見出し画像

糸/芥川と菊池、謙信と信玄

ある本を読み返しました。
ある芝居の事がずっと頭を離れなくて。
芥川と菊池が出てくる本です。
謙信と信玄が台詞に出てくる芝居でした。
人と人が出会うことや別れること、
それでも互いの中に互いは居て、
だから自分として生きられるということ。
そんなことを考えていて。ふと。
 
北村薫による小説、
タイトルは『六の宮の姫君』です。
ん? 芥川龍之介による短編小説と同じ?!
いや、今昔物語集に在る話と同じ?!
偶然ではありません。
本作はいわば〝書評ミステリー〟でありながら、
大学卒業を間近に控えたひとりの少女がさまざまな縁から同作と出会い、
若き日々を終えて歩みを進める物語なのです。
いや、それだけでもありません。
実は、作者である北村薫が自身の大学時代の卒論(!)をベースにした小説でもあるのだそうです。
 
大正時代の若き者たちは「なぜ」それを書いたか。書けたか。いや、書かずにいられなかったのか。
 
読み継がれる作品たちを通して謎を解き明かし、
読者と共に「人間」や「生きること」を考え、未来への扉をあける。
 
ちょっと興味深くないですか?
 
以下、ちょっとネタバレにもなりかねないからお読みいただく場合は気を付けて。
と、前置きをして進めます薦めます。
 
大学四年生のヒロイン「私」は
卒論を芥川に決め、みさき書房(みすず書房?!)でアルバイトを始める。
出会ったのは、少年時代から文壇に入っていたという老作家(※架空)。
彼は芥川が生前、自作『六の宮の姫君』について謎のつぶやきをしていたと話す。
それは、ずっと謎だった言葉なのだと。
 
「芥川さんは、いったな。
 «あれは玉突きだね。……いや、というよりはキャッチボールだ»」
 
古典から着想を得て書いた作品だから?
 
そんな軽いことじゃない。なかった。書かれたことには理由があった。
書かれ、生み出されたことには、芥川の、芥川だからこその譲れない想いが。
きっかけとなったのは、友。友であり同士であり後には……
その人こそ、菊池寛。
 
2人の作家の生き方や生きていくそのことそのものについて。
幾つもの作品から解き明かされる旅が始まります。
是非、あなたも、あなたにも、ヒロインと共に一緒に旅に出てほしいな、と思うのですが。
 
一か月前に観た芝居のことがまだ頭を離れずにいます。
元となった2008年の座長大会でのオリジナル版もやっとDVDで観られました昨日。
やっと「観よう」と手を付けました。
胸がいっぱいになって、思い出したのが、件の本、本棚を漁りに行ったという訳です。
 
褒められた鑑賞法ではないかもしれないと最初に言いますが、
私は、どんな作品などをみるときでも、
内容はもちろん第一として、同時に、
「作者(演者)はなにを思ってこの作品を書いたんやろ(作ったんやろ)」
「作者がこの作品を書いた(作った)ときの背景や、心情、理由(のようなもの)は」
が気になることがとても多いです、大きいです。このnoteにも、書きましたね。
(【作品の力・人間の力/幸せと感謝と/向き合うことと】)
 
観せていただいた芝居では、
その滲みが、めっちゃ、めちゃくちゃ、流れ込んできた気がしてなりませんでした。
珍しくこんなに強く言うのは、勝手にそない感じただけじゃないから。
観ていていろんなことを思い、観ながらちょっとお隣で共有出来た気もして、
観終わった後、
今の自分をつくったきっかけ(となる存在)を同じくする者同士として、
おこがましくも、これからの御自身に誓っていたのであろう言葉をいただいたから。
 
人と人は出会って縁をつむいで、それは永遠じゃなくて、でも永遠なのかもしれない。
 
そんなことを、
己のことじゃなくて、
芝居の中の人物たちに、
そして、芝居を作ったその人と彼に大きな影響を与えた人のこと、2人の事を考え、思いました。
 
ちょっと北村薫の文章を引用してもよい?
 
〝人と人とは、操られるように巡り合い別れる。
 心の器である人間はそこで、愛し敬い嫉妬し軽蔑し絶望し悲しむ〟
 
〝人はそれぞれ許せないことを持つ。
 それは自分を、人間を否定することである。
 否定を否定し、音楽を雲をあるべき位置へと動かす〟
 
この理由や詳細は、是非、物語の中で。
 
いろんな縁、がんじがらめや、切れかけたものや、
こっちの糸をとればあっちの糸が、みたいなのや、くるしいことやせつないこと、
狐や狸、いや、魑魅魍魎百鬼夜行なこの世だからこそ、
それぞれに本当にいろんなことや大事なものがあるから、こその。

でも、きっと、糸は、蜘蛛の糸は、きれない。きれても、自分の中にある。

謙信は信玄が居たから楽しかったんじゃないか?
(芝居の台詞から)

羅生門は生きるための門。
 
すべての表現者と、それを愛する人々、
いやこの世で日々自分を生きる……
つまり表現をしているわけじゃなくても自分の日々を表現する皆、皆に、ハグを。
せえへんけど。でもいつもそんな気持ちで居ます。気持ちの中では、しています。伝わらんやろけど、伝えたくて。
いや、言葉と文を鍛えろよ己、ですね(笑)

でも、芥川にもハグ出来たらよかったな。

秋から冬にかわる夜、様々な縁に思いを馳せています。

どうか、皆、どうぞ、ぼちぼち。大阪弁の〝ぼちぼち〟ってええよね、
ぼちぼち(気持ちだけでも)、ね、です。




文中の本のこと、めちゃめちゃ前の投稿


文中の芝居のこと、先月


以下は、ちょろっとですがいつもの自己紹介 。
と、苦手なりにもSNSあれこれ紹介、
連載などなどの紹介!!も。
よろしければお付き合い下さい🍑✨
ご縁がつながったりしたらとても嬉しい。

大阪の物書き、中村桃子と申します。 
構成作家/ライター/コラム・エッセイ/
大衆芸能(旅芝居(大衆演劇)やストリップ)や大衆文化を追っています。
普段はラジオ番組の構成や資料やCM書きや、
各種文章やキャッチコピーやら雑文業やらやってます。
現在、lifeworkたる原稿企画2本を進め中。
舞台、演劇、古典芸能好き、からの、下町・大衆文化好き。酒場好き。
いや、劇場が好き。人間に興味が尽きません。

【Twitter】【Instagram】【読書感想用Instagram】

ブログのトップページに
簡単な経歴やこれまでの仕事など書いております。パソコンからみていただくと右上に連絡用のメールフォーム✉も設置しました。


現在、関東の出版社・旅と思索社様のウェブマガジン「tabistory」様にて女2人の酒場巡りを連載中。最新話、13回と14回も先日公開されました。15回も今月中にアップ!かも!

と、あたらしい連載「Home」。
皆の大事な場所についての文章、も、ぼちぼちと。こっちも更新せなあかんなー。

旅芝居・大衆演劇関係では、各種ライティング業。文、キャッチコピー、映像などの企画・構成、各種文、台本、役者絡みの代筆から、DVDパッケージのキャッチコピーや文。あ、小道具の文とかも(笑)やってました。担当していたDVD付マガジン『演劇の友』は休刊ですが、アーカイブがYouTubeちゃんねるで公開中(貴重映像ばかりです。私は今回のアップにはかかわってないけど)



あなたとご縁がありますように。今後ともどうぞよろしくお願いします。

秋。体も気持ちもしんどくなりがちやけど。皆、無理せず、どうぞどうぞ、元気でね。



文中の本のこと



文中の芝居のこと


以下は、ちょろっとですがいつもの自己紹介 。
と、苦手なりにもSNSあれこれ紹介、連載などなどの紹介!!も。
よろしければお付き合い下さい🍑✨
ご縁がつながったりしたらとても嬉しい。
大阪の物書き、中村桃子と申します。 
構成作家/ライター/コラム・エッセイ/大衆芸能(旅芝居(大衆演劇)やストリップ)や大衆文化を追っています。
普段はラジオ番組の構成や資料やCM書きや、各種文章やキャッチコピーやら雑文業やらやってます。
現在、lifeworkたる原稿企画2本を進め中です。
舞台、演劇、古典芸能好き、からの、下町・大衆文化好き。酒場好き。いや、劇場が好き。人間に興味が尽きません。

【Twitter】【Instagram】【読書感想用Instagram】

ブログのトップページに
簡単な経歴やこれまでの仕事など書いております。パソコンからみていただくと右上に連絡用のメールフォーム✉も設置しました。


現在、関東の出版社・旅と思索社様のウェブマガジン「tabistory」様にて女2人の酒場巡りを連載中。最新話、13回と14回も先日公開されました。15回も今月中にアップ!かも!

と、あたらしい連載「Home」。
皆の大事な場所についての文章、も、ぼちぼちと。こっちも更新せなあかんなー。

旅芝居・大衆演劇関係では、各種ライティング業。文、キャッチコピー、映像などの企画・構成、各種文、台本、役者絡みの代筆から、DVDパッケージのキャッチコピーや文。あ、小道具の文とかも(笑)やってました。担当していたDVD付マガジン『演劇の友』は休刊ですが、アーカイブがYouTubeちゃんねるで公開中(貴重映像ばかりです。私は今回のアップにはかかわってないけど)


あなたとご縁がありますように。今後ともどうぞよろしくお願いします。

秋。体も気持ちもしんどくなりがちやけど。皆、無理せず、どうぞどうぞ、元気でね。


楽しんでいただけましたら、お気持ちサポート(お気持ちチップ)、大変嬉しいです。 更なる原稿やお仕事の御依頼や、各種メッセージなども、ぜひぜひぜひ受付中です。 いつも読んで下さりありがとうございます。一人の物書きとして、日々思考し、綴ります。