談話150】青い作業服の男

【取材した怪談話150】青い作業服の男

本エピソードについては、怪異の本質的部分を変更しない程度で事実を一部変更しています。人物・場所の特定を防ぐためです。 ・・・ 宏明さんは、法律関係の事務所で弁理士として働いている。弁理士とは、特許、商標などの知的財産に関する国家資格者だ。彼は主に、中小企業の特許戦略のアドバイス、出願や訴訟の代理などに従事していた。 十年ぐらい前、とある中小企業から知的財産に関する無料相談の依頼が舞い込んだ。無料相談の場合は通常、企業の人間に事務所まで来てもらうケースが多いのだが、諸々の

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【取材した怪談話149】離婚の理由

【取材した怪談話149】離婚の理由

Aさんのママ友に、Yさんという女性がいる。Yさんはいわゆる霊感体質で、霊媒師に「あなたは霊媒師になるべき」とお墨付きをもらっているほどだ。 ある時、そのYさんから電話が掛かってきて「話を聞いてほしい」と切り出された。 「最近さぁ、旦那が帰ってくるのが遅いことが多いんだよね」と、低いトーンで話し出すYさん。Yさんは、夫の転勤に伴って引っ越して3〜4ヶ月が経過していた状況だった。 冗談混じりに、Aさんは訊いてみた。 「えっ、もしかして浮気?」 「うん、浮気だよね」 声の

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【取材した怪談話148】とびっこ(成人向け)

【取材した怪談話148】とびっこ(成人向け)

※成人向けのエピソードです。 ・・・ 女性Aさんは、女性Sさんと同居している。 本エピソードは、同居人SさんがSMの女王様業をしていた時の話である。 ぶぅん、ぶぅんぶぅんぶぅん……。 二人がリビングで寛いでいた時、どこからか静かな振動音が聞こえてきた。耳をそばだてて音の在り処を探ったところ、Sさんの仕事用バッグから聞こえてくる。Sさんが口を開いた。 「〈とびっこ〉が勝手に動いてるみたい」 〈とびっこ〉とはアダルトグッズの一種で、小型のリモコン操作式ピンクローターの

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【取材した怪談話147】指示

【取材した怪談話147】指示

女性Aさんが通っていた中学校では、コックリさんが禁止されていた。上級生がコックリさんを実行した結果、精神異常を呈して入院しているという噂があった。その真偽は不明だが、禁止されていたのは事実だ。 それにもかかわらず、中学一年のある日の放課後、Aさんは友達B、C、Dさんと四人でコックリさんをした。教室で行うとすぐに教員に見つかる可能性が高いため、教室に隣接する生徒会室の前の廊下で執り行うことになった。廊下に太い柱があり、その陰に身を隠せるためだ。 その時のコックリさんには、A

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【取材した怪談話146】とばっちり

【取材した怪談話146】とばっちり

女性Aさんが中学生の時の話。 ある日の五限目と六限目の間の休み時間に、クラスのノリの良い男女六人ぐらいのグループが教室の一角を陣取ってコックリさんを始めた。 「お前ら、ふざけてコックリさんやるなよ」 その様子を傍から見ていたB君が、真顔でクギを刺した。彼は地元では著名な寺院の跡取り息子だ。 だが彼の忠告は受け入れられず、コックリさんは速やかに進行された。 それは、開始数分後のことだった。 ぱらぱらぱらぱらぱらっ。 教室中に、軽い音が響き渡る。 B君が身に着けていた数

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【取材した怪談話145】死神の部屋

【取材した怪談話145】死神の部屋

「死神の部屋、というのがあるんです」 声を落としながら、Jさんは語り始めた。 彼の母親は看護師で、数年前に建てられた病院で勤務している。 その〈死神の部屋〉は、ある六人部屋の病室だそうだ。自力歩行が困難な高齢患者が割り当てられる病室だ。その病室の中には、個室トイレが設けられている。 「母が夜中に巡回する時、その病室の個室トイレの電灯が点いていることがあるみたいです。暗がりの中、トイレの扉の下の隙間からオレンジ色の光が漏れているのがすぐ分かるそうです」 そのトイレの電灯

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