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五感を呼び覚ます。築250年の蔵を改装した淡路島の貸別荘”TERROIR(テロワール)”

日本最古の歴史書『古事記』にて、日本列島で最初に生まれた島と語られている淡路島。大阪から車で1時間というアクセスの良さと、海と山どちらも楽しめる自然環境でセカンドハウスやリゾートスポットとして人気が集まるこの地に、”五感を呼び覚ます”ことができる貸別荘TERROIR(テロワール)がある。

大阪の茶屋から築250年の蔵を移築し、その骨組みや石材はそのままに、モノクロームの屋根一体型太陽光パネル、Roof–1を新たな屋根として再生した建物。入り口までのアプローチにハーブやユーカリが植えられており、自然の香りに思わず深呼吸をしたくなる。

TERROIRの玄関を開けるとまず目に入るのは大きなステンレスタンク。本格的にアロマオイルやフローラルウォーターを蒸留する施設が1階のダイニング・キッチンスペースに併設されている。

蔵を250年間支えてきた立派な束石、土壁。素材の良さをそのまま生かすデザインが印象的だ。

2階は宿泊者のみが入れるプライベートな空間となっている。ベッドやソファーと同じ空間に造作のバスタブがアイコニック。そのほか、敷地内にはロウリュウサウナと水風呂も完備。

設計者でオーナーは自然派スキンケアブランドSHIROの店舗デザインや、貸別荘ISLAND LIVING等を手掛けるなど様々な方面で活躍されているDRAWERSの小倉寛之さん。TERROIRのデザインに込められた小倉さんのフィロソフィーに触れながら、この1日1組限定の貸別荘の魅力をご紹介したいと思う。

DRAWERS 小倉寛之さん

人間本来のリズムを取り戻す場所に

ーコンセプトの”五感を呼び覚ます”体験とはどういったことでしょうか?

小倉さん:「都心で生活していると五感が鈍ってくるじゃないですか、一日中スマホやパソコンの画面などのデバイスを見ていると。それらをストップして、ただただ太陽を眺めたり、深呼吸したり、香りを感じてみたりすることって、意識しないとできない環境に現代社会は陥っているなって思うんです。だからこういう場所(TERROIR)で五感を蘇生し、私たち人間に備わっている感覚を取り戻してほしいと思っています。」

「例えば、ちょっと朝早く起きて、窓を全開にしたら、目の前の海から朝日が上がってくるんですが、鋭角に光がさしてくる暖かい感じとか、鳥の声の生命力がすごいんですよ、もう本当にすごい(笑)。鳥も目覚めて1日の始まりを感じてるんだと思うんですけど、その声を聞くと、生きている感覚というか、都心では感じられない我々人間の命の感覚を味わえる。あと、近くにある平飼いのにわとりたちも、必ず朝にたまごを産むんですよね。だから人間も一緒で、生き物には本来備わっているリズムがあると思っています。自律神経っていうか。普段の生活のストレスを剥がして軸の部分をしっかり整えてあげて欲しいです。」

”自然との繋がり”を建築デザインへ

小倉さん:「植栽をインテリアに取り込んでいく動きがあった時に建物内と建物外の開口部、”自然との繋がり”を意識し始めるようになりました。ただ、過去に室内の空間に樹齢200年のオリーブの木を取り入れたことがあるのですが、都心部で緑を無理やり入れていくという作為に、ちょっと無理があるのかもなと思い始めたんですよね。そこから今は植物にとっても心地よく健康に育つ庭を屋外につくって、その活き活きとした姿を楽しもうって思うようになりました。私たち人間もそうですが、無理なことが生じるとうまく続かないので、本来あるべき環境を整えて、循環していく様が良いと思うんですよね。」

「また、もとから自然エネルギーとの繋がりを建物のデザインの一部として取り入れていきたいと思っていましたので、太陽光パネルはつけようと決めていました。太陽光パネルって建築デザインにおいて、見た目が残念なことが多い中、Roof–1は屋根自体が太陽光パネルになっているところがすごくスッキリしてますし、日本中の屋根がそれになればいいなって思っています。Home–1に関しても、エネルギーがビジュアル化されているので発電されていることが実感できるし、古材と共に最新のHEMSがあるという組み合わせが面白いなと思っています。」

普通の屋根に見えて、太陽光発電をする屋根”Roof–1"

壁に埋め込まれたタッチパネルはモノクロームの未来のHEMS、”Home-1(ホームワン)”。発電量や電気使用量をモニタリングできるほか、部屋の照明やエアコンなどの複数の家電を一括でコントロールできる。また、複数の壁付リモコンをHome-1のタッチパネル1つに集約し、すっきりとした壁を実現する。

Home-1のエネルギーモニタリング画面

内と外を繋ぐ、室内の露天風呂

ー室内に”露天風呂”をつくってしまうって斬新ですね。

小倉さん:「日本のたてものって水回りを隠れたところにつくる常識があるんですが、ポルトガルへ旅行した際の宿泊先で、バスタブだけ屋内に中にぽんってあって、湯気が上がるけれど、部屋が広いからあまり気にならなかったんですよね。温泉宿にいって、綺麗な景色を見渡せるところでお風呂に入るっていう露天風呂ってすごい解放感があるじゃないですか。全てをリセットする感覚を味わうことが、五感を活性化させる要素の1つかなと。」

地産地消、地域の活性化にもつながる”香りの記憶”を

ーなぜ蒸留施設をつくろうと思ったのでしょうか?

小倉さん:「ちょうどISLAND LIVINGのための宿の香りを作りたいと思っていた頃、京都で食事した際に、最初に出てきたおしぼりがめちゃくちゃいい香りがしたんですよ。そこで、この香りのデザインしてる方が誰かと聞いたところ、なんと淡路島の方だったんです。 それで彼を訪ねて記憶に残る『旅の香り』を作ってもらうことになりました。」

「淡路島は国内の精油やお香などの生産シェアが7割くらいあります。それがきっかけで、自分たちも香りのプロダクトを始めることになり、生産から製品までを一貫するように、ここでとれた精油を自分たちのプロダクトにも使おうとしています。あと、このあたりには有休農地がたくさんあるので、そこにハーブを植えたりして、農家さんとも協業をしながら、TERROIR周辺の農地も再活性し、結果として自分たちのプロダクトに繋がっているという循環をつくれればいいなと考えています。」

希望する宿泊者は庭で自ら摘んだレモングラス、ラベンダー、ミントなどのハーブで蒸留体験が可能。敷地内にあるサウナでは、自分で作ったハーブウォーターをロウリュウで使用することができる。温かい蒸気を肌の上で感じながら、とれたての香りを肺いっぱいに深呼吸し、心身ともに浄化される体験ができそうだ。

ー最後に、味覚について。滞在中におすすめの夕食プランなど教えてください。

小倉さん:「ここは食材の宝庫なので、野菜はもちろん淡路牛やジビエも美味しいし、魚も新鮮。キッチンでは薪火調理ができるので、近くで自ら食材を調達してもらって、シンプルに素材の味を楽しんで欲しいです。あとは希望によっては板前の出張サービスをお願いして、目の前でお寿司を握ってもらうこともできますし、お客様のニーズに合わせて円卓を囲う時間を楽しんでもらえます。」

現代社会において、あたりまえのはずの自然をただ感じることが、贅沢になってしまったのはいつからなのだろうか。皆様もTERROIRで、自然と心の繋がりを再確認し、五感を呼び覚ます体験をしてみてはいかがだろうか。


TERROIR
兵庫県淡路市釜口1191
HP:https://islandliving.jp/tettoir/story.html
Instagram:@terroir_awaji


モノクロームについて
モノクロームは、創業者の梅田優祐が自宅を建設する際に、理想の住宅用太陽光パネルと、つくられた自然エネルギーを効果的に制御するためのソフトウェア(HEMS)が存在しない問題に直面したことをきっかけに、その問題を解決するため、2021年7月に設立された会社です。

HP: https://www.monochrome.so/
Instagram:@monochrome.so
X(Twitter):@monochrome.so

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Text&Edit:Miko Okamura Ellies
Photo&Video:Christopher Ellies

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