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ルーツ旅【京都・山城地域⑬】85年前の日記にはさまれていた手紙

10月におじと会ったとき、曽祖父がルーツ探しのために記録していたノートをもらったことは以前書きました。

その裏表紙に、手紙が1通挟まれていたので、今回はその内容について書いてみようと思います。

赤い封筒が出てきました

▼昭和初期の家業がわかった

まず私が注目したのは、封筒の表書きの宛名です。「筒井醤油醸造所」と書かれています。

うちの先祖は、江戸時代中期から茶商をしていましたが、昭和初期は味噌や醤油の醸造所をしていたと聞いています。この封筒は、それを裏付ける資料といえます。

封筒のサイズは縦20cm、横8.3cmと小さめ。かなり薄くて破れやすい素材です

▼曽祖父は天皇のお墓について調べていた

裏側をみると、差出人は『御歴代皇陵』刊行会という団体の代表者のよう。「皇陵」は天皇の墳墓のことです。


そういえば、曽祖父の日記には、やたらと天皇や皇族の名前が出てきました
(下の写真参照)。


そもそもW村という場所は、奈良時代に恭仁京と紫香楽京を結ぶ交通路として発達したことや、安積親王(聖武天皇の第2皇子)のお墓があることが関係しているのかもしれません。

また、筒井氏のルーツは皇室とつながっていると聞いたことがあるので(まあ大体の氏族はそうだと思いますが)、それと関係しているのかも。

▼手みやげのお茶をほめられた

封筒の中には、小さな便箋が14枚、こよりで綴じられていました。便箋には、送り主の名前が印刷されています。

びっしりと筆文字が並び、赤字で修正された部分もあります。昔は、こうやって手紙を書いたんですね。

内容は、漢字ばかりでほとんどわかりませんが、拾い読みしたところ、曽祖父がW村の近くにある陵墓について問い合わせ、それに対する返信のようです。記録がどうとか手続きがどうとか、かなり細かい内容です。

面白かったのは、その後にあった「追伸」です。

意訳すると、

「先日、うちの家においでの際は、おみやげをありがとう。さすがW村の銘茶は、芳香といい風味といい、お茶を入れた時の色といい、実に申し分ないね。そのうちまた家に届けてくれるとうれしいな」

という内容です。どうやら2人は、以前からの知り合いのよう。

相手は、盛んに曽祖父の手土産のお茶の品質をほめています。さすが宇治茶の中でも上質なことで知られているW茶です。

これを読んだ曽祖父はきっと、自分の先祖が率先してこの地でお茶を栽培し、それがこれほどの銘茶に育ったのだと、満足感を覚えたに違いありません。

最後に「三伸」という紙が1枚ついていました。よほど書きたいことがたくさんあったのでしょう。

内容は、これまでとちょっと違います。

「神霊の●●を望むことは、あなたのように人の●●を調査することを待っていることは、今も昔も実例があることだ。……W村の安積親王墓の例もあり、全く……霊が……」

判然としませんが、おそらく曽祖父が熱心に皇室の陵墓を調査していたのをほめてくれたのでしょう

というわけで、手紙の内容はよくわかりませんでしたが、わざわざこの1通だけが残されていたということは、曽祖父にとって、この手紙はルーツ探しをするうえで大切な意味を持つものだったはず。そのうち、もっと解読できればいいな。

▼東大寺の別当も筒井一族だった?

裏表紙のポケットには、手紙だけでなく名刺も数枚入っていました。その1枚がこちらです。

東大寺の執事と書いてありますが、ネットで調べたら、筒井英俊氏は第202世の別当を勤めていたとか。そのご子息(筒井寛秀氏)も同じく東大寺の別当をつとめ、さらにそのご子息(筒井寛昭氏)も同様です(現在は長老)。

私は以前、筒井X氏から、「東大寺のトップも代々、筒井氏です」と聞いていたので、ああ、このことかと思いました。

実際にこの方々が戦国時代の筒井氏の子孫かどうかは私にはわかりませんが、私はそう聞いているということです。

ただ、筒井寛秀氏の著書『誰も知らない東大寺』によると、同氏の祖父(寛聖氏)の出身は、筒井氏の本拠地である大和郡山で、しかも筒井氏と縁の深い西大寺で修行しているので、筒井一族である可能性は高いのではないかという気がします。

戦国時代よりもはるか昔(おそらく平安時代ごろ)から、大和の筒井氏は代々、僧侶の家系でした。その後、筒井定次が豊臣秀吉から伊賀への国替えを命じられたあとも、大和に残った一族の一部は、やはり僧侶として命脈を保っていたんだな。私はそう思いました。

曽祖父は、ルーツを同じくする(と思っていたはずの)東大寺の別当と会って、一体なにを話したんだろう。想像がふくらみます。

曽祖父と同じように、私もあちこちルーツを訪ねて旅を続けます。次回は再び高知のZ村へ向かいます。

(続く)
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