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あなたも私もあの魚~『ナイルパーチの女子会』からの「明日も元気でね」みたいな(笑)~

「置かれた場所で咲きなさい」なんて言葉が流行った時がありましたが。
私たちは今どんな水槽で泳いているんだろう。
家、会社、心おける場所。泳げてますか。気持ちよく。
2015年に柚木麻子さんの山本周五郎賞受賞作の『ナイルパーチの女子会』が面白かった!
私たちが生きていて見て見ぬふりしたいししてる自分自身を
ニコニコとぐさぐさと突いてきて、でも、なんだか生きる力をくれました。
ふわふたしたガーリーな表紙や「女子会」の響きに「あー」なんてわかったようなふりしてスルーしようとしていると喰らいつくされるよ!!

美人で完っ璧なOL(でも実は?!)と
飾らない、背伸びしない、頑張らないけどリア充♡系の大人気主婦ブロガー(でも実は⁉)。
かたやブログの読者であり熱狂的なファンとかたやブログ主。
そんな2人が出会った!
私たち友人ね!友人!友人?!友人??
そんなところから始まり、でもそれだけでは毒のある素敵な友情小説ですが、
そんなところでは終わらないのだ。

ナイルパーチとはアフリカの淡水魚だそうです。
名前は聞いたことがある。
そう、代用魚。
回転寿司の代用魚や外食でみられる謎の「白身魚フライ」とかのナカミ。
シイラ、ティラピア、ナイルパーチ。
名前しか知らんけど検索したらびびりました。
でっかい、長い、え、大きいのんで2メートル200キロ?!
子供の頃に見た地元の水族館の「アマゾン館」で観たピラルクを思い出した。
ピラルクはもっとデカいけど、あんなん。
でっかくて、ちょっとグロテスクで、死んだような目をしていて。
生きてるんかな。なに考えてるのかな。って水槽の前でずっとくぎ付けになった。
柚木さんははナイルパーチのことを「大きな丸い目、何の感情もないのにすべてを見透かしているかのような目の魚」と書く。うん、ピラルクを思い出した。
アマゾン館。ピラニアと同じ館に居たやつ。
ピラニアというと獰猛でなんでも喰うとして有名な魚やけど
ナイルパーチもなんとそうらしい。すごい生命力!肉食!
アフリカの湖に放したら小魚全部全滅させたくらい生態系をめちゃくちゃにする魚らしい。
でっかくて、死んだような、でも見透かす目で、どんどん喰らって破壊する。
想像するとその無間の底のなさのような生命力と虚無感、でも生きていく生きていく。

ん? 私たちも・・・???

テレビドラマ化もされた『ランチのアッコちゃん』の作者さんの作品です。
〝元気の出るビタミン小説〟なんて紹介されたあれ、面白かったな。
楽しく読みました、けれど深く気には止めなかったのです。
しかしこの作家さんが木嶋佳苗事件をモデルにした小説を、と知り読んだら面白かった。
え、アッコちゃんの人が?! あ、でも、うん。(食べ物描写が素敵ということは勿論)
デキる女性ライターが〝木嶋佳苗〟を取材していくうちにどんどん彼女の〝魅力〟にハマっていく『BUTTER』(ハマっていった理由は自分の中にある??!)
圧倒され興味を持ち、遡って見つけた『デートクレンジング』も圧巻でした。
いまや芸能界にあまたといる女性アイドルグループの搾取の問題と併せて
決して女子とはいえない微妙な年齢になった2人の女性の友情関係のそれまでとこれからを楽しく明るくグサリずばずばズブズブ描き、でも最後はハッピーな光が射す物語、これで打ちのめされました。
そして、今回の『ナイルパーチ~』です。いや、この『ナイルパーチ~』から始まったったのでしょう、アッコちゃんやBUTTERに繋がったのでしょう、と思います。

友人とは?
女同士の関係とは?
いえ、女をこう見たりああ見たりしやがる、あ、失礼、会社や社会における己の居場所とはしあわせとは。
でもでも女、なんだかんだ言って「女子会」が楽しい女性たちが
あの人にあって私にないものを探す業と背景と
私は私でいいと誰かに認めて欲しいという誰にでもある欲求…
人からこう思われたい自分(と、ほんとはこうしたいってことももしかしたら自分をごまかしすぎてわかんなくなっている自分)、
そうして逃げたり見て見ぬふりしてるものない?言い訳してない?
ってゆーかホントの自分って? いつから今のこんな自分になった? 誰がした?
私の人生に足りないものは?欲しいものは?それ、ほんまに欲しい?
あなたはどう生きたい?
しあわせって???

そう、ナイルパーチも人間が食べるために増やそうと湖に放ったんだよね、勝手に。
悪いなんて自覚もなしに小魚やらを食わないきていけない、
破壊するなんて気付きもせずに、どんどんどんどん、どんどんどんどん、生きている限りずっと・・・。
気付きもせずに?
いや、気付いているのかな。
あの目で。

作品内にはいろんな女が出てきます。
あなたや私が必ずいます。必ず。
ゾッとするほどに。ゾッとしてページをめくるのが怖くなり、でもめくらずにはいられなくなる。私は、なりました。
あ、嫌な男も出てきます。
この種の嫌な男も!いっぱい!てか数えきれないほどに!居るよなあ(しみじみ)!

私はこのコロナでちょっと、てか、めっちゃ自分が嫌になりました。
いやそんな自分と向き合うきっかけをもらいました。
ああ、これをきっかけに、というか、まだか、今やろ、向き合えよ、と。
そんな私に「おまえは!こうだ!」「おまえは!こうだろう!?」と突き付けてきてくれ、
でもなんだか光やヒントみたいなものをくれた気がした作品でもありました。
ああ、グラッと来たなあ。
もしかしたらきっと、あなたにも、と思うのです(勝手にやけどね)

生きようね。
絶対生きようね。
ちょっとでも楽しく。
あなたはあなたであることがそれだけでってかそれが素敵やしみんなのためになってるねんから。
生かせ合おうね。
誰ひとりとしてその権利を奪っては奪われてはいけないのだから。

ってことでここに感想ぽいものを置いておく。
みんな明日も元気でね!

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(こんなネタ(記事)も置いておく。リハビリってか頭のメモnoteやしなんでもありってかいろんな使い方していこうかな、と。)

(あ、私の連載もたぶん今月こそ新記事アップされるかと(だいぶ前に提出してるねんけどコロナのこととかあり書き直したりまた考え直したり。てか編集者様も今回のことでお忙しくホント大変なので)
ぜひぜひ。この本とちょっとリンクするところもあるかも?!ええ?!ふふふ、です )

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